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キャッシュレジスター(英: cash register)は、主に商店において、商品の販売額を計算、記録する機器。日本語では「金銭登録機」、日常用語の略称としては「レジ」[2]と呼ばれる。
本体とともに、現金(売上金やお釣り、金券やクーポン券などその他の有価証券など)を保管するドロワーと呼ばれる引き出しが対をなすドロア一体型と、それではないドロア分離型が存在する。
1879年にジェームズ・リッティが発明した。
商品の売上金額を打鍵すると、その記録としてジャーナルを印字し、内部の計算機にその金額を記録し、一定期間の売上金額を集計して印字する。ジャーナルとは、レジの会計データを印字したもので、レシートと同じ内容が記載される[3]。また、任意の期間で売上をゼロリセットする機能や、マイナス登録する機能を持つ。
レジ用語の「登録」は、文字通り売上(返品)記録をレジスターに「登録」することに由来する。
時代とともに、次のような機能が付加されていった。
スーパーマーケットや量販店など、レジスターが何台か集中設置されている場所(カウンター)を、レジカウンターと呼ぶ。
精算後の商品を袋詰めするための台をサッカー台という。
レジ周辺は会計を待つ客が停滞する時間が長いため、手に取りやすい商品を配置する重要な場となっており、レジ横に陳列する商品をレジ横商品という。
2020年9月26日、カリフォルニア州のバークレー市議会は、健康的な食生活の推進を目的として、レジ横でジャンクフードを販売することを禁止する条例案を可決した[5]。
業種に応じた特殊なキャッシュレジスターが導入される例がある。
1973年、チェーンストア労組中立会議、一般同盟などの主要スーパーマーケットの労働組合代表らが、レジ係の待遇改善を含めた統一要求をまとめて労働省に陳情を行った。当時は、全国に2万人以上いると推定されるレジ係の大半が、キーを押すのに力がいる外国製のレジスターを4、5時間も打ち続ける環境にあり、腱鞘炎を発症するケースも出ていた。このことから、当時の労働省が定めたキーパンチャーの保護策に準じた待遇を要求した[6]。
スーパーやコンビニなどで、客自身が商品を登録し、精算処理を行うレジスター。セルフチェックアウトシステムともいう。スーパー向けには、東芝テック「セルフレジ」や日本NCR「セルフチェックアウトシステム」などの商品名で販売されている。これらフルセルフレジに対して、2013年頃からはセミセルフレジの導入が増加傾向にある[7]。セミセルフレジでは、商品登録(スキャン)はチェッカー(レジ係)が行い、その後客が近接の自動精算機で支払うことで、現金管理の手間や精算する時間を抑えられる。
セルフ式ガソリンスタンドで客が操作する精算機器も一種のセルフレジといえる。レンタルビデオ店のTSUTAYAやゲオでは、DVDやCD・コミックのレンタルを顧客自身で手続きできるセルフレジを導入している。
一部の図書館では、図書の貸出手続きを利用者自身の手で行うセルフ貸出機(自動貸出機)を設置し、図書館職員の業務省力化を図っている[8](金銭のやり取りはない)。
食器のICタグを読み取り、お盆ごとセンサーに乗せるだけで合計金額が算出される食堂向けセルフレジもある。社員食堂などでは決済に電子マネーやプリペイドカードなどを使い、完全にセルフ化しているものも少なくない。一部の割引きが計算されないなどの制限がある。
2019年4月11日ミニストップは、2020年2月末までに全国の約2,200の店舗すべてにセルフレジを導入することを明らかにした。ローソンは2019年9月末までに、セブン-イレブンも2019年内に全店に導入する計画を発表。ファミリーマートも2020年2月末までに新たに4,000台を導入する計画である[9]。
スマホやタブレットを使った売場移動型セルフレジシステムがイオン(レジゴー)や平和堂など(ピピットセルフ)で採用されている[10][11]。スキャン時に価格を表示し、合計金額を確認しながら買い物できる[12]。会計の時に専用の二次元バーコードを読み取るか、画面に表示されたバーコードを精算機に読み取らせて、会計する[13]。会計が済んだか確認するシステムが搭載されている店舗もある。
セルフレジを悪用した万引き被害が、各地のスーパーやコンビニで多発している。2022年にはセルフレジで万引きを繰り返していた60代の男性教員が懲戒免職となる事件も発生した[14]。セルフレジの導入による「人の目」の少なさが逆手に取られた形で、商品のバーコードを手で覆い、レジを通したふりをしてエコバッグに入れたり、カートの下に高価な商品を置いて精算せずに出たり、モヤシのバーコードを読み取らせて高価な別の商品をバッグに入れる「もやしパス」などの手口が見られ、店舗側はレジに客の手元を映すカメラを設置するなど対応に追われている[15][16]。
アメリカ合衆国のAmazon.comは、2016年にレジ精算不要のコンビニエンスストア「Amazon Go」を発表した[17]。 Amazon Goには、チェックインとチェックアウトレーンがあり、客はスマートフォンに入れた専用アプリのQRコードをチェックインレーンで認識させ入店し、チェックアウトレーンから出ると自動精算される[17]。Amazon Goは、従業員限定で店舗の試験営業をしたのち、2018年1月にワシントン州シアトルにある本社ビルの1階で正式オープンした[17]。
ローソンはレジを通らずスマートフォンで決済が完了する「ローソンスマホレジ」を2019年9月末までに1,000店に拡大する計画である[9]。
店員が立ち会わないセルフレジや、レジ精算不要なシステムは「無人レジ」と総称されることもある[2]。
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