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『PANIC ATTACK』(パニック・アタック)は、日本のロックバンドであるUNICORNの2枚目のオリジナル・アルバム。
『PANIC ATTACK』 | ||||
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UNICORN の スタジオ・アルバム | ||||
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レーベル | CBSソニー | |||
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1988年7月21日にCBSソニーからリリースされた。前作『BOOM』(1987年)よりおよそ9か月ぶりにリリースされた作品であり、作詞・作曲はほぼ全曲で奥田民生が担当しているが、一部の曲で堀内一史および川西幸一、手島いさむが作詞もしくは作曲を担当している。プロデューサーは前作に引き続き笹路正徳が担当している他、前作でディレクターであった河合マイケルがプロデューサーとして参加している。
本作レコーディング前にキーボード担当であった向井美音里が脱退し、レコーディング期間中に新たなメンバーとして阿部義晴が加入することとなった。音楽性としては前作に引き続きニュー・ウェイヴやハードロック、パンク・ロックなどを基調としているが、コミカルな歌詞や展開の曲が増加していることが特徴となっている。また、本作にて初めて奥田以外のメンバーがボーカルを担当している他、メンバー全員が作詞を手掛けることとなった。
本作はオリコンアルバムチャートにおいて最高位第19位となった。また、前作に続き本作からも1曲もシングルカットはされていない。
広島県にてドラマーの川西幸一を中心に、ギタリストの手島いさむおよびベーシストの堀内一史の3名で結成されたUNICORN[4]は、1986年3月にボーカリストの奥田民生およびキーボーディストの向井美音里が新たに加入し同年4月より正式に活動が開始された[5]。同年6月にはCBSソニーによるオーディションに合格し[6]、結成からわずか3か月でメジャーデビューが決定することとなった[5]。
デビュー決定に伴いメンバーは上京、1987年4月12日には日比谷野外音楽堂にて行われたイベントライブ「勇気ある子供たちが時代をつくる」に参加、上京後初ライブとなった[7]。同年10月21日にはファースト・アルバムとなる『BOOM』(1987年)がリリースされる。また、9月24日および1988年1月31日にはインクスティック芝浦にてライブを行った。1月31日のライブを最後にメンバーの向井はUNICORNからの脱退を表明、脱退の理由は体力的に継続的なライブ活動が困難であるためと川西は述べている[8]。4人編成のバンドとなったUNICORNは、同年3月27日に完成直後の日清パワーステーションにてライブを行い、およそ1200人規模の同会場には聴衆が入りきらない状態となった[9]、6月21日および7月4日には大ホールとなる日本青年館にてライブを行った[10]。7月4日の公演は2部構成となっており、1部において本作収録曲が全て演奏された[11]。
レコーディングは1988年に音響ハウスおよびスターシップ・スタジオ、ソニー信濃町スタジオにて行われた。
川西はキーボーディストの脱退に伴い次作制作までの間にオーディションを行うと述べていた[8]。しかしオーディションでめぼしい人材が発掘されず、本作のレコーディングが進行する中でサウンドスタッフとして参加していた阿部義晴が、5月25日に行われた名古屋市民会館でのイベントライブにて正式メンバーとして加入することとなった[13]。阿部は前作のプロデューサーであった笹路正徳のサポートでシンセサイザー・マニピュレーターとして参加しており、本作のレコーディング中に感触を得たメンバーにより正式加入が決定された[13]。しかしアルバムのリリース日はすでに決定していたため、アルバムジャケットには映っておらず、スタッフ・クレジットにおいてはSpecial Thanksとして記載されている。
奥田によれば本作は「明るいアルバム」を目指して制作された[12]。川西は本作に関して、前作ではテクニック的に追いついていない部分があったため、本作では向上したテクニックを発揮したことと各パートの生音を活かすことを念頭にレコーディングを行ったと述べている[12]。
本作では初めてメンバー全員が作詞を手掛けている[12]。「ペケペケ」に関して川西は、哲学や人生、政治などを題材にしたくないことから色物の歌詞として制作しており、歌詞中の男のイメージは奥田であると述べている[12]。また、当初「ペケペケ」は仮題であったが、ライターの星野京子の要望によってそのまま正式タイトルとして採用されることになった[12]。「シンデレラ・アカデミー」に関して堀内は、色物っぽい歌詞であるが作詞に関しては現実的ではないものを好んでいるため、歌詞中の登場人物の具体的なモデルは存在しないと述べている[14]。「ツイストで目を覚ませ」に関して手島は、歌詞中の人物のイメージは自身であると述べた他、「噂じゃ町のドラ息子」という箇所が文法上問題があり、ドラ息子という言葉は2人称であり噂という言葉は3人称であることから、正しくは「町じゃ噂のドラ息子」とすべきであったと述べている[14]。
