ゾンビ
ゲッコー・モリアの「カゲカゲの実」の能力により生み出された、動く死体。人間の持つ「もう一つの魂」である影を死体(多くはホグバックが強靭に造り直した「没人形(マリオ)」)に入れることで生み出される。ゾンビの「性格」「戦闘能力」は影のかつての持ち主に、「強靭さ」は死体の筋力に影響される[注 3]。ゾンビの身体は死体であるため、ダメージを受けても痛みや疲労を感じず何度でも立ち上がるが、肉体的なダメージは蓄積される。またゾンビの特徴として、「非常に」という状態を表すのに「腐れ○○」という修飾語を多用する。
アブサロムは兵士ゾンビと将軍ゾンビ、ペローナはびっくりゾンビと動物ゾンビの指揮権を有している。モリアはゾンビに対する指揮権の全てを牛耳っており、指揮権の移行も自由に行える。影を入れた直後は反抗的な態度を取ることもあるが、時間が経ち影と死体が馴染むと従順になる。モリアが影と過去消去の契約を結ぶことで影の記憶をリセットすることができる。ゾンビの名前は、死体の元々の名前(例:シンドリー、リューマ、オーズ)や入れられた影の持ち主の名前(例:ローラ、リスキー兄弟)がつけられる場合や、新しい名前(例:クマシー、カバ紳士)がつけられる場合がある。アニメでは、ゾンビの声はいずれも元の体ではなく影の持ち主のものと同じになっている。
これらのゾンビは、影の本体である人間が死ねば同時に命を失う。また、もともと悪魔の実の力で動いているため、海の力を持つ塩(または塩漬け食品、海水)によって影は死体との結合状態を保つことができなくなり、抜け出てしまう(「浄化」)。また火に弱く、肉体が燃え尽きることでも浄化可能。
浄化され実体化している影はモリア以外の人間にも触れることが可能で、死体だけでなく生きた人間に対しても入れることができる。生きた人間に影を入れることで、影の戦闘能力が影を入れた人間の戦闘能力に加算される(ナイトメア・ルフィが例)。影を入れられる側の人間の精神力が弱いと気を失ってしまうが、入れられる側の人間の精神力が持つ限り、影はいくつでも入れることができる。ただし影は生きた人間には居着かないため、せいぜい10分程度しか影を入れた状態を保持させることができない。影が戻った人間の中には、ゾンビだった頃の記憶が継承される場合がある。
ゾンビには識別番号が入っている。浄化されたものは欠番となり、若い番号を持つゾンビを後になって作ることが多々ある[7]。識別番号には以下の法則がある[7]。
- 動物ゾンビ:0 - 199
- びっくりゾンビ:200 - 399
- 兵士ゾンビ:400 - 799
- 将軍ゾンビ:800 - 899
- 特別ゾンビ:900
すべてのゾンビたちは最終的にモリアの「影の集合地(シャドーズ・アスガルド)」によって強制的に影を抜き取られ、機能停止して動かぬ死体に戻った。
動物(ワイルド)ゾンビ
ペローナの部下たち。全員動物の姿をしており、ペローナのお気に入りのぬいぐるみに似せて作られた。
- クマシー
- 声 - 岩崎ひろし
- 動物ゾンビ隊長。王冠をかぶったクマ。
- 外見は可愛いためペローナのお気に入りだが、声が低いので喋る度ペローナに怒鳴られてしまう。背中のチャックから中に入ることができる。ぬいぐるみの様な見た目に反して機動力は高く、腕力は本物の熊をもしのぐ。誕生日は9月4日[3]。
- そげキングとなったウソップの奇襲に遭い、塩を口の中に入れられて浄化された。
- カバ紳士
- 声 - 竹本英史
- 動物ゾンビ副隊長。口髭を生やしたカバ。
- ナミを襲った際、犬ッペに蹴り倒される。その後、クマシーの敵討ちのためウソップに攻撃するが、「衝撃貝」で倒された。
