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ローマの宮殿/美術館 ウィキペディアから
パラッツォ・バルベリーニ (イタリア語: Palazzo Barberini) はイタリア共和国ローマに現存するバロック建築のパラッツォである。現在は国立古典絵画館として利用されている。日本語ではバルベリーニ宮あるいはバルベリーニ宮殿などとも表記される。国立古典絵画館は、イタリアのルネサンスおよびバロック絵画の数々の傑作で知られている。
もともとこの場所はスフォルツァ家の敷地であったが、バルベリーニ家が買い取ったもので[1]、1633年までにおおむね完成したこの建築は、ウルバヌス8世(フィレンツェのバルベリーニ家出身[2])の命で建設された[3]。当初建設の任にあったカルロ・マデルノが1629年に死去[4]すると、その後はジャン・ロレンツォ・ベルニーニと、マデルノの親類であったフランチェスコ・ボッロミーニが引き継いだ[3]。建設を依頼したのはウルバヌス8世の甥のタッデオ・バルベリーニであったとする資料もあり、これによれば依頼したのは1627年であった[1]。
当初マデルノはパラッツォ・ファルネーゼのように中庭のあるタイプの平面構成をとっていたが、引き継いだベルニーニはH型平面に仕様変更し現存する形の構成とした[3]。このベルニーニの仕様変更に対するボッロミーニの関わりは明らかになっていない[5]。『地球の歩き方』によれば当初のマデルノ案の時点でH型平面であったとされており、ベルニーニが仕様変更したわけではないとしている[6]。
1634年にボッロミーニはパラッツォ・バルベリーニの近くにあったサン・カルロ・アッレ・クワトロ・フォンターネ聖堂改修の仕事にかかるため手を引き[5]、装飾と残りの建設作業はベルニーニが1638年に完了した[3]。結果として「イタリア・バロックの3大建築家が協力した珍らしい作品」[5]という評価を与えられることとなった。
ながらくバルベリーニ家の所有であったが、1949年に至って政府の所有となった。この移管は寄付であるとする説明[7]と売買によるとする説明[6]がある。1953年の映画『ローマの休日』において、登場人物のアン王女が滞在および脱走する某国大使館の門はパラッツォ・バルベリーニの門が使用された[8]。現在は絵画館(後述『国立古典絵画館』)として使用されている[7][9][10]。
ローマ地下鉄A線バルベリーニ駅のあるバルベリーニ広場周辺[9]、方角で言えば南東に位置する。トリトーネの噴水などで知られる広場で、窓からすぐ下方に見える位置である[11]。パラッツォ・バルベリーニの南西にはクイリナーレ宮殿がある[12]。
高低差のある立地で、背面に設けられた庭園は建物の2階部分と一致する高さにあたる[3]。この庭園側からの建物入り口には、騎乗のまま利用が可能な大階段を下って至るようになっている[3]。
正面を西としてH型の平面を見せる3階建ての建築物である。H型といっても左右対称ではなく、南側は若干短くなっている[13]。
H型のへこんだ前庭の奥には三角形の玄関がある[3]。玄関入って正面からは楕円形の広間を囲む形で二手にわかれた大階段が上階へ続いている[3]。玄関の右手(南側)には螺旋階段が、逆の左手(北側)には直上階段がこれも上階へ続いている[3]。この玄関と大階段はベルニーニの作であることがわかっている[5]。
2階には大広間と主室があり[3]、大広間にはフレスコ画が描かれている[10]。このピエトロ・ダ・コルトーナによる天井画『神の摂理の勝利』(Trionfo della Divina Provvidenza)[14]については 「ピエトロ・ダ・コルトーナ#バルベリーニ宮殿天井画」 を参照。同じく2階にある、クーポラをもつコルトーナの礼拝堂 (Cappella di Pietro da Cortona) もコルトーナによるフレスコ画で装飾されている[15]。
3階はかつての居室部分で、バロック期以降の作品を主に展示している[15]。2013年に開放された[6]。
歴史節で述べたように現在は絵画館として使用されており、ラファエロの『ラ・フォルナリーナ』(La fornarina) をはじめ、12、3世紀 - 18世紀[16]の絵画を中心とした美術品などが展示されている[9][10]。コレクションは1893年にコルシーニ家からの寄贈で始まっていた国立古典絵画館を基にしている[6]。1949年にこのパラッツォに移転するとともに、コルシーニ宮、コロンナ宮のコレクションにバルベリーニ家、キージ家所有であった絵画などを追加し開館した[6]。なお、写真撮影は不可である[17]。
以下に『地球の歩き方』(2014年)にて紹介されている展示物を挙げる[18]。製作年代は脚注の資料より。
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