高知短期大学(こうちたんきだいがく、英語: Kochi Junior College)は、高知県高知市永国寺町にあった公立短期大学である。1953年に設置され、2020年に廃止された。略称は短大(たんだい)、高知短大(こうちたんだい)、県立短大(けんりつたんだい)。
概要 高知短期大学, 大学設置/創立 ...
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大学全体、学風および特色
高知県を運営主体とする、男女共学の公立短期大学(2011年以後は高知県公立大学法人が設置者)。夜間課程のみを置く社会科学系単科短大という珍しい形態であった[1]。授業の開始時間は18時からであり、終了時間は21時10分。
高知女子大学(2011年以降は高知県立大学)主催の「勤労青年のための夜間公開講座」を契機として1953年に設置されたという経緯から[1]、高知女子大学との関係が深く、高知女子大学永国寺キャンパスを共用し、教室や事務室等も共通であった。また、設立の経緯から社会人学生が多く、地域に開かれた短大と謳われていた。修業年限は2年制となっているが、「長期履修制度」(2003年新設[1])を利用すれば、2年分の授業料で最大4年かけて卒業することができた。「長期履修制度」は、仕事の都合などで学業へ費やす時間の限られる勤労者にとって、利便性の高い制度であった。夜間短大では珍しく、国際交流も盛んであった。
2012年に高知県が高知短大廃止の方針を打ち出した。2014年度をもって学生募集が停止されるとともに、2015年度には高知県立大学の4年制夜間主コースの新設によって、社会人教育の機能が引き継がれた。2019年9月に最後の在学生が卒業、2020年2月に文部科学省より高知短期大学の廃止が認可され、閉学式が行われた。
教育および研究
- 高知短期大学は1953年の開学当初からの社会科学系単科短大であるが、「憲法」・「民法」・「商法」・「刑法」・「労働法」・「国際法」・「行政法」・「税法」などの法学系科目、「経済原論」・「マクロ経済学」・「ミクロ経済学」・「経済学史」・「金融論」・「財政学」・「経営学」・「会計学」・「地域経済論」などの経済・経営系科目、「政治学」・「地方自治論」・「社会学」・「地域史」・「国際関係論」・「ジェンダー論」・「マスコミ論」などの総合社会系科目の3つの体系からなるカリキュラムが組まれており、社会科学全般に関する専門科目をまんべんなく学ぶことができる。なお、社会科学という名称を用いた学科をもつ短期大学はここだけである。一般教育科目では、「英語」・「フランス語」・「ドイツ語」・「中国語」・「韓国語」といった外国語科目のほか、「哲学」・「心理学」・「文学」などの教養科目がある。
- 3つの体系に共通する専門科目として「高知学」や「消費生活論」といった地域生活に密着したユニークな科目がある。
- 2年制の社会科学科の上に、1年制の専攻科応用社会科学専攻が設置されている。専攻科では、地域政策モデル、生活法政モデル、経営会計モデルの3つの体系によるカリキュラムが組まれており、「地域政策」や「地方政治論」・「地域財政論」、「不動産法」・「税務会計論」などの、より高度な社会科学系の専門科目や応用科目を少人数ゼミ形式で学ぶことができる。
- 1951年(昭和26年)9月 - 高知女子大学主催の「勤労青年のための夜間公開講座」が開催される。
- 1952年(昭和27年)
- 6月24日 - 高知県議会で、設置に関する請願を採択[1]。
- 12月17日 - 高知県議会で、高知短期大学設置議案可決[1]。
- 1953年(昭和28年)
- 1月31日 - 文部大臣より設置認可(社会科学科二部・入学定員60名)[1]。
- 4月27日 - 高知短期大学開学。第1回入学式挙行[1]。
- 1956年(昭和31年) - 教職課程を設置[1]。
- 1959年(昭和34年) - 学長代理職を設置(初代:高橋信司)[1]。
- 1965年(昭和40年) - 入学定員を120名に改める[1]。
- 1972年(昭和47年)7月1日 - 住居表示実施により所在地が高知市北与力町1番地から高知市永国寺町5番15号に変更となる。
