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日本書紀に登場する「粛慎」 ウィキペディアから
粛慎(みしはせ、あしはせ)は、日本の正史である『日本書紀』や『続日本紀』などの中に記述が見られる民族である。同じ漢字表記を用いるが、中国文献に記される「しゅくしん」とは存在した時期にかなりの開きがあり、同一であるかどうかなど両者の関係性は不明である。本項では、『日本書紀』や『続日本紀』中にみられる「みしはせ、あしはせ」について述べる。
粛慎の訓は「みしはせ」とする説と「あしはせ」とする説とがあり、未だに定まっていない。見の字を略したミの音を表す変体仮名が、片仮名のアと字形が似ているため、このような混乱が生じている。
『日本書紀』に「みしはせ、あしはせ」が登場する箇所は、大きく分けて以下の3つがある。
これら『日本書紀』や『続日本紀』中に、6世紀以降からの記述がみられる「みしはせ、あしはせ」について、どのような集団かという説はさまざまある。
粛慎についての日本での最も古い報告は、欽明天皇5年(544年)12月のものである。そこでは、佐渡島に粛慎人が来着したと書かれている。
斉明天皇の時代には、さかんに蝦夷を支配下に置こうとした政策が行われた。その一環として、越の国の国守・阿倍臣による数回の蝦夷・粛慎討伐がある。日本書紀には6件の阿倍臣による征討についての記事がある。
『日本書紀』中の粛慎についての記述は内容が酷似しており、例えば、討伐の期間はみな3月から4月になっている。このため、これらの討伐が実際に何回行われたかについては諸説ある。
例えば、本居宣長は、もともと討伐は1回しかなかったとし、4年・5年・6年と3回行ったように書かれているのは、壬申の乱などによる記録の混乱で4年・5年・6年と3種類の伝承ができてしまい、日本書紀の編者がそれら3種の伝承を無批判に取り入れたからだとした。
なお、阿倍臣が粛慎討伐に向かった場所は渡島(わたりしま)と書かれているが、それがどこであるかは定かではない。ただ、ヒグマは本州にはおらず、北海道や樺太にしかいない。阿倍臣がヒグマを献上したとの記録があることから、渡島を北海道であるとする説もある。ただし、ヒグマは北半球に広く生息している。
天武5年(676年)11月には、新羅の使節が粛慎を伴って来訪したとの記録(参考原文・現代語訳)があり、持統8年(694年)には粛慎人に官位を与えたという記録(参考原文・現代語訳)がある。この官位が与えられた粛慎は新羅の使節とともに来た者たちだと考えられている。また、持統10年(696年)には、蝦夷とともに粛慎への賜与の記録(参考原文・現代語訳)が残っている。
越國言。於佐渡嶋北御名部之碕岸有肅愼人。乘一船舶而淹留。春夏捕魚充食。彼嶋之人言非人也。亦言鬼魅、不敢近之。
嶋東禹武邑人採拾椎子、爲欲熟喫。着灰裏炮。其皮甲化成二人、飛騰火上一尺餘許。經時相鬪。邑人深以爲異、取置於庭。亦如前飛相鬪不已。有人占云「是邑人必爲魃鬼所迷惑。」不久如言被其抄掠。
於是肅愼人移就瀨波河浦。浦神嚴忌。人敢近。渇飮其水。死者且半。骨積於巖岫。俗呼肅愼隈也。
是歲、越國守阿倍引田臣比羅夫討肅愼、獻生羆二・羆皮七十枚。
或本云、阿倍引田臣比羅夫與肅愼戰而歸。獻虜卅九人。
遣阿倍臣<闕名>、率船師二百艘伐肅愼國。阿倍臣以陸奥蝦夷令乘己船到大河側。
於是渡嶋蝦夷一千餘屯聚海畔、向河而營。々中二人進而急叫曰「肅愼船師多來將殺我等之故、願欲濟河而仕官矣」。
阿倍臣遣船喚至兩箇蝦夷、問賊隱所與其船數。兩箇蝦夷便指隱所曰「船廿餘艘」。即遣使喚而不肯來。
阿倍臣乃積綵帛・兵・鐵等於海畔而令貪嗜。肅愼乃陳船師、繋羽於木、擧而爲旗。齊棹近來停於淺處。從一船裏出二老翁。廻行熟視所積綵帛等物。便換著單衫、各提布一端。乘船還去。俄而老翁更來脱置換衫、并置提布。乘船而退。
阿倍臣遣數船使喚、不肯來。復於弊賂弁嶋。食頃乞和、遂不肯聽。<弊賂弁、度嶋之別也。>據己柵戰。于時能登臣馬身龍爲敵被殺。猶戰未倦之間。賊破殺己妻子。
又阿倍引田臣<闕名>獻夷五十餘。(中略)以饗肅愼卌七人。
丁卯、新羅遣沙飡金清平請政。(中略)送清平等於筑紫。是月、肅愼七人從清平等至之。
以務廣肆等位授大唐七人與肅愼二人。
賜越度嶋蝦夷伊奈理武志與肅愼志良守叡草、錦袍袴・緋紺絁・斧等。
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