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『聖女』(せいじょ)は、2014年8月19日から10月7日まで、NHKの「ドラマ10」枠で毎週火曜日22:00 - 22:48に放送された日本のテレビドラマ。主演は広末涼子で、全7話。
大森美香書き下ろしのオリジナル脚本による「ラブサスペンス」。広末はNHKのテレビドラマ初主演であり、テレビドラマで初めて悪女役を演じる[2]。
家庭教師のアルバイトをしていた女子大学院生の緒沢まりあと、その教え子だった高校生の中村晴樹。まりあは「君が大学に合格して大人になったら、私を恋人にしてね」と晴樹に告げ、突然姿を消す。10年後まりあは詐欺事件、連続殺人及び殺人未遂事件の被告人・肘井基子として、晴樹は被疑者・基子の弁護人として再会する。
基子を弁護する事になったことで、幼少時から極貧だった基子とその母の暮らしぶりを知るため、基子の故郷北九州市に出向いた晴樹たちは、周囲の人間からの肘井母子への敵意の強さを目の当たりにした。しかし、目にとまった教会を一人訪れた晴樹は、基子が母を亡くしてからも熱心に教会に通い、聖女にあこがれていく様子を神父から聞かされ、あの秋、自分から離れていった基子が、自らの生き方に後悔して涙していたことを知る。
始まった裁判の一審は前原や黒坂、晴樹や小池など、事務所全体で入念な証拠調べを行った結果、重要な証言者たちから検察の主張を覆す証言を引き出す事に次々成功していく。特に物証があまりにも基子に不利だった千倉泰蔵殺人未遂容疑は、公判直前に意識を取り戻した泰蔵自身の、愛する基子を「聖女だ」とかばう証言により、ついに検察の敗北に追い込む事に成功する。
晴樹と基子の二人きりで接見を重ねる中、婚約者の泉美よりも基子のほうに傾き始めた晴樹の気持ちは、公判を通してどんどん高まり、無罪判決後にタクシー車内で二人きりになったところで二人手を握りあうまでに発展した。しかし、基子を聖女だと思って「無罪になればまりあさんと昔通りの関係に戻れる」と期待していた千倉泰蔵は、どうにも自分のところに戻ってこない基子のふとした記憶を晴樹と泉美に語る。この話から芽生えた基子無罪への疑念で基子を信じ切れなくなった晴樹は再び泉美との関係を取り戻す。
一方、晴樹に婚約者がいると知らずに無罪判決獲得まで晴樹への一途な恋心を燃え上がらせた基子は、自由の身になったにも関わらず突然晴樹が自分に冷たくなったことが理解出来ず、婚約者泉美の存在を知っても、むしろ泉美に勝る自分の気持ちを高める一方で、どんどん行動が狂気を帯びてくる。
幼い頃からの野心で兄克樹が東大に進み阿川の元でエリートコースで生きる寸前で基子によって挫折したのと対照的に、基子のおかげで弟晴樹がエリートコースに乗ったことで克樹は廃人状態になっていた。克樹から向けられた晴樹や泉美、基子たちへのねじれた憎悪と、夫を失ったことで千倉夫人文江から向けられる基子への憎悪も複雑に絡み、ついに晴樹や基子たちを悲劇的結末へと向かわせていく。
基子が冬の海に消えて、千倉文江自身が泰蔵を嘱託殺人したこともあって控訴審でも基子の無罪が確定し、世間の関心が次のスキャンダル事件に移って、基子の事など誰一人思い出すことなどなくなっていった。しかしそれから一年、入籍した晴樹と泉美は、それぞれが最後に耳にした基子からの愛情と悲しさを込めた言葉を今もふと思い出してしまうのだった。そして晴樹は基子が消えた海を一人訪れ、あの日泉美の着ていた上着と同じ紫色の紙に包まれた真っ白なカーネーションの花束を打ち寄せる波に手向ける。
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