書籍『114+4 UNICORN写真+作品集』にてプロデューサーである河合誠一マイケルは、本作からUNICORNの「3の線指向」が始まったと述べ、次作『服部』(1989年)へと至るプロセスで、ユーモアだけでなくロック的なテーマから5人を解き放ってしまったかのようであるとして、「ほんとに楽しくなりました」と述べている[15]。同書にてライターの宇都宮美穂は、前作の歌詞に関して「悪い冗談みたいだと私は思う」と述べた上で、本作の歌詞は同じく悪い冗談でありながらもセンスのきらめきを見せていると述べた他、無意味な歌詞でありながらも「なんだかクスリと笑わせられる、"VOW"みたいな歌詞だな」と思わされたと述べている[16]。
音楽誌『別冊宝島724 音楽誌が書かないJポップ批評22 ユニコーン&奥田民生の
本作は1988年7月21日にCBS・ソニーから、LP、CD、CTの3形態でリリースされた。本作に関するプロモーションとして、1988年8月20日放送のフジテレビ系深夜番組『オールナイトフジ』(1983年 - 1991年)に出演し、阿部がメンバーとして初めて紹介されることとなった。また、同年11月19日放送の中京テレビ音楽番組『5時SATマガジン』(1981年 - 1993年)および11月28日放送のNHK総合音楽番組『ジャストポップアップ』(1988年 - 1991年)、12月31日放送のテレビ神奈川音楽番組『Live TOMATO SPECIAL』(1986年 - 1993年)に出演しいずれも「I'M A LOSER」を演奏した。
本作収録曲の内、「I'M A LOSER」と「ペケペケ」のみPVが制作されている。ディレクターを担当した板屋宏幸は初めてUNICORNを手掛けることとなり、最初に提案したのが「I'M A LOSER」において楽器を持たずに当て振りするというものであったが、奥田からは「ペケペケ」のビデオを制作したいとの要望があった[26][27]。結果として「ペケペケ」が制作されるなら「I'M A LOSER」も制作が可能であるという条件で2曲ともPVが制作されることとなった[26][27]。「ペケペケ」のPVでは、奥田が冒頭は歌唱していないことから、演出として歌の途中で突然現れるという奥田の提案から派生して、「ペケペケ」の撮影は温泉旅館で行われることとなった[28]。また、「あっ、好きなこと言ってなさい」という歌詞の部分で後ろのネオン看板に「明日(あす)」と点灯する演出も提案された[26][27]。しかし水中で隠れていた奥田が窒息しかけたことや、湿気で楽器が損壊したことなどから温泉旅館での撮影は失敗であったとメンバーは述べている[28]。そのほか、宴会シーンにはマネージャーである原田公一を含めた関係者スタッフが出演している[23]。前述の湯船シーンに写っているゾウは本来湯船の中に入れるはずであったが、風呂場の入り口を1センチほど上回る大きさであったため抜けられず、ドアもゾウも削ることができないためやむなく風呂場の外に移動された[29]。このゾウは湯煙で曇った窓の外のほとんど見えない位置に映っている[29]。
その後1992年11月21日にはMDにて再リリース、UNICORN解散後となる1995年12月13日には、ソニー・ミュージックレコーズから「ユニコーンの逆転満塁ホームランプライスシリーズ」として廉価版CDがリリースされた。また、2007年12月19日にはエスエムイーレコーズから紙ジャケット仕様CDとして再リリースされた[30][31][32]。さらに2012年12月5日には9枚組CD+DVDのボックス・セット『UNICORN SME ERA - remasterd BOX』においてデジタル・リマスタリング盤が収録され[33][34][35]、2017年12月6日にはデビュー30周年を記念して、ABEDONがリマスタリングを担当した工具箱風ボックス入りの15枚組CD-BOX『UC30 若返る勤労』に収録されて再リリースされた[36][37]。
キーボード担当の向井美音里が脱退、その後サポートメンバーとして参加していた阿部は、本作のレコーディング中に正式メンバーとして加入が決定した。しかしアルバムリリースはすでに決定していたため、ジャケット写真に阿部は写っておらず、スタッフ・クレジットにはSpecial Thanksとして記載されている[注釈 6]。
また本作のレコーディング中に、川西幸一は髪型を突然モヒカンにしてメンバーやスタッフを唖然とさせた。当時のマネージャーは憤慨したが、宣伝マンの「どうせならトロージャンにしちゃえば? インパクトがあっていいかもよ」の一言で許可されたという。そのため本作のジャケットにはトロージャン姿の川西が写っている[38]。
本作を受けたコンサートツアーは、「UNICORN TOUR PANICK ATTACK'88」と題して1988年10月14日の渋谷公会堂公演から12月24日の秋田県児童会館公演まで、20都市全24公演が行われた。初日となった渋谷公会堂公演では、1曲目に「ツイストで目を覚ませ」を奥田一人によるアコースティック・ギターの弾き語りでワンコーラスのみ演奏され、派手な爆発音が鳴りその後「SUGAR BOY」「Hystery-Mystery」「Concrete Jungle」と3曲立て続けに演奏された[39]。その後奥田は「ツアーの初日ですから、適当に手を抜いていきます」とMCを行った他、手島がマラカスを持って踊ることや阿部と奥田、手島の3名が横に並んで振り付けをしながらスネアを叩く行為などが行われた[39]。アンコールでは再び「ツイストで目を覚ませ」が演奏され、間奏ではローディー2名がスネアを叩き、川西以外のメンバーが縦笛を吹く演奏となった[39]。
