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、軍用装甲車などの装甲戦闘車両や軍用船舶に装備されている遠隔操作式の無人銃架・砲塔の事を指す ウィキペディアから
RWS(Remote Weapon System、Remote Weapon Station)は、軍用装甲車などの装甲戦闘車両や軍艦に装備されている遠隔操作式の無人銃架・砲塔の事を指す。
RCWS(Remote Controlled Weapon System/Station)やOWS(Overhead Weapon Station)とも呼ばれる。防衛省ではリモートウェポンステーションと訳している[1]。
21世紀に入って実戦で使用された新しい兵器である[注 1]。代表的なRWSは、市街戦などにおいて、車外に身を晒して対人銃器を操作する乗員の被害が多いことへの対策としてイスラエルのラファエル社でラファエル OWSが開発され、その後、各国で同様のものが開発・配備されている。近年のエレクトロニクス、ロボティクスの急速な進歩に後押しされて急ピッチで大型高機能化が進みつつあり、機関砲と複数のミサイルを装備する複合砲塔も現れている[2][3]。
市街地など待ち伏せを受けやすい場所では、機銃手が車外に露出して警戒すると狙撃されたり、路肩爆弾などに巻き込まれる危険があるため、射手の周囲を覆うOGPKが開発されたが、装甲板が防げるのは小銃弾程度であり、上部が開放されていたため手榴弾や火炎瓶などを投げ込まれる恐れもあった。このため兵士を外に出さず車内から搭載カメラの映像を見ながら操作を行い、安全に攻撃を行う事ができる装置の需要が生まれた。このため現行でRWSは軽装甲の小型車両に搭載されることを前提とした設計が多い。基本的にオペレータが車内から操作するため引き金は露出していないが、アルバレット-DMは本体の後部から搭載したKord重機関銃の操作が可能であるなど銃架としても使える設計もある。
戦車や歩兵戦闘車のように積極的な攻撃意図をもって装甲車両と交戦する戦闘車両は、敵歩兵の肉薄を防ぐため銃眼の他にリモート機銃を備えることもあったが、砲塔には主砲同軸機銃を備えていることが多い上、機銃の照準をペリスコープ越しに合わせるため命中率は低く、あくまで歩兵を追い払う牽制用にとどまっていた。例として74式戦車の試作段階では車内からリモコンで操作する対空機銃がテストされたが、機銃用ペリスコープの狭い視界からは精密射撃が期待できず費用対効果が低いと判断され、量産型では採用されなかった。
装甲兵員輸送車に自衛用として装備される機銃を車内から操作できるように設計された例もあるが、制御装置が未発達であったため命中精度は低く、機銃手の安全を確保するという意味合いが強かった。例として73式装甲車や96式装輪装甲車は銃塔を車内から操作可能であるが、NBC環境下での戦闘を考慮した結果であり、照準はペリスコープごしであるため精密射撃は不可能であった。ディンゴ (装甲車)には潜望鏡を利用した機械式の兵装ステーションが搭載されているが視界が狭いため、カメラを搭載したRWSへの更新を予定している。
後に光学機器や制御装置などが進化すると精密射撃が可能となり、狙撃が可能な対人・対空機銃など期待されていた用途に加え、搭載カメラのズーム機能や暗視装置により偵察・監視任務にも利用できるようになった。また現代では無人航空機の対策として搭載される例もあり、インド陸軍はアージュン主力戦車をMk-IIにアップデートした際、主砲同軸機銃とは別に砲塔上部の機銃をRWS化している。
搭載される火器は、歩兵や小型の無人航空機など軟目標対策として5.56mmを使う軽機関銃を搭載した物から、30mmクラスの機関砲を搭載した砲塔に近いものまで存在する。
RWSは一種の軍事用ロボットであり、走行中でも標的を照準に捉え続ける機能が実現されている。現代では艦船に搭載されるCIWSのような飛来するミサイルを迎撃するアクティブ防護システムとしての機能、敵の攻撃を感知し照準・反撃を行う自律システム化が研究開発されている[4]。
従来、戦場後方で使用される軍用車両にはそれほど武装は求められず、せいぜいピントルマウント[注 8]と呼ばれる棒状の銃架に機関銃が1丁付いている程度だったが、20世紀末からは機動力が増し、空陸一体で戦う兵器の登場で、固定的な前線が意味を失い、従来の後方部隊であっても戦闘に巻き込まれる可能性が高くなった。
また、国軍同士が戦う従来型の戦争や紛争に代わって、ゲリラとの戦闘や治安維持的な任務が求められるようになり、従来の最前線で戦う戦車など装甲戦闘車両と後方補給活動で使われるトラックのような非装甲の輸送用車両との中間的、または両方の機能が求められるようになった。
こういった状況に対応して、従来型の兵員輸送車や、ある程度装甲を備えた輸送的な任務がこなせる車両へ適度な武装能力を与えるためにRWSは開発された。RWSは、棒だけの銃架で車長が肩から上を車上に曝して機関銃を射撃するものと、1人や2人程度の有人砲塔によって機関砲で砲撃するものとの、中間的な武装であるといえる[4]。
艦船が搭載する対空防御用の機銃は当初有人であったが第二次世界大戦後には遠隔操作式の研究が進み、航空機だけでなく対艦ミサイルへの防護手段としてファランクスのような自律した防御システム(CIWS)が普及している。また主砲も、甲板下弾薬庫からの装填から砲の操行まで自動化された無人砲塔が主流化している。
巡視船などに搭載される小型の砲塔も遠隔操作式であるが、射撃指揮システムの進化により、波の高い外洋においても船舶の特定部位を狙う程度の命中精度が実現している。例として 海上保安庁の使用するRFSは3メートル以上のうねりがある海象状況でも十分な命中精度を発揮した。
この他、米イージス艦「コール」への自爆テロ事件以後、長距離戦向けのミサイルやレーダーが使えない港湾部などでの近接迎撃戦用として機銃や機関砲などの増備が進みつつあり、既存のMk 38 25 mm 機関砲などの遠隔操作化や、陸上むけRWSからの転用、より大型の艦載用RWSなどの開発がトレンドとなっている。
大型爆撃機の防御用銃座は当初有人であったが、与圧するため銃眼を開けられなかったB-29で遠隔操作式が採用された。攻撃ヘリコプターに広く採用されている旋回式機銃・機関砲も機能的にはRWSの一種である。
アメリカ海兵隊向けのMV-22には電子・赤外線センサを備えたターレットからの情報を機内の液晶ディスプレイで確認し、コントローラでM134を載せたターレットを操作するIDWS(Interim Defense Weapon System)の搭載が予定されている。
飛行場や陣地の防空用として、対空機関砲(VADS)や対空ミサイル(アイアンドーム)で迎撃する機材を車両で牽引できるサイズにまとめたシステムが利用されている。
韓国のサムスンSGR-A1のように国境警備の監視哨などに配置するカメラやセンサーにさらに武装を追加したRWS化することも検討されている[6][7]。
ウクライナ軍ではクラウドファンディングにより開発資金を調達し、Steam Deckでコントロール可能なプラットフォーム「Sabre」を導入している[8][9]。車両への搭載も可能で、銃器は汎用品を流用出来るほかカメラのみを搭載し監視任務にも利用できる[9]。
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