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PlayStation 2のエミュレータ ウィキペディアから
PCSX2は、フリーかつオープンソースで開発されているPlayStation 2(以下PS2)エミュレータである。対応OSは、Microsoft Windows、Linux、macOS[1]。
Windows 10で動作するPCSX2
(バージョン1.6.0) | |
作者 | Linuzappz, Shadow, Refraction, Saqib, Gabest, Gregory, GovanifY, Stenzek, lightningterror |
---|---|
開発元 | PCSX2 Team |
初版 | 2002年3月23日 |
最新版 |
2.0.2
/ 2024年7月13日 |
最新評価版 |
2.0.3
/ 2024年7月13日 |
リポジトリ | https://github.com/PCSX2/pcsx2 |
プログラミング 言語 | Visual C++ |
対応OS | Microsoft Windows、Linux、macOS |
プラットフォーム | x64 |
対応言語 | 26言語(日本語対応) |
サポート状況 | 開発中 |
種別 | PlayStation 2 ゲームエミュレータ |
ライセンス | GNU General Public License |
公式サイト | https://pcsx2.net/ |
高いレベルの互換性と機能を備え、PS2タイトルを幅広くサポートしている。
2002年に開発が開始された。アンチエイリアシング、テクスチャフィルタリングにより、ネイティブ解像度の最大8倍に画質を向上させる機能など、従来のPS2本体でのゲームプレイよりも、改善された環境で遊ぶことができる。
PS2ソフトを動作させるには、標準的なx86アーキテクチャを採用したPCで、異なるアーキテクチャによるEmotion Engineの動作を再現する必要があり、その点が大きなボトルネックとなっていた。各プロセッサは独立してエミュレートできるが、それらを正確に同期して、動作の忠実な再現を行うことが困難であった[2]が、開発の進展に伴い、実用的なエミュレータへと進化していった。
Android用のPS2エミュレータ「AetherSX2」や[3] 、2022年にリリースされたXbox Series X/Sへの移植版の「XBSX2」も、PCSX2をベースにしている[4]。
前身となるプロジェクト「PCSX」と同様に、PSEmu Pro仕様のプラグインが、コアエミュレータからいくつかの機能を分離して存在する、プラグインタイプのエミュレータである。グラフィックス、オーディオ、入力コントロール、CD/DVDドライブ、USBやFireWire(i.LINK)ポート等の各機能をそれぞれのプラグインが再現する。
異なるプラグインを利用することで、互換性とパフォーマンスの両方で異なる結果をもたらす可能性があるため、1つのプラグインでパフォーマンスが改善しない場合は、より別のものを試して高速化することもできる。
代表的なプラグインには、以下のようなものがある。
名称 | 機能 | 詳細 |
---|---|---|
GSdx | 映像 | 最も速く、最も正確なグラフィックプラグイン。OpenGLかDirect3Dのサポートが必要で、オプションでGPUをできる。PS1とも互換性はあるが、ソフトウェアレンダリングに限定される。非公式のToCAEDIT[5]バージョンとGSdx-Cutieバージョンもある[6]。 |
GSdx FX | 映像 | GSdxプラグインのためのポストプロセシングシェーダーパック。 |
ZZogl | 映像 | OpenGLを使用するあまり最適化されていないグラフィックプラグイン。LinuxとWindowsと互換性がある。ZeroGS KOSMOSプラグインのフォーク。 |
SPU2-X | 音声 | 最も正確な音声プラグイン。 |
SSSPSX Pad | 入力 | シンプルな入力プラグイン。 |
LilyPad | 入力 | キーボード、マウス、コントローラに対応する、より先進的な入力プラグイン。 |
Nuvee | 入力 | ライトガンとUSBマウスをサポートする入力プラグイン。 |
TwinPad | 入力 | マウス、コントローラに対応する入力プラグイン。 |
XPad | 入力 | XBOX 360の純正コントローラに対応する入力プラグイン。 |
CDVD | ディスク | PS2の光ディスク自体から、ゲームを動作させるためのプラグイン。 |
Linuz ISO CDVD | ディスク | PS2の光ディスクのISOイメージを圧縮するためのプラグイン。 |
Dev9 | ハードドライブ | PS2のHDDユニットとイーサネットを再現できるプラグイン。 |
MegaDev9 | ハードドライブ | Dev 9の機能追加版。HDDの動作再現のみ対応する。 |
ネットプレイ | ネットプレイ | インターネットでの対戦を楽しめるプラグイン。 |
v1.7.0-dev-1420において、PCSX2はすべての機能をコアエミュレータに統合し、プラグインの概念を排除した64bit版をリリースしている[7]。統合された機能はGSdx映像プラグイン、SPU2音声プラグイン、Lillypad (Windows)もしくはOnepad (Linux)入力プラグイン、DEV9プラグイン、CDVDプラグインである。
