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日本の小説作品、テレビドラマ番組 ウィキペディアから
『六番目の小夜子』(ろくばんめのさよこ)は、恩田陸の小説作品。それを原作として制作されたテレビドラマ(NHKドラマ愛の詩)および舞台作品についても本項で述べる。
恩田陸のデビュー作。新潮社の第3回(1991年度)日本ファンタジーノベル大賞で最終選考まで残り、翌年新潮文庫から出版された[1]ものの、このオリジナル版はまもなく絶版となった[1]。
1998年、大幅加筆の上で新潮社にて単行本として出版[1](その際のタイトルは『六番目の小夜子 : Number 6』)され、この版が2001年に新潮文庫にて『六番目の小夜子』のタイトルで文庫化された。
関根秋の姉・夏を主人公に、『六番目の小夜子』の4年前の学校を描いた短編「図書室の海」が、2002年に上梓された同名の短編集に収録されている。
県で一、二を争う進学校で、古い伝統を持つ県立高校。生徒たちはほぼ全員が大学進学を希望し、勉強に励む一方、15年前に始まった「サヨコ」という不思議な行事が、生徒たちだけの間でひっそり守られてきた。
そこでは3年に1度、3年生のうちの誰かが「サヨコ」に選ばれ、手紙と、校内のとある戸棚の鍵を受け継ぐ。そして「自らがサヨコだと知られてはいけない」「始業式の日に、戸棚から取り出した花瓶に赤い花を活ける」といった決まりを守り、卒業式の日に次の「サヨコ」に継承させる。ただし大半の生徒は「サヨコ」を噂でしか知らず、語る話の細部も人によってばらばらだった。
春の始業式の日の朝、三年十組の教室に真っ赤なバラが活けられていた。「サヨコが出た」とざわつくクラスに、奇しくも津村沙世子という名の転校生がやってくる。神戸の超名門校からわざわざ地方の高校へ、しかも受験を控えた三年次に来た彼女を訝しむ生徒もいる中、花宮雅子は初日から容姿端麗な沙世子に惹かれ、友人となった。沙世子は成績も優秀、運動神経も抜群、それでいて嫌味のない快活な性格の美少女で、まもなく学校中で評判となった。
ある日、雅子は沙世子が謎の鍵を持っていることに気付き、その放課後、沙世子のもとに「かぎをかえせ」という手紙が来ているのを雅子は目撃する。さらに後日、体育の授業の隙に十組の教室が荒らされる事件が起きた。雅子は好意を寄せている相手の唐沢由紀夫にたまたま一連の話をした。すると由紀夫は親友の関根秋にその話を伝えるよう言う。秋は兄が元「サヨコ」、姉も「渡すだけのサヨコ(「3年に1度」ではない年にサヨコの手紙と鍵を渡す者)」を務めたためサヨコ伝説に詳しく、由紀夫は秋にサヨコの話を聞かせてもらっていた。
秋の知る説では「サヨコ」は劇を制作し、学園祭で上演させるのだという。そしてサヨコがすべてを成功させれば、その年は大学合格率が著しく上昇し、失敗すれば合格率悪化という不運が訪れるという。しかし過去のサヨコの中には、事故死したり、自ら暴露して役を降りようとしたところ受験に全敗したりと、不吉な失敗もあったらしい。今年は3年に1度のサヨコが選ばれる6度目の年、すなわち「六番目のサヨコ」の年だった。
秋は雅子が目撃した話に加え、教室を荒らした犯人が同じクラスの加藤彰彦かもしれないという噂を耳にし、加藤が六番目のサヨコで、沙世子の持つ鍵を奪おうとしていると睨む。しかし加藤はある夜、自宅で心臓発作を起こして長期入院。秋の元に加藤から鍵が送り付けられ、「碑を見て」という伝言が託された。秋は1人、校庭の隅にある碑を見に行く。それは12年前に事故死した「二番目のサヨコ」の慰霊碑で、裏には「津村沙世子 享年十七」と刻まれていた。
2000年4月8日から6月24日にかけて、NHK教育テレビジョン毎週土曜日18:00からの「ドラマ愛の詩」で放送された[2]。全12回。高い人気を誇った作品で、2001年にはビデオ化、DVD化。たびたび再放送もされている。本放送時のみ、本編の後にミニコーナー「サヨコへの伝言」が放送された(DVD版に特典映像として収録されている)。
ドラマ版は舞台が高等学校から中学校に変更され、オリジナルキャラの登場や既存キャラの大きな設定改変があるほか、物語も小説と異なっているが、「小夜子」・「鍵」・「文化祭」等の基本要素は共通している。
