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日本の高規格幹線道路の種類の1つ ウィキペディアから
高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路(こうそくじどうしゃこくどうにへいこうするいっぱんこくどうじどうしゃせんようどうろ)とは高規格幹線道路の1つ。A'路線(エーダッシュろせん)とも呼ばれる。
本来、高速自動車国道として整備される路線のうち、早期の全区間整備の必要性は低い路線に並行している一般国道で、部分的に混雑解消や山間部の隘路解消などのためバイパス道路の整備が急務となっている一部区間のために、高速自動車国道の一部を一般国道バイパス扱いで先行整備した道路[1][2]。税金(国と県の建設費負担は2対1)又は追加で東日本・中日本・西日本の各高速道路会社(民営化以前は日本道路公団)等が建設費を投入して建設する。建設費をすべて税金のみで賄った場合は無料道路となり、高速道路会社も負担した場合は一般有料道路として供用されることになる。
実質的に高速自動車国道の一部であっても、あくまでも一般国道のバイパスとして扱われるため[3]、高速自動車国道の法定最高速度や最低速度は適用されず、指定最高速度標識のない場合の最高速度は60 km/hとなる。また、有料道路の場合、当該道路単独で償還しなければならないことから通行料金の賃率が全国的な料金プール制を採る高速自動車国道よりも割高になるほか、特典の付与率も比較的低くなっている[注 1]。広島岩国道路では、ETC車に限り料金の値下げが実施されており、連続する山陽自動車道と変わらない料金で走行できるようになっている[4]。 また、みちのく有料道路、第二みちのく有料道路や山口宇部道路のように県道の一部がA'路線に指定されている場合もある。また、みちのく有料道路の全線、月山道路や志戸坂峠道路の一部のように一般道路の区間がA'路線に指定されている場合もある。
高速自動車国道は闇雲に建設できるわけではなく、1966年(昭和41年)に国土開発幹線自動車道建設法で制定された路線網7,600 kmに根拠を求める必要がある。この路線網に記載のない場合は、高速自動車国道として建設することはできない[5]。つまり、地方が高速道路欲しさに有力政治家に働きかけても、法律の壁に阻まれて建設することは不可能である。7,600 kmとは、採算に見合う限度一杯の路線網として、これ以上の高速道路建設に歯止めをかける意味をもっており、採算を度外視した高速道路誘致を図る政治家を寄せ付けないためのものでもあった[6]。
しかし、地方は高速自動車国道を切望し、法律の壁を縫って高規格の道路を誘致する方法を画策した。金丸信などは選挙地盤の山梨県に将来、高速道路を誘致するために「高速道路らしき国道」すなわち国道バイパスを建設する手法を駆使した[7]。宮崎県延岡市の場合は、日本道路公団と太いパイプでつながる早生隆彦を市長に据えて打開策を練った[8]。そして建設省の道路局長と掛け合った結果、一般有料道路を造ってはどうかと提案された。高速自動車国道は法律の根拠がなければ建設できないが、一般有料道路ならば公団は建設省に申請するだけでよく、高速道路らしき道路を造り続けていけば、やがては高速道路網に組み込まれる可能性がある[9]。折しもこの提案がもたれた1980年代は、7,600 kmで計画された国土開発幹線自動車道網が1985年(昭和60年)ごろには拡充されるという話が出回りはじめ、東九州への高速道路誘致を目指す地元代議士や早生らの陳情のタイミングはこれと機を一にするものでもあった[10]。そうした道路局長の提案を早生は受け入れ、延長3.7 kmの一般有料道路「延岡南道路」の建設へと至った[10]。これが将来の高速自動車国道格上げの可能性がある道路ということで、公団はこの手の一般有料道路を「隠れ高速」と呼んだ[11]。このように昭和50年代に計画された日本道路公団の一般有料道路とは、将来高速道路網7,600 kmが拡大されることを見越して造られたものであった[12]。
東九州において採用されたこの手法は、道路族の有力政治家が好んで駆使することとなり、結果、全国に短距離の一般有料道路が次々と建設されることになった[13]。地元民にとっては高速自動車国道も一般有料道路も違いが分からず同じに見えることで、政治家は一般有料道路を誘致すれば、それは地元民に対する有効なアピールとなった[14]。
こうして瞬く間に全国に展開された一般有料道路だが、その路線延長が各々短すぎてネットワークを形成していないことに加え、需要予測が甘かったことから採算性が極めて悪い結果を招くことになった[15]。日本道路公団は財政投融資に建設の資金源を求め、通行料金で返済する公団方式を採用することから、早期の採算性向上が見込めない一般有料道路の建設は即座に公団の経営を圧迫した[16]。公団の首が借金で回らないと見るや国は、採算性の悪い一般有料道路建設のために利子補給(国税投入)を行なうことでさらなる不採算路線の建設へと公団の尻を叩いた[17]。
やがて1987年(昭和62年)9月の国土開発幹線自動車道建設法の一部改正により、高規格幹線道路網が7,600 kmから14,000 kmに拡充されることになった。このとき追加された6,400 kmのうち、従来の国土開発幹線自動車道7,600 kmに仲間入りしたのは3,920 kmで[18]、これについては原則的に日本道路公団が高速自動車国道として整備することとされたが、国土開発幹線自動車道に並行して自動車専用道路が整備されている区間では、その自動車専用道路を当面活用することとされた[19]。その自動車専用道路、すなわち全国に散らばって計画された19か所[20]の隠れ高速こと一般有料道路は、今回追加の3,920 kmの国土開発幹線自動車道網に全て活用されるに至った。こうしてかつて建設省道路局長が提案した通り、先行開通した一般有料道路は高速道路網の一部となった。かくして一般有料道路は高速自動車国道への入場券の役割を果たすことになった[21]。のちに「高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路」とされた道路とは、この隠れ高速が幾つか含まれている。その例として、隼人道路、延岡南道路、伊勢湾岸道路を挙げることが出来る[20]。
「高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路」という概念が示されたのは、1995年(平成7年)11月30日に建設大臣の諮問に答えて道路審議会がまとめた中間答申による[23]。これは今後の有料道路のあり方について答えたもので、その中でも高速自動車国道について答申された[24]。それ以外の有料道路については後日答申している[25]。
高速自動車国道における有料道路事業のあり方について、主として6項目の提言がなされたが、その内の一つが、全国料金プール制の負担軽減と高速道路ネットワークの早期整備を図るために、一般国道自動車専用道路による高速自動車国道の代替を認めるという内容であった[26]。これは今後の高速自動車国道の建設予定地に一般国道の計画があって、なおかつ高速自動車国道の整備が急がれている場合、二つの道路(高速自動車国道と一般国道)を各々建設するのではなく、一般国道を高速走行可能な自動車専用道路として建設して高速自動車国道の機能を代替させるとした内容である[24]。具体的には、一般国道は公的助成により建設される道路であり、これを高速自動車国道として代替させることで、一般国道建設区間への内部補助を軽減させる意味合いがある。特に交通需要が少ない地域に高速自動車国道を建設した場合、全国料金プール制を採用する高速自動車国道事業にとって少なからず悪影響を及ぼすことから、この区間における一般国道の代替は有効であるとされた。そして代替された一般国道については、将来は段階的に高速自動車国道に編入することも検討に値すると報告している[24]。
なお、「高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路」を「A'」と呼ぶのは、将来A路線に編入するという意味による[3]。
高速自動車国道との接続によってA'路線からA路線に編入されるケースもある。以下に、A'路線と言う概念が成立して以降のA路線編入区間について示す。
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