1989年1月10日および1月11日には渋谷公会堂にて特別公演となる「UNICORN TOUR "PANICK ATTACK'88" SPECIAL」が行われ、1曲目は阿部のグランドピアノ独奏による「Fallin' Night」のイントロが演奏され、演奏の最中に奥田が登場し「あんまり、汗をかいていただかないライヴをしたいと思います」とMCを行った[40]。当日はスペシャル・ナイトであったことから、「作ったヤツに責任をとってもらいます」という紹介後に手島が「ツイストで目を覚ませ」を歌唱することや、アコースティック・ギターによる弾き語りで「FINALLY」が演奏されるなど特別な行為が行われた[40]。最後は阿部によるピアノ独奏で奥田が歌唱するスタイルで「Alone Together」が演奏されライブ本編が終了となった[41]。しかしアップテンポの曲が全く演奏されていないために聴衆はライブが終了したことに気が付かず、10分ほど経過した後にアンコールの声が出始めることとなった[41]。その後メンバーは再登場し、奥田が「せっかく、キメて終わって、アンコールでシブく出てこようとしたのにぃ! 計画台無し!」とMCを行った後に「I'M A LOSER」「SUGAR BOY」「Pink Prisoner」が演奏された[41]。2回目のアンコールではカバーが3曲演奏され、川西や手島による歌唱や阿部がギター、奥田がキーボードを担当するなど各パートを変更する形で演奏されてライブは終了した[41]。
本作のサウンド面に対する批評家たちからの反応は概ね肯定的なものとなっており、音楽情報サイト『CDジャーナル』では、本作を「初期ユニコーンの魅力が詰まった2ndアルバム」と位置付け、「弾けた縦ノリのビートとドラマティックなメロディが一体となった、個性あふれるサウンドが楽しめる」と述べた他、「奥田民生のエネルギッシュなヴォーカルが魅惑的だ」と述べた上で肯定的に評価した[42]。音楽誌『別冊宝島724 音楽誌が書かないJポップ批評22 ユニコーン&奥田民生の
本作はオリコンアルバムチャートにおいてLP盤は最高位第14位の登場週数11回で売り上げ枚数は0.8万枚[3]、CD盤を含めた総合では最高位第19位の登場週数は47回で売り上げ枚数は11.3万枚となった[2][17]。この売り上げ枚数はUNICORNのアルバム売上ランキングにおいて第12位となっている[45]。2022年および2023年に実施されたねとらぼ調査隊によるUNICORNのアルバム人気ランキングではともに第2位となった[46][47]。
CDブックレットに記載されたクレジットを参照[48]。
CDブックレットに記載されたクレジットを参照[49]。
CDブックレットに記載されたクレジットを参照[50]。
No. | リリース日 | レーベル | 規格 | カタログ番号 | 最高順位 | 備考 | 出典 |
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1 | 1988年7月21日 | CBSソニー | LP | 28AH-5088 | 18位 | [2] | |
2 | CT | 28KH-5088 | [2] | ||||
3 | CD | 32DH-5088 | [2][17] | ||||
4 | 1992年11月21日 | ソニー・ミュージックレコーズ | MD | SRYL-7058 | - | [51] | |
5 | 1995年12月13日 | CD | SRCL-3412 | - | ユニコーンの逆転満塁ホームランプライスシリーズ(廉価版) | [42][52] | |
6 | 2007年12月19日 | エスエムイーレコーズ | SECL-602 | - | 紙ジャケット仕様 | [53][54] | |
7 | 2012年10月1日 | ソニー・ミュージックダイレクト | AAC-LC | - | - | デジタル・ダウンロード | [55] |
8 | ロスレスFLAC | - | - | デジタル・ダウンロード | [56] | ||
9 | 2012年12月5日 | エスエムイーレコーズ | CD | SECL-1232 | - | CD-BOX『UNICORN SME ERA - remasterd BOX』収録、紙ジャケット仕様、デジタルリマスター版 | [57][58] |
10 | 2017年12月6日 | キューンミュージック | KSCL-2982 | - | 完全生産限定CD-BOX『UC30 若返る勤労』収録、ABEDONがリマスタリングを担当 | [59][60] | |
11 | ソニー・ミュージックレーベルズ | AAC-LC | - | - | 『UC30 若返る勤労』収録盤と同内容のデジタル・ダウンロード版 | [61] | |
12 | ロスレスFLAC | - | - | 『UC30 若返る勤労』収録盤と同内容のデジタル・ダウンロード版 | [62] |
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