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ヘッケラー&コッホ(独:Heckler & Koch GmbH、ヘックラー・ウント・コッホ・ゲーエムベーハー)社は、ドイツの銃器メーカーである。本社は、ドイツ南部のバーデン=ヴュルテンベルク州のオベルンドルフにある。また、アメリカ国内に子会社を持っている。
略称 | H&K社 |
---|---|
本社所在地 |
ドイツ バーデン=ヴュルテンベルク州 オベルンドルフ |
設立 | 1949年 |
業種 | 軍需産業 |
事業内容 | 銃器の製造・販売 |
代表者 |
エドムント・ヘックラー テオドール・コッホ アレックス・ザイデル |
外部リンク |
www |
社名Heckler & Kochを日本語のカタカナ表記にする際、英語風の「ヘッケラー・アンド・コック」やドイツ語風の「ヘックラー・ウント・コッホ」などのほか、英独折衷の「ヘッケラー・アンド・コッホ」が使われる事も多い。日本で初めてH&K社を紹介する時に『月刊Gun』等では「ヘッケラー・アンド・コック」と英語風の読みを用いた。トイガンメーカーである東京マルイでは、自社の製品名に英語風の「ヘッケラー&コック」を用いている。本項ではH&K社と略記する。
USP、MP5、MP7、PSG-1、G3およびG36などを製造している。
特殊部隊・対テロ部隊、たとえばドイツのGSG-9やイギリスの特殊空挺部隊(SAS)などが同社の銃器を多種多数採用している。1977年、モガディシオで発生したルフトハンザ航空機人質事件で、GSG-9が突入し人質86名全員を救出。この際に、H&K製のMP5が使用された。1980年、ロンドンで発生したイラン大使館占拠事件で、SAS 隊員の姿とともにH&K社のMP5がテレビ中継に映った。
H&K 社製品は、拳銃から擲弾発射器まで多岐にわたる。そして、それらの製品に適合した技術、具体的にはブローバック式(吹き戻し式)、ショートリコイル式、ローラー・ディレード・ブローバック式、ガス・ディレード・ブローバック式、ガスオペレーション式が必要に応じて用いられている。
H&K 社が製造する銃器は、すべて「HK」から始まる型番が付いており、公式な識別に用いることができる(ただし、記事内では必要に応じて省略している)。
H&K は、1949年にドイツの銃器メーカーのモーゼル社を退職した3名の技術者、エドムント・ヘックラーとテオドール・コッホ、アレックス・ザイデルが、1950年に設立した。設立当初は、ミシンやその他の精密機器を製造していた。しかし、1956年にドイツ連邦軍が創設されると、軍用火器を製造する方針に切り替えた。Keine Kompromisse!(妥協しない)をスローガンに活動している。
1991年、H&K はブリティッシュ・エアロスペースの一部門であるロイヤル・オードナンスに買収された。ブリティッシュ・エアロスペースの傘下で、SA80の改修と改良に貢献した。その後、ブリティッシュ・エアロスペースは1999年にBAEシステムズに変革し、H&Kの部門は2002年に宇宙航空用途のためにドイツに作られたグループ企業 (H&K Beteiligungs GmbH) へ再び売却された。
従来の製品については、冒頭で記述した以外の事項については後述する。
アメリカ陸軍は、M16(アサルトライフル)とM203(組み込みグレネードランチャー)の組み合わせを置き換えるため、次世代武器システムである、個人戦闘火器計画(Objective Individual Combat Weapon program, OICW)と、それに伴う次世代運動エネルギーサブシステムを立案し、H&K社と契約を行った。XM29 OICWは5.56mm弾と20mmグレネードランチャーを併用する火器であったが、開発が遅れ、かつ重く高価すぎるのが主因で、XM8計画に移行した。しかし、これの計画も2005年10月末にキャンセルされた。これらはXM25計画に関連する。
H&Kが2017年3月に公表した年次報告書に「当社は、当社が独自に設けた3つの分類に該当しない国がおこなう新たな入札には参加していない」との内容が掲載された[1]。
具体的には、
という3分類に渡る国別販売基準が設けられ、H&Kは「NATOとEU諸国以外の国に武器を販売することはもう決してない」と公約したと報じられた[1]。