バージョン0.9より前のバージョンは動作が低速で、最も早く動作するソフトウェアでも2~15FPS程度しか出ず、非実用的だった。しかし、2006年4月に発表されたバージョン0.9以降、デュアルコアCPU(Athlon 64 X2とCore 2 Duoなど)をサポートし、マルチスレッド化による最適化がなされて、パフォーマンスが大幅に向上し、大半の2Dゲームにおいては実機での動作と大差のない体感速度になった。バージョン1.0からはさらに互換性が向上し3Dゲームの動作も実機と大差なくできるタイトルが増えてきている。
2021年11月現在では、PS2タイトルの97%が、軽微な問題はあるものの、エミュレータで「プレイ可能」とされている。22タイトルは「完璧」と見なされ、バグがなく、少なくとも1つを除くすべてがメニュー画面の読み込みを行える[8]。
2016年9月からは、PlayStation(PS1)の一部タイトルに対応した[9]。
PCでの動作要件は以下のようになっている。
プラグインの改良、ハードウェアの能力向上により、動作は軽くなってはいるが、依然要求されるスペック(仕様)は高く、2Dゲームでは、3GHz前後のデュアルコアCPUがあれば、オンボードVGAで動作するものもあるが、3Dゲームでは、2016年時点のハイエンド機、3GHz以上のデュアルコアCPUに、GeForce GTX 1050 Ti以上の性能が必要である。
また、PS2の実機から吸い出したBIOSが動作に必要となるため、PS2本体が必要となる[10]
動作環境 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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ハードウェア要件は、主にゲームによる。エミュレーションの高い計算負荷から、最新のミッドレンジからハイエンドのPCでのみ動作する可能性が高く、ローエンドのPCである場合、完全なパフォーマンスにならない可能性がある。
ほとんどの場合、エミュレーションの処理負荷はGPUではなくCPUにかかるが、内部解像度の設定が高すぎる場合や、最適化されていない一部のゲームをプレイする場合は、GPUによって動作が遅くなる場合もある。ただ、ハードウェアが時間とともに進歩し続けるにつれて、PCSX2のパフォーマンスの問題も減少してきている。
GSdxプラグインは、PS2本体よりも高画質に改善する機能がある。。
どこでもセーブと動的再コンパイル(JIT)に対応する。GSdxプラグインを使用することで、フルHDでのゲームプレイの録画も行える。
他には、ゲーム速度の変更、無制限のメモリーカード機能、PNACHパッチファイルを使用したチートコードへの対応などの機能がある。
PCSX2の開発は、PlayStationエミュレータ「PCSX-Reloaded」のプログラマーであった開発者、LinuzappzとShadowにより、2001年に開始された。他の開発者も後にチームに加わり、いくつかのPS2タイトルを読み込めるようになった。
さらに、PS2のBIOSを動作させるという困難な作業に取り組み始め、当初は、実行はできたものの、遅さとグラフィックの不具合・歪みが存在した。その後、バージョン0.9.1が、2006年7月にリリースされた。
2007年から2011年にかけては、ネット対戦機能と速度の改善に取り組んだ[11]。バージョン0.9.8は2011年5月にリリースされ、wxWidgetsで書かれた新しいGUIを特徴とし、LinuxやWIndowsでの互換性を改善しました。
2010年には、新しいVUのリコンパイラ追加がなされ、互換性の向上や、メモリカードエディタ、SPU2-Xオーディオプラグインのオーバーホール、および他の多くの改善をもたらした[12]。
かつてはmacOSへの対応も行われていたが、macOS MojaveからOpenGLとOpenCLに対応しなくなったため、開発が正式に停止された。
2022年からは、Vulkanに対応した[13]。同年12月、WxWidgetsベースのUIからQtベースに移行された。
過去、公式のPCSX2とは別に、有志がPCSX2 Playgroundというプロジェクトを立ち上げ、主にリコンパイラの精度の改善、特定のゲーム向けの修正、プラグインの改良などを行っていた。2008年12月にPCSX2の公式ウェブサイトでプロジェクトが紹介され、同時に初のパブリックリリースを行った。 2009年9月時点で、公式のPCSX2にプロジェクトが統合された。
PCSX2は非常に高い評価を得ている。Geek.comのマシュー・ハンフリーズは「印象的」と表現した[14]。PCワールドのアレックス・ガーネットは、PCSX2の設定の難しさを批判したが、同時に「傑作」とも評価した[15]。Micro Martのデビッド・ヘイワードもその複雑さを批判したが、「技術的に驚くべき」とも述べた[16]。In.comのSriram Gurunathanは、PCSX2を「間違いなく最も人気のあるエミュレータ」とした上で、サイトのトップ5エミュレータの1つであると評価した[17]。Digital TrendsのBrandon Widderは、最高のエミュレータを紹介する記事の中で、PCSX2を取り上げた[18]。Tom's GuideのJohn Corpuzは、最高のPC向けプレイステーションエミュレータの記事でPCSX2に言及し、「安定したプレイ可能なプレイステーション2エミュレーションに関しては、PCSX2は現時点で最高だ」と述べている[19]。
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