Loading AI tools
液化した水素 ウィキペディアから
液体水素(えきたいすいそ)とは、液化した水素のこと。沸点は-252.6℃で融点は-259.2℃である(重水素では、沸点-249.4℃)。水素の液化は、1896年にイギリスのジェイムズ・デュワーが初めて成功した。
ロケットエンジンの推進剤として利用され、LH2(Liquid H2)と略称される。液体水素を燃料、液体酸素を酸化剤としたロケットエンジンは実用化された化学推進ロケットとしては最も高い比推力を誇る。液体水素は非常に軽い液体で、その密度は70.8 キログラム/立方メートル(20Kの時)と重量エネルギー密度が最も大きい。したがってロケット燃料としては最も効率的である。
近年ではJAXAや旧ソ連諸国の航空宇宙企業を中心として、石油の代替として液体水素を燃料とする旅客機の研究が進められている。液体水素燃料を用いた旅客機は(液体水素の製造過程はともかく)旅客機の飛行中には二酸化炭素を排出せず環境負荷が低いとされている。
JAXAなどが研究を進めるマッハ5クラスの超音速輸送機に搭載するためのエンジンとして、液体水素を燃料とするターボジェットエンジンに高温となった空気を燃料の液体水素で冷却する機構を追加した予冷ターボジェットエンジン (Precooled jet engine) の研究が行われている[1][2]。
前述のとおり極めて大きな燃料タンクが必要となるほか、飛行中の蒸発、極低温燃料の取り扱い、燃料供給体制の構築など解決すべき課題は多い。
水素分子は、それぞれの原子核(プロトン)の核スピンの配向により、オルト(ortho)とパラ(para)の2種類の異性体が存在する[5]。
常温以上では、オルト水素とパラ水素の存在比はおよそ3:1であるが、低温になるほどパラ水素の存在比が増し、絶対零度付近ではほぼ100パーセントパラ水素となる[5][6]。オルト水素からパラ水素への変化は523kJ/kgの発熱反応であり、蒸発潜熱446kJ/kgより多い。[7]また反応には数日かかるため、数日保管しておくと反応熱で液化水素が気化してしまう。これを水素のボイル・オフ問題という。[8]これを防止するには触媒を用いて発熱反応を済ませておくと良い。オルト‐パラ変換を起こす触媒は、活性炭や鉄などの金属の一部、常磁性物質またはイオンなどがある[5]。
パラ水素をオルト水素に戻すには、1週間近く常温で放置するか、触媒を用いるか、800℃ 近くに加熱するとよい。[9]
Seamless Wikipedia browsing. On steroids.
Every time you click a link to Wikipedia, Wiktionary or Wikiquote in your browser's search results, it will show the modern Wikiwand interface.
Wikiwand extension is a five stars, simple, with minimum permission required to keep your browsing private, safe and transparent.