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『地球大進化〜46億年・人類への旅』(ちきゅうだいしんか 46おくねん・じんるいへのたび)は、2004年4月から12月にかけてNHKスペシャル枠で放送されたドキュメンタリー番組。12月に放送された総集編を含めて全7回。2005年、フランス・ジュール・ベルヌ映像祭にて最優秀科学アドベンチャー賞を受賞。 地球の誕生から人類の誕生までを放送した。放送と時期をあわせて同題の図書が出版されており、取材の様子や番組の内容のより細かい説明が掲載されている[1]。
地球を極寒の宇宙の中で生命を優しく育んだ希有な惑星とし「母なる星」と呼び習わす従来の視点を一転させ、灼熱の地獄から極寒の世界まで環境を激変させつつ生命に試練を与えた厳しい存在「荒ぶる父」として描いている。愛知県立大学の伊藤稔明はこの特徴が当時メディアで流行していたガイア理論に反する立場を明確化し脱却を図っていると推測している[3]。番組内では、生命は気候変化という試練に立ち向かい進化してきたと説かれている。地球の進化史あるいは生命の進化史として独立した事象ではなく、地球の環境の変化が生命の進化にどのように影響を与えたか、反対に生命が地球環境にどのように影響を及ぼしたか、相互の関連も取り混ぜて構成している[4]。
太古の生命を既に滅んだ過去の存在としてではなく現在の生物の「御先祖様」と呼び習わす点が、従来の生命進化を取り上げた番組とは異なる視点である。現在生きている私たちは厳しい試練をくぐり抜けてきた御先祖様から尊い命を賜ったのだとする暗喩も含まれている[4]。また、通常のNHKスペシャルでは視聴者を「私達」「我々」と呼ぶことが多いが、このシリーズでは主に視聴者を「あなた」と呼ぶ。そして「あなた」へと至る46億年の旅とは、小さな原始の微生物から始まり数々の大変動を繰り返してきた地球を舞台とした、気の遠くなるような長い時間をかけた命のリレーであり、そのリレーの果てに「あなた」が生きている、と締めくくり、シリーズを通して人類一人ひとりの命の大切さを訴えている。
関連書籍では以前の『地球大紀行』の続編、現代版として企画されたとしている。また、企画にあたっては、スノーボールアース仮説の提出がきっかけになったとしている。
番組内で進行役の山崎努は祖先の生物を「ご先祖様」と呼ぶ。また、地球が生物に与えた試練と、それを克服した生物に対し「まいったな」を連発する。
総集編である第7集の放送に先駆け、2004年12月19日にはハイビジョン特集枠で6時間弱に亘って「知られざる生命の星の秘密」「繰り返された栄枯盛衰のドラマ」「ヒトへと通じる道」の3回に分けて『地球大進化 46億年・奇跡の旅』という題で放送された[2]。
代表的な種類を列挙する。人間の「ご先祖様」として扱われた生物は太字で示す。
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グラノスクス(Glanosuchus)は、冒頭にて骨格(標本番号: SAM-PK-K7809)が登場したのみである[7]。
土井宏紀が作曲、鋒山亘が編曲とオーケストレーションを担当したサウンドトラックは、2004年8月11日にランブリング・レコーズからリリースされた[8]。
# | タイトル |
---|---|
1. | 「地球大進化(オープニングテーマ)」 |
2. | 「全海洋蒸発」 |
3. | 「探究〜古代〜」 |
4. | 「新事実」 |
5. | 「いざない」 |
6. | 「探究〜発見〜」 |
7. | 「全球凍結」 |
8. | 「迷走」 |
9. | 「大量絶滅」 |
10. | 「M.P.p.f.」 |
11. | 「探究〜ひかり〜」 |
12. | 「絶望/希望」 |
13. | 「抵抗」 |
14. | 「つなぐきずな」 |
15. | 「Stone cold」 |
16. | 「あたらしい生命」 |
17. | 「人類への旅(エンディングテーマ)」 |
18. | 「地球大進化(ファーストデモ)(ボーナストラック)」 |
本作はNHKジュニアスペシャル枠にて、小中学生向けに編集されたものも2005年春に放送された。富永禎彦と島崎和歌子および谷田部雅嗣がそれぞれ司会・キャスター・解説役としてレギュラー出演し、ゲスト出演者の子役と共に番組を進行した。竹中直人も声で出演した。全6回でそれぞれがNHKスペシャル版と1対1で対応するが、第7集に対応するNHKジュニアスペシャル版の回は存在しない。