2017年9月、H&Kがイスラエルを販売禁止リストに入れていたことが報じられた[2]。H&Kがイスラエルへの販売を禁止したことは、イスラエル国内メディアだけでなく、イスラエルと敵対しているイランなどの周辺国のメディアでも報じられた[2]。イスラエルの大手紙である「エルサレムポスト」がH&Kに今回のイスラエル向け販売禁止について問い合わせたが、H&Kからは正式な返答がなかった[2]。
2017年11月には、H&Kが香港警察部隊向け製品の輸出を禁止したことが報じられた[3]。中華人民共和国の影響下にある香港特別行政区政府による2014年香港反政府デモへの対応が、H&Kの輸出規制項目である「民主主義指数から不適切であると判断された国」に抵触したことが、今回の香港向け販売の自粛に繋がったとされる[3]。 H&Kの対応について意見を求められた李家超保安局長は、「市場には多くの選択肢が存在する。銃器の供給は、法執行機関の業務に影響を与えないだろう」「我々は、単一の銃器または単一の製造元に依存しない。従って、特にテロ対策で影響を受けるものではない」と発言している[3]。
2017年12月には、H&Kの輸出規制への対応のために、香港警察は現行のH&K MP5から、SIG MPXへと変更する計画が進行していることが明らかになった[4]。香港警察は「SIG MPXとH&KのMP5が全体的に類似していることから、MPXであれば部隊は特に大きな訓練内容の変更をせずに済む」と判断しているという[4]。
すでに香港警察は、2006年に犯罪調査部門であるCIDがSIG SAUER P250を購入しているほか、2009年に対テロ特殊部隊がSIG516 CQBを調達している[3]。
しかし、その後2019年-2020年香港民主化デモによりSIG社も香港警察に対し禁輸措置を取ったため、新たにCZ スコーピオンEVO3などチェコ製銃器の配備が計画されている[5]。
上記のほか、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、オマーン、トルコ、メキシコ、ブラジル、インドなども販売禁止国入りしているとされる[6][1]。トルコはNATO加盟国であるが、2016年トルコクーデター未遂事件以降、クルド人に対する弾圧や人権侵害事件が増加しており、2016年11月24日にはオーストリア議会がトルコへの武器輸出を制限する議決を採択していた[6]。
日本警察でも警視庁警備部がP2000を、SAT(特殊急襲部隊)、銃器対策部隊、原発特別警備部隊、警視庁総理大臣官邸警備隊、皇宮警察本部特別警備隊が機関けん銃という名称でMP5を配備している。SATではさらにUSPを配備している。また海上保安庁特殊警備隊および海上自衛隊特別警備隊がMP5を装備していることが、報道で明らかになっている。さらに陸上自衛隊で4.6mm短機関銃としてMP7が調達されていると見られることが防衛省の平成23年度装備品等(火器車両関連)に係る各種契約希望募集要項で明らかになっているほか、海上自衛隊の平成20年度調達予定品目に「研究・評価用弾薬等購入(HK-416用弾薬(フランジブル弾等)」という記載があり、試験的にHK416が納入されていることが確認できる。また、2014年(平成26年)10月22日には警察庁がHK416に使用される5.56mm弾薬をH&K社の日本代理店であるJALUXから納入していることからも、SATにHK416が配備されていることが確認できる[7]。
2019年(令和元年)12月6日、防衛省より陸上自衛隊の9mm拳銃の後継拳銃を「HK SFP9」としたことが発表された[8]。
※Web上で出回っている情報として「HK G56」というものがあり、これはH&K社とTDI社(現:クリス USA社)が共同開発した、クリス ヴェクター(KRISS Vector)の構造を採り入れた、6.8×43mm レミントン弾を使用する口径6.8mmの新型小銃で、2023年にアメリカ軍に制式採用される予定である、とされている。しかしこの銃は実在せず、画像も既存の銃のものを加工して製作された、架空の存在である。
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