- ヒルドン
- 声 - 松野太紀
- ホグバックの執事。
- 両腕がコウモリの様な翼になっており、飛ぶことができる。笑い方は「ヒヒヒヒ」。「す」を「し」と発音する。
- ナミたちをホグバックの屋敷へ案内し、その後はモリアやペローナらにスリラーバークの状況を報告していた。
- リスキー兄弟
- 声 - 沼田祐介、西脇保
- 届け物を配達するリス。ローリング海賊団のリスキー兄弟の影を入れられたゾンビ。
- ナミたちを棺に入れて運んでいたが、脱走を許してしまった。その後、ペローナがスリラーバークから脱出する作業を手伝っていたが、宝物庫に現れたナミに脅されペローナの居場所を白状してしまった。
- 犬ッペ
- 声 - 粗忽屋
- ペンギンゾンビトリオの一匹(新入り)。顔だけ犬のペンギン。サンジの影を入れられたゾンビ。誕生日は12月16日(犬(12)っP(16))[8]。
- 将軍ゾンビ級の強さを誇り、サンジと同じ「女は死んでも蹴らん」という主義を持つが、影と体が馴染んでからは、ロビンにも容赦なく蹴りかかった。
- ナミたちを襲った動物ゾンビを返り討ちにするが、アブサロムに一撃で倒される。その後、モリアにより指揮権を移されたホグバックによって、ジゴロウと共にチョッパー・ロビンと対峙する。しかし、ゾロの影が入ったジゴロウとは相容れない性質で、仲間割れをした挙句、ホグバックが誤って下した命令に従い、塔から飛び降りた。
- ケルベロス
- 声 - 藤本たかひろ
- スリラーバークの入り口にある堀にいた三つ首の犬。
- 三つ首の内一つは狐であり、それを気にしていた様子で指摘されると怒り、鳴き声も「ゴォーン」と鳴く。誕生日は11月29日(いい肉の日)[8]。
- スリラーバークに上陸したナミたちを追いかけまわした。次に上陸したルフィたちも威嚇するが、ルフィに殴られ、そのまま彼らと途中の墓地まで同行することになる。墓地でゾンビ軍団が襲いかかってきた際に逃亡した。
- ユニガロ、モクドナルド[3]
- 声 - 岡本寛志、竹本英史
- ユニガロはユニコーンのゾンビ。モクドナルドはおっさんと木の融合ゾンビ。
- 2人で一杯やっていた際、ルフィから仲間に勧誘された。
びっくりゾンビ
ペローナの部下たち。絵画・剥製・敷き皮などを模したゾンビの総称。
- ブヒチャック
- 声 - 平井啓二
- ブタの壁掛け剥製。ホグバックの屋敷の一室でゾンビ部長を担当。語尾に「ブヒ」と付ける。
- 敷きグマ
- 声 - 竹本英史
- 熊の敷き皮。
兵士(ソルジャー)ゾンビ
アブサロムの部下たち。ゾンビの中では最も個体数が多い。
- ビクトリア・シンドリー
- 声 - 桑島法子(ゾンビ)、進藤尚美(生前)
- ドクトル・ホグバックの使用人。マルガリータという女性の影を入れられたゾンビ。
- 「西の海」出身[2]。24歳没[3]。誕生日は5月4日[3]。身長188cm[3]。おうし座[3]。血液型F型[3]。好物はピッツァ・マルゲリータ[3]。
- 生前は舞台女優。貴族の生まれで、子供の頃から人気を集めていた。気取りがない心優しい性格で、その美貌はホグバックを始め、国中の男を魅了していた。ホグバックから求婚されたが、婚約者がいたため断っていた。12年前、舞台からの転落事故で死亡する。
- ホグバックがモリアの部下になった際に死体を盗み出され、マルガリータの影を得てゾンビとなる。この時、過去消去の契約を結ばなかったため、影の持ち主同様皿嫌いで、皿を使わずに料理を出す。発言はことごとくネガティブかつ陰湿で、口癖は「○○なんか○○してしまえばいい」「○○するといい」[注 4]。普段のホグバックに対する態度はかなり酷なものだが、命令には逆らえない。ホグバックにある程度の戦闘ができるように身体を改造されている。