- 1974年(昭和49年) - 女子大・短大学長選考規程により、初代学長(安中正哉)就任[1]。
- 1998年(平成10年) - 教職課程を廃止。専攻科応用社会科学専攻設置[1]。
- 2001年(平成13年) - 高知女子大学との単位互換を開始[1]。
- 2002年(平成14年) - 高知女子大学・高知短期大学総合情報センターを開設[1]。
- 2003年(平成15年) - 長期履修学生制度を新設[1]。
- 2011年(平成23年)
- 設置者が高知県の設立する高知県公立大学法人に移行[1]。
- 地域連携センターを開設[1]。
- 設置者を同一とする高知女子大学も高知県立大学に移行した。
- 2012年(平成24年)
- 2月 - 高知県議会2月定例会において尾﨑正直知事が「高知短大の組織を維持するのでなく、その機能を発展させながら、高知県立大学と高知工科大学に引き継いでいきたい」と初めて廃止の方針を表明した。
- 3月 - 高知県議会2月定例会の文化厚生委員会は、高知短大の廃止を前提とした高知県立大永国寺キャンパス再整備に関わるキャンパス施設整備の基本設計費など1億6100万円を盛り込んだ平成24年度一般会計当初予算案を可決。事実上高知短大の廃止を県議会が承認した形となった。
- 2014年(平成26年)4月 - 高知短大として最後の入学式挙行(2015年度からの学生募集停止)[1]。
- 2015年(平成27年)4月 - 高知短大の社会人教育の機能が引き継ぐ形で、高知県立大学に文化学部夜間主コース(学士(文化学)が取得できる)が開設された。
- 2019年(令和元年)9月 - 高知短期大学の在学生全員が卒業し、在学生数が0人となる。
- 2020年(令和2年)
- 2月 - 文部科学省より高知短期大学の廃止が認可された。
- 2月9日 - 閉学式が卒業生、OBなどの出席のもとに行われた[2]。
組織
- 総合情報センター
- 地域連携センター
- 教育研究審議会
別科
取得資格について
- 教職課程
- 中学校教諭二種免許状(社会)が取得できる課程があった。社会科学科卒業後、教職課程を履修する専攻科(修業年限1年制)に進学する必要があった。つまり、本科2年と専攻科1年と合計3年在籍する必要があった。1995年度までの本科生が対象となっていた。
学園祭
- 高知短期大学の学園祭としては、毎年5月に行われる春の広場と、11月に行われる短大祭とがある。
学生歌
- 「高知短期大学学生歌」(1958年) 作詞:武藤徐枝 作曲:住友弘一
一、古城の下の学舎は 自治の光に輝きて
真理を求め行わん 真理を求め行わん
ああ我等が短大 我等短大 高知短大
二、窓辺に燃ゆる夕日影 活気あふるる若人の
たぎる血汐のそれに似ん たぎる血汐のそれに似ん
ああ我等が短大 我等短大 高知短大
三、昼は社会の荒波と 闘う中にも学びたる
自由と平和の実現を 自由と平和の実現を
ああ我等が短大 我等短大 高知短大
キャンパス
- 本館
- 講義棟
- 短大棟
- 図書館(高知県立大学・高知短期大学総合情報センター)
- 体育館
- テニスコート
- 学生会館
- 生協食堂および生協ショップ(高知県立大学生活協同組合による運営)
- 駐車場(自動車通学が可能となっている)
- 運動場
- ほとんど全ての開講科目が開放されており、科目等履修生制度や聴講学生制度などによって受講することができる。また、主に官公署などの社会人学生を対象として職場からの派遣学生を受け入れる委託生制度や、特定の専門事項の研究に従事することを希望する者を受け入れる研究生制度がある。
- 高知短期大学は、先述したように高知女子大学で開催された公開講座を契機に設置されたことから、地域社会との交流を目指すために公開講座が随時実施されている。
就職について
- 社会科学科II部:在学生の大半は社会人として在職者であるが、就職実績として高知県庁ほか県内外自治体職員、民間企業などがある。開講科目として「キャリアデザイン」・「社会人基礎力養成講座」などが設置されているほか、少人数ゼミでの就職支援などが行われている。
出典
“沿革・組織図”. 高知短期大学. 2021年5月6日閲覧。
“沿革”. 高知県立大学. 2021年5月6日閲覧。