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富山県庁の庁舎 ウィキペディアから
富山県庁舎(とやまけんちょうしゃ)は、富山県富山市新総曲輪およびその周辺にある富山県庁(役所)の建物群の総称である。本館、南別館、東別館、県議会議事堂、警察本部庁舎、富山県防災危機管理センターからなる。
1935年(昭和10年)に現県庁舎本館が建設されて以来、富山県行政の中心となっている。周辺には県庁舎群以外にも富山県民会館・富山市役所・富山県総合福祉会館(サンシップとやま)など、多くの公共施設が集まっている。また、北側正面には県庁前公園、南側には松川公園、富山城址公園があり、市民の憩いの場となっている。
現在の県庁舎本館は3代目で、神通川改修によって出来た廃川地に、建設前に都道府県主導の事業としては初めて土地区画整理事業を行ない[1]、国会議事堂の設計を担当した大蔵省営繕管財局工務部長の大熊喜邦が監修し、1935年(昭和10年)8月17日に完成[2]したもので、第2次世界大戦による1945年(昭和20年)8月1日に富山市一円を焼き尽くした富山大空襲では、焼夷弾の直撃を受けたとされるが焼け残り、富山電気ビルデイング、旧NHK富山放送局、旧富山大和などと共に焼け残った数少ない建造物である。なお焼夷弾を受け、その後修理されたとみられる痕跡が庁舎大ホールの屋根裏に残っている[3]。
建物は延べ13,490平方m、鉄筋コンクリート4階建てで、正面中央には屋根付きの車寄せがあり、左右対称のデザインの外観は1階が花崗岩、2階以上がクリーム色のタイルを使用し、上空から見ると漢字の「日」に見え中庭がある。庁舎内には、建設当時に彫られた鳳凰の彫刻が4階大会議室に残り、3階の知事室やかつて貴賓室だった特別室にも当時の内装が残っているほか、階段の手すりに使用された大理石には、アンモナイトなどの化石が見られる富山県の昭和初期を代表する、豪壮で風格のある近代建築で[3]、2020年(令和2年)現在、全国の庁舎の中では5番目に古い[4]。竣工から80周年を迎えた2015年(平成27年)、国の登録有形文化財に登録された(同年8月4日付登録)[5][6]。
また庁舎本館屋上の一部、東南側の約200平方mを緑化し、県民に毎年期間限定で一般開放している[7]。ここには1958年(昭和33年)に富山国体が行われた際、昭和天皇が県庁屋上で詠まれた歌の歌碑を制作し設置されているほか、ベンチも設置して県民の憩いの場所として提供している。また庁舎内の一部約100平方mを、庁舎の歴史や概要を紹介する資料展示室として開放されている[8][6]。
南別館は1961年(昭和36年)10月30日に竣工した。地上4階の鉄筋コンクリート造である[9]。建築面積2,234.85平方メートル、延床面積は10,005.34平方メートル。本館の南側に位置する[10]。後に富山県防災危機管理センター建築のため、減築されている[11]。
東別館は1986年(昭和61年)7月30日に竣工した[12]。地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造である。建築面積682.50平方メートル、延床面積は約2,370.06平方メートル。本館の東側に位置する。
初代県会議事堂は、皇太子嘉仁(よしひと)親王(後の大正天皇)行啓記念事業として、富山城址(旧西ノ丸)に1909年(明治42年)に竣工した。現在の庁舎建設時には県会議事堂も庁舎内に併設され、富山大空襲後は当時の富山県知事高辻武邦の英断により、県庁内にあった県会議事堂を文化ホールとして使用していた[13]。
現県議会議事堂は1971年(昭和46年)2月16日に竣工した[14](2月10日に竣工式)。地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造で[15]、チョコレート色の外装で、議場は3 - 4階に吹抜けで階段状に設けられている[14]。建築面積848.21平方メートル、延床面積は約6,010.21平方メートル。本館の北西側に位置する。
2017年(平成29年)8月11日に耐震補強などを含めたリニューアル工事が完了し、木製ルーバーを用いた繊細で温かみのある外観デザインとなった[16]。
警察本部庁舎は1994年(平成6年)5月20日に竣工した。地上11階、地下2階の鉄筋コンクリート造、インテリジェントビルである。本館の南西側に位置する[17]。
大規模災害発生時の拠点として、南別館の一部を建て替え、2022年(令和4年)10月7日竣工、同年10月11日に運用開始。地上10階建てで、富山県が災害対策本部を置く90人収容の会議室や、自衛隊などの拠点となる部屋、ヘリポート、72時間連続運転が可能な非常用電源なども整備されている。この他、保育所が設けられている他、災害が起きていない平時には、一般の人が研修室などを利用することも可能である[11]。
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