- ロビン・チョッパーとの戦いの時にチョッパーの言葉で身体の記憶が戻ったのか涙を流して行動が制限され、倒れた壁の下敷きになったホグバックの助けろという命令に従わず、生前を彷彿させる笑顔を浮かべ、ロビンとチョッパーを驚かせた。
将軍(ジェネラル)ゾンビ
アブサロムの部下たち。生前に名を馳せた戦士の肉体を元にしているため、他のゾンビよりも高い戦闘能力を有する。
ほとんどが鎧姿だが、体の全体や一部が動物になっているゾンビもいる。
- リューマ
- 声 - チョー(粗忽屋雑司ヶ谷店)[注 5]
- ワノ国の侍・リューマの肉体に、ブルックの影を入れられたゾンビ。
- 7年前、ブルックの影を入れられ復活した。ブルックの影が入っているため、彼と同じ陽気な性格になっている。生前はゾロと同じ「豪剣の侍」だったが、ゾンビとなったことでブルックの剣技を扱う。肉体のレベルはリューマの方が遥かに高いため、影を取り戻すために挑んできたブルックをことごとく返り討ちにしていた。
- スリラーバーク編では屋敷の用心棒を務めており、研究室を覗いたウソップたちを攻撃する。その後、5年間の修業を積んだブルックを返り討ちにするが、続くゾロとの激闘の果てに、「飛竜 火焔」によって敗れる。得物である黒刀「秋水」をゾロに託した後、肉体が燃えつき、影は本来の持ち主であるブルックに戻った。
- キャプテン・ジョン
- 声 - 岡本寛志
- 財宝のために残忍の限りを尽くした海賊。元ロックス海賊団船員。自身の財宝の在り処を「トレジャーマーク」に残したと言い伝えられている。
- ゾンビとなった現在は「生前の悪名が泣く」と叱責されるほどにやる気が感じられず、登場シーンでは酒を飲んでいることが多い。宝を独り占めしたことで部下に殺されたため、体にはいくつもの刺し傷があり、2本の剣が刺さったままになっている[10]。
- ローラ
- 声 - 久川綾
- 花嫁衣裳を着たメスのイボイノシシ。ローリング海賊団船長・求婚のローラの影を入れられたゾンビ。
- アブサロムに惚れており、幾度も婚約を求めている。アブサロムがナミに惚れているため、当初はナミを殺そうと追い回したが、彼女が恋の相談に乗ってくれたことで友情が芽生えた。アブサロムからナミを逃がすため、足止めしようとしたが返り討ちに遭う。ナミとのやり取りが本物のローラの記憶にも一部残ったことで、ナミとローラは親友同士になった。
- タララン
- 声 - 田中一成
- 「スパイダーモンキー」。サルの頭と尾を持つ巨大グモ。
- スリラーバークにいる500匹の部下「スパイダーマウス」との連携で、狙った獲物を確実に捕える。大きな耳を持つが、耳が遠くてあまり聞こえない。笑い方は「あっあっあっ」。手から放出する粘着性の高い糸「スパイダーねっとり網(ネット)」は、強度が高く人力ではちぎれないが、火には弱い。
- 屋敷の天井裏からルフィらを捕え、フランキーとロビン相手に奮闘するが、ブルックに影を抜かれて浄化された。
- ジゴロウ
- 声 - 粗忽屋西神戸店
- 伝説のガンコオヤジ。異名は「風のジゴロウ」。ゾロの影を入れられたゾンビ。
- 「西の海」出身[2]。59歳没。誕生日は2月21日(ジ(2)ゴロウ(U)→(21))[8]。身長238cm[2]。うお座[2]。血液型S型[2]。好物は白米、海獣の肉、酒に合う物[2]。