ジュニアスペシャル版では、島崎和歌子とゲストの子役が特撮ヒーローを模した"シレンジャー"に変身し、実験やゲームを通して先祖の生存戦略を探究するという展開になっている。島崎は今更質問の出来ない大人の疑問を研究者らへ向ける大人の代表という位置付けである。谷田部雅嗣は"やったべぇ"という神出鬼没のキャラクターとして出演し、番組に関連する内容を比較して新たな見地を得る"くらべてくらチョ"というコーナーも担当する[9]。番組冒頭では小学生4年生130人による進化のリレーが展開される。人類の先祖とされる各時代の生物の描かれたビニール傘を児童が持って「進化!」と叫んで広げることで生物の進化が再現されているほか、リレーの道程には全球凍結やP-T境界などの"試練"に見立てた障害物が設置されて生物の大量絶滅も再現されている[9]。
春の放送の後、同年10月23日より再放送も行われた[10]。
2004年に本作の書籍版がNHK出版から出版された[20]ほか、2005年1月にかけて小学館から小林たつよしによるコミック版が出版された[21]。2005年2月にはプロデューサー高間大介によるサイエンス読本『46億年 わたしたちの長き旅』がNHK出版から出版され[22]、同年3月からは学研からジュニア版書籍も出版された[23]。
本作は地球科学分野の学校教育にも影響した。放送当時、本作は広島大学や早稲田大学など、地球史に関連する複数の大学の講義に活用されていた[24][25]。高等学校理科の地学の学習指導案作成にあたって石川県教員総合研修センターは本作に着目し、本作の映像を通して当時の最新研究に触れて生徒の関心を高めることができると期待した[26]。2010年代にも高等学校における生物や日本史の授業に利用された例が確認できる[27][28]。2017年度までの報告によると、当時630校存在する日本の定時制高校の理科教員242人を対象とした調査において、『NHKスペシャル』を使用したことのある教員は52%に達した。本作はその中でも『地球大紀行』(NHK特集)と『人体』シリーズに並んで利用頻度が高かった[29]。
放送から約4年後にサービスが開始されたNHKオンデマンドでも本作は配信された。2008年12月1日から2009年8月31日までのPCでの視聴数では、当時のコンテンツの中で第1集から第6集まで順番に20位、23位、24位、25位、38位、41位を記録した。これは同じく古生物を題材として後に放送されたNHKスペシャル『恐竜vsほ乳類』(2006年)を全体として上回る記録で、第1集よりも高記録を残したNHKスペシャルは3位の『沸騰都市』の第1回(2008年)のみであった。2008年12月1日から2009年9月30日までのPCでのタイトル別視聴ランキングでは第1集が7位となり、NHKスペシャル内では『沸騰都市』に次ぐ2位であった[30]。
2010年3月29日から4月30日までのPCでの視聴ランキングでは、第1集から第3集がそれぞれ13位、28位、41位となり、完全有料作品の中では3位、11位、23位を記録した。第1集はNHKスペシャルの中でも3位であり、1位と2位はそれぞれ『100年の難問はなぜ解けたのか 天才数学者 失踪の謎』(2007年)と『魔性の難問 リーマン予想・天才たちの闘い』(2009年)であった[31]。
第1集の隕石衝突のシミュレーション映像はMADムービーに使われることが多い。2007年8月10日に「イチローのレーザービームで人類滅亡」[32]という動画が投稿される。この動画には、2001年4月13日のメジャーリーグベースボールの、シアトル・マリナーズ対オークランド・アスレチックス戦における、当時マリナーズに在籍していたイチローの「レーザービーム」時の試合映像が使用されており、「投げたボールが光を発しながら飛んで行き、3塁に到達した途端に爆発を起こし人類滅亡する」という内容で、人類滅亡した時の映像に、前述の隕石の映像が使われており、音源(BGM)は「盆回り」に差し替えられている。当該動画は人気を博し、以降、様々な人や物が地球を滅亡させる「人類滅亡シリーズ」が定着した。
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