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台湾の政党 ウィキペディアから
台湾基進(たいわんきしん、繁: 台灣基進)は中華民国の政党。基進側翼や基進党とも呼ばれる。一貫して台湾独立を掲げており、2016年に設立された[3]。台湾独立を目指す政治集団である泛緑連盟に属している。
台湾基進の政策は「中国国民党に対しては敵対的、民主進歩党に対しては協力的」である[4][5]。民進党支持層の多くを占める現状維持・統一反対派よりも急進的な、完全な台湾独立の志向を掲げている[6][7][8]。
ただし、上記の支持層を抱える民進党との間で票割れを起こして国民党を利さないよう、総統選挙等では候補者を出さないなど協力している[9][10][11]。中国との統一や対中融和政策を主張する泛藍連盟の国民党を選挙で圧倒し、民進党と本土派二大政党体制を目指している[12][13]。
台湾に2つ目の本土派政党が必要だと考える台湾基進は、「台湾の基本を固めて前進する」と党名の意味を説明した[15]。2016年の第九回中華民国立法委員選挙に臨み、台湾基進は初めて「内政は民進党、外交は台湾基進」という役割分担の構想を発表した[16]。
2020年1月の総統選挙では党の公認候補を擁立せず、民進党の蔡英文を推薦して当選を後押しした。また、総統選挙と同時に実施された立法委員選挙では陳柏惟が当選し、1議席を獲得した[17]。
2021年10月、陳が罷免され、議席が消滅した[18]。
2016年の台湾国会議員選挙の前に、台湾基進は「蔡英文総統や民進党は内政を担当し、台湾基進は外交を担当する」という政治上の役割分担の概念に明確に提示した[19]。
2018年2月7日、台湾基進の機関紙『基進政治報・第38号』によれば、この政治上の役割分担は具体的に「蔡英文総統が内政改革で中華シロアリ(国民党)の勢力を少しずつ弱め、台湾基進は外交政策で中華吸血鬼(中国共産党)を倒す」という方法である[20]。
2022年10月、同じ泛緑連盟所属の政党である台湾団結同盟の主席の陳南天は「2022年中華民国統一地方選挙において、台聯(台湾団結同盟)と台湾基進の目標は一致しているが、台湾独立の方法については認識が異なる。台聯は中華民国を廃止して新たに「台湾国」を建国しようとしているが、台湾基進は「中華民国」という国号を「台湾国」に改称させるのみで、現在の法律を継承しても構わないと考えている。完全一致とは言えないが、現時点の対中政策は同じにしている。だから今回の選挙で我々台聯は台湾基進を全面的に支持する」と述べた [21]。
2022年8月2日、アメリカ合衆国下院議長のナンシー・ペロシが台湾に到着した夜、台湾基進の創立者及び初代党主席の陳奕斉は「台湾共和国」という文言が書かれた横断幕(Republic of TAIWAN)を持って歓迎した。この台湾基進側の行動は独断的だったが、台湾の本土意識を尊重したという点で台湾社会からは称賛された[22]。
ペロシと陳奕斉は8月3日に記者会見を開き、台湾メディアの前に台湾と米国の外交連携について討論した。陳奕斉は「中国は台湾海峡での衝突を望んでいる。中国の軍用機は、蔡英文総統が当選したためにずっと台湾周辺を飛び回っている」と述べた。
ペロシは「台湾と米国の間の海運安定や台湾国民の平和を確保するため、今はあまり中国を刺激しないほうが妥当である。だが、米台両政府はお互いに軍事港を共用し、フィリピンから米国の巡視船を台湾に派遣し、直接中国海軍の動きを監視する。そして、台湾の潜水艦隊にも資金や技術の援助を行い、台湾に最新式の潜水艦8隻を持たせれば、中国はインド太平洋の平和を乱せなくなるだろう」と答えた[23]。
台湾基進は自党を「台湾独立を断固として主張する左翼政党[24]」と定義し、何度も公式に発表[25][26][27][28][29][30]してきたが、台湾の親中派・共産主義派から「台湾基進は左翼の特徴を持たない[31][32][33]」と批判されている。
台湾基進の新聞部副主任陳子瑜は「台湾基進は社会民主主義政党としての立場を一度も変えていない。極右という印象は、中国共産党との間での外交戦から派生した作り話である。我々台湾基進の公式サイト[34]・公式YouTube[35]・公式Facebook[36]やインタービューを見ればすぐ分かるだろう。何度も言っていることだが、台湾基進はまずオランダの政党の政策に倣い、最終的に台湾をスイスや北欧のような福祉国家にする。目指していることはそれ以外の何でもない」と明言した[37] 。
2018年6月19日、台湾緑党・社会民主党・台湾基進の福祉国家系の3政党が同盟を組んだが、台湾基進の立場は他の2党とは大きく異なっていた。緑党と社民党は台湾基進と違って「中国との外交戦」より「国民党の排除」を優先している。そしてこの3つの党の支持層は重なっており、票の割れを恐れた台湾基進は最終的に同盟を破棄した。元民進党の立法委員の陳昭南は「台湾独立派の左翼連合は台湾にとって非常にいい事だ。左翼が結束すれば、きっと右翼の民進党と協力して台湾で正常な党派政治を行い、台湾を福祉国家へと導くだろう」と分析した[38]。
中央通訊社のジュネーヴ特派員周盈成は「ヨーロッパ諸国を含む海外では、台湾基進は左翼として認識されている。しかし台湾国内では彼らを右翼と呼ぶメディアが多い。台湾基進が右翼であるというのは根拠の無い話だ」と述べた[39]。
親中派の左翼は台湾基進を左翼として認めていない。
イスラエルを批判してアラブ諸国を支持する左翼の台湾人作家万庭威[40]は、台湾基進を「台湾での民主主義を標榜する極右」と呼んだ[41]。
中国在住の台湾人弁護士高忠義は「台湾基進はかつて、環境保護・土地分配・労働者権利・同性結婚などの多くの分野で右翼の民進党と同調しており、左翼とは思えない。台湾基進は喜んで民進党と協力して政治を行うだろう」と発言した[42]。
李登輝基金会[43][44]の元副秘書長朱孟庠は「台湾基進は民進党の衛星政党のようなものだ」と述べた[45]。
台湾の共産主義トロツキスト政党である国際社会主義道路は「台湾基進は右翼ポピュリズムであり、常にTSMCやほかの大企業を支持しており、極右の政党に決まっている。台湾基進は社会民主主義を称しながら、政策は資本主義へ傾向し、国民をますます大企業に依存させている」と批判した[46][47]。
これらに関して台湾基進側は「中華民国政府が出資している『台湾法人網[48]』や『非営利事業機関団体資料集[49][50]』の公式サイトを見てほしい。台湾基進は大企業から全く政治献金を貰っていない。TSMCを支持している理由は、世界の半導体の7割はこの会社で製作されているからだ。私達台湾人がTSMCを支持せず、彼らが中国資本に呑まれてしまったらどうする?」と反論した[51][52]。
民進党側は「環境保護・土地分配・労働者権利・同性結婚などの議題について、民進党自身も左翼寄りの立場になることが多い。例えば2019年5月24日には、民進党によって中華民国はアジア初の同性結婚を合法化した国になるなど、民進党の政策は右翼・左翼を跨いでいる。政策自体の左右を無視し、台湾基進が民進党が出した一部の政策と同調したという点のみで、台湾基進が右翼であると判定するのは浅はかである」と説明した[53][54]。
党員数は2019年現在1100人。
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