- 家族を守るために7千人の海賊を斬った剣豪。丁髷・まわし・ちょび髭といった容姿をしている。ゾロ同様に三刀流を使いこなし、煩悩鳳などの技を使用している。
- ホグバックの命でチョッパー・ロビンと対峙する。しかし、サンジの影が入った犬ッペとは相容れない性質で、仲間割れをした挙句、ホグバックが誤って下した命令に従い塔から飛び降りた。
特別(スペシャル)ゾンビ
- オーズ
- 声 - 粗忽屋浜田山店
- ルフィの影を入れられた特別ゾンビ。歴史上唯一「魔人」と呼ばれた狂戦士。古代巨人族[10][2]。異名は「国引きオーズ」。リトルオーズJr.の先祖。
- 「北の海」出身[2]。159歳没[2]。誕生日は10月4日[3]。身長39m[11][注 6]。体重102t[11]。てんびん座[2]。血液型F型[2]。好物は肉全般[2]。
- 通常の巨人の3倍ほどもある異常な巨体で[12]、頭から二本の角が生えている。約500年前に討ち取った国を島ごと自分の領土に持ち帰り、悪党たちの国を築いたという「国引き伝説」を残している。「氷の国」からモリアが死体を持ち出し、特別冷凍室に保管されていた。死因はチョッパー曰く「裸だったために凍死」とのこと。凍傷で右腕を失っているが、ホグバックによって復元されている。
- ルフィの影を入れられているため、能天気で自由奔放な性格を引き継いでおり、戦闘面でも巨体に似合わぬ敏捷性と、圧倒的な怪力を併せ持つ。腹の中は空洞になっており、モリアが乗り込むコクピットが設けられている。また、その巨体ゆえに、浄化用の塩が通常サイズのゾンビに対する量では微量過ぎて通用しない。ゾンビであるため痛覚はないが、ダメージを受け続けても体の状態に気づけないことが弱点。
- モリアの支配下に入ると麦わらの一味を襲撃し、圧倒的な力で壊滅状態に追い込む。しかし、途中参戦した「ナイトメア・ルフィ」によって倒される。再び立ち上がるも、蓄積されたダメージで右腕が動かなくなり、ルフィの一撃で背骨を折られたことで完全に行動不能になった。
- 『ONE PIECE magazine Vol.3』の「怪物図鑑」[11]によれば、筋肉のつき方はゴリラに近く、握力・背筋・腹筋などが異常発達している。骨格は人間に近いが、その強度は鋼鉄並みで、特に下半身の骨が強靭。腹部の縞模様の皮がカーテンのようになっており、モリアはここからコクピットに入る。モリアが座る台座はオーズの激しい動きに耐えられるよう強く固定されている。
技一覧
- ゴムゴムの鐘、ゴムゴムの鎌、ゴムゴムの銃、ゴムゴムの鞭、ゴムゴムの槍、ゴムゴムのバズーカ、ゴムゴムの銃乱打、ゴムゴムのスタンプ、ゴムゴムの回転弾、ゴムゴムの銃弾、ゴムゴムの戦斧
- いずれもルフィの技。体が伸びずとも圧倒的なリーチがあり、モリアの影革命によりさらにリーチと威力が増した。
- ゴムゴムのしりもち
- 自らの巨体を生かして相手に向かって尻もちをする。ゴムとは関係なく、ルフィも使ったことがない。
- オーズボール
- モリアの「影革命」で体をボールのようにし、突進攻撃を仕掛ける。
その他のゾンビ
- ギョロ、ニン、バオ
- 声 - 斉藤貴美子、竹本英史、粕谷雄太
- モリアのもとで使用人を務めている小柄なゾンビたち。
- ギョロは和服姿で、背に日本刀を差している。ニンは弓矢を背負っている。バオはマントを身に着けている。
- スパイダーマウス
- 声 - 沼田祐介、平井啓二
- タラランの部下。ネズミの顔をしたクモ。
- タラランと同じ性質の糸を吐き出す。タラランの耳代わりとして、情報網の役割を持つ。また、影を抜くために侵入者を密かに捕らえたりもする。