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日本の映画作品 ウィキペディアから
『病院坂の首縊りの家』(びょういんざかのくびくくりのいえ)は、1979年(昭和54年)5月26日に公開された日本映画。横溝正史作による同名の長編推理小説の映画化作品である。製作は東宝映画、配給は東宝。監督は市川崑、主演は石坂浩二。カラー、スタンダード・サイズ。
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市川・石坂の映画版シリーズ第5作で、リメイク版『犬神家の一族』(2006年)を除いて最後の作品となった。原作の舞台は東京・高輪であるが、映画では舞台を奈良県吉野に移しているほか、原作のように一旦迷宮入りはせず、事件発生から解決までが滑らかに流れるように物語が改められ、事件の展開も犯罪者たちも原作と異なっている。製作決定時に東宝が「病院坂」の“坂のロケ地”を募集したが、最終的に東宝から10分位の場所にある岡本町の住宅地[1]の坂を「病院坂」としてロケ撮影した。また、吉野とされる街並みは伊賀・上野の車坂周辺でロケ撮影したものである。
本作は、横溝の新作である原作を東宝が映画化を進めたが、前作まで監督を担当した市川は、前作『女王蜂』でシリーズ終了を宣言していたため、当時、舞台の演出経験もあった主演の石坂が監督を兼任し、市川は石坂の補佐に回る予定で話が進められた。しかし企画をした角川春樹事務所から「これは新作だ。過去作なら兎も角、新人監督では困る」とクレームがつき、結局、市川が監督をする事になった[2]。
出演者のうち、小林昭二・草笛光子・三木のり平・大滝秀治は石坂・加藤と共にシリーズ5作連続出演を達成した。ヒロインを演じた桜田淳子はアイドル歌手としてのデビューから6年を経ていたが、本作では充実した演技を見せている。また、石坂はシリーズで初めてクレジットが「トメ」(最後の1枚タイトル)に回り、トップは佐久間良子となった。その代り石坂のタイトルには「金田一耕助」と唯一役名が併記されている。横溝正史自身が冒頭とラストに推理作家役で(かなり長く)登場し、石坂と草刈が複雑すぎる家系図を前に漫才風に嘆息する場面など、シリーズを総括するセルフパロディ、エッセイ映画の側面も強い。シリーズ全体の最後でもあるラストシーンは、作家邸の明るいリビングで、訪れた草刈と中井との和やかな歓談であり(いちおう劇の一部であり、オフショットではない)、「また紅茶か」という横溝の妻(これも本人)に対するぼやきで締めくくられる。
ある日、吉野市の先生(横溝正史)の所へ名探偵金田一耕助(石坂浩二)が訪ねてくる。そこで金田一はしばらく旅に出るつもりである事を告げる。パスポートの写真を撮るために、先生が薦める写真館へ赴く金田一。そこから事件が始まる。
写真館を訪れた金田一にその写真館の主人・本條徳兵衛(小沢栄太郎)は、殺されそうになったので調査して欲しいと依頼する。金田一が写真を撮ったその日、女性(桜田淳子)が写真館を訪れる。その女性は「結婚写真を撮りたいのである場所に夜来て欲しい」と告げ、消えて行った。そのある場所とは、他に正式な名前がありながら、ある時から「病院坂」と呼ばれるようになった場所にある、誰もが空き家と考えていた家であった。その日の夜、男(あおい輝彦)が写真館を訪れ、その廃屋とも呼べる場所で写真を撮る。そして写真が出来上がる日、廃屋を再び訪れた写真屋の若主人・直吉(清水綋治)は、風鈴のように吊り下げられたその男の生首を発見することとなる。
警察では捜査本部が設けられ、等々力警部(加藤武)の指揮のもと捜査が開始される。写真に写り、殺されていた男は山内敏男で、ジャズバンドのメンバーであった。そのバンドメンバーとして妹の小雪(桜田淳子)、吉沢(ピーター)などの名前が浮かんでくる。等々力警部の捜査が続く中、写真館の主人本條、バンドメンバーの吉沢などが殺されていく。自分に調査を依頼していた本條の死を聞いた金田一は呆然とする。
写真館で下働きをしていた黙太郎(草刈正雄)の協力の下に、金田一は調査を行っていく。そこで浮かんできたのは、昔ながらの風習と人の業によって苦しめられた、様々な人たちの悲しい人生であった。殺された法眼家の娘・由香利と山内敏男の妹・小雪が瓜二つというトリックや、その2人の出生の秘密などの謎が絡み合い、物語は悲劇的結末へと向かっていく。
基本的に原作前半部の要素のみから独自に展開させて物語を構成しており、後半部の内容は前半部から持ち越した謎の解明(由香利と小雪の入替、本條写真館が弥生の恐喝に使った写真乾板など)、小雪が終盤で語る兄妹の幼時の生活、徳兵衛殺害未遂の手法や未遂になった理由が原作の直吉と同じであること、吉沢が殺害され滋が関わっていること、徳兵衛が語る事業拡大計画が原作の本條会館に似ていることなどに限られる。原作では死体遺棄などのみで殺人はしていない弥生が2名を殺害、1名も殺害しようとした。
三重県伊賀市上野
世田谷区岡本1丁目付近
法眼由香利と山内小雪役は桜田淳子が一人二役で演じているが、封切前までは小雪役は桜田に似た女優(前野礼子)が演じているという設定でキャンペーンが行われた[4]。桜田が出演した歌番組などでは、彼女とどこが似ているかなどを語っていた。
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