潮田玲が通う中学校には「サヨコ」という不思議な言い伝えがあった。3年に1度、サヨコと名乗る生徒が選ばれ、サヨコが3つの約束(赤い花を生ける・サヨコを演じる・サヨコを指名する)を果たせば、大いなる扉が開かれ、3年後にまた新しいサヨコが現れると言われていた。
玲は、サヨコに選ばれた幼馴染の関根秋に頼んで、サヨコをやらせてもらうことになった。他の誰にもサヨコであることを知られないように。始業式の朝、玲が1つ目の約束を実行しに行くと、戸棚に入っているはずの花瓶がすでに正面玄関に出され、赤いバラの花束が生けてあった。愕然とする玲の耳に鈴の音が聞こえ、その音を追ってみると走り去る女子生徒の後ろ姿が。玲は慌てて後を追うが、見失ってしまう。
さらに、始業式の最中に体育館の照明が落下する事故が起こる。生徒たちは「サヨコがやった」と騒ぎ、玲は落下した照明のそばに、自分が持ってきた赤いチューリップの花が1つ落ちているのを見つける。そして始業式の後、玲のクラスに「津村沙世子」という女子生徒が転入し、クラスは騒然となる。玲は、1つ目の約束を実行したのは沙世子ではないかと確信し、彼女と“六番目のサヨコ”を賭けてバスケで勝負をする。しかし、途中で沙世子が負傷したため、決着をつけることができなかった。
ある日、2年生のテストの満点取得者名が貼りだされ、玲たちはどの教科にも沙世子の名前があることに愕然とする。秋は沙世子が超進学校から公立の学校に転入してきたことに疑問を感じ、選んだ理由を訊ねると沙世子は「呼ばれたから」とだけ答えた。そんな折、玲は「もう一人のサヨコさんへ。鍵を返して下さい」と書かれた手紙を見つけて腹を立て、「そっちこそ、鍵と台本を返して下さい」と書いて沙世子の靴箱に入れる。しかし、「サヨコの正体が知られたとき、本物のサヨコが怒って災いを起こす」という噂を聞き、恐怖に駆られて手紙を取り戻そうとするが既になくなっていた。
帰宅後、玲は「日曜の夕方、学校で待つ」という沙世子からの電話があったことを知る。玲を心配して学校に駆けつけた秋は、そこに偶然居合わせた同級生の加藤に「秋がサヨコなのではないか」と言われるが、取り合わずに加藤と別れる。秋は結局2人に会えず、沙世子の家に電話を掛けるが「沙世子はおりません」とだけ言われて切られてしまう。
一方、玲は沙世子と対面するが「私も呼び出された」と言われ、唖然とする。沙世子は玲に学校近くの国道で起こった事故のこと、そして事故で死んだ生徒の話を始める。沙世子が何者なのか戸惑う玲に対して、沙世子は言い放つ。「戻ってきたの。私が六番目のサヨコよ」。しかし、2人を尾行していた加藤にその言葉を聞かれてしまう。2人は加藤を口止めするために分かれて彼を追う。加藤は校庭まで戻ってきたが沙世子に追いつかれる。
翌日、加藤が喘息の発作で入院したことを知った玲と秋は、「碑を見て」という加藤の伝言を受け取り、校庭の片隅にある碑に刻まれた文字を見る。そこには「昭和六十三年 津村沙世子 享年十五」と刻まれていた。
その他のキャスト
上記のNHKでの放送のほかに、CSのミステリチャンネル(2005年5月2日 - 7月22日、2006年1月1日 1:00 - 7:00 元旦一挙放送、2006年3月21日 - 4月5日)でも放送が行われている。2021年7月には番組配信サービス「NHKプラス」での見逃し配信も開始。
DVD 販売元:ポニーキャニオン、リージョンフリー、各巻4話収録、全3巻、映像特典あり
新価格版 販売元 - NHKエンタープライズ、3枚組4話ずつ収録、映像特典あり(サヨコへの伝言(1) - (12)、プレマップ、番組スポット、サヨコの内緒話)
VHS 販売元:ポニーキャニオン、各巻2話収録、全6巻、映像特典なし(本編のみ)
ポニーキャニオン版DVD、VHSともに全巻購入特典として劇中劇「年文化祭 よびかけ劇『六番目の小夜子』」の音声が収められたCDシングルがあった。
2022年1月、鈴木絢音(乃木坂46)の主演、鶴田法男の総監督で舞台化され、新国立劇場 小劇場にて上演[7]。
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