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2006年制作の日本の映画作品 ウィキペディアから
『犬神家の一族』(いぬがみけのいちぞく)は、2006年12月16日に公開された日本映画。横溝正史の金田一耕助シリーズである推理小説『犬神家の一族』を、30年前の映画版と同じ監督・主演コンビで再映画化したもので、他のキャストが豪華なことも話題となっている。
第19回東京国際映画祭のクロージング作品としてプレミア上映された。
市川崑監督の遺作となった。
市川は「前作をビデオで観直してみたら、これがよくできていて『これ以上面白い作品を作れるだろうか』と困ったが、CGも使ってみたいし、とにかく面白い娯楽作品になるようもう一度チャレンジしたい」という思いから、リメイクを決意した[3]。
ストーリー展開は概ね原作通りであり、原作からの変更点も大部分は旧作を踏襲している。脚本も故人を含む旧作の三人連名クレジットをそのまま用いて(順番は異なる)同じ脚本の使用であることが示された。変更はごく僅かな省略や追加が大部分だが、旧作から最も大きく変更されているのは原作に無いラストシーンで、皆が送別のお茶会を計画していることを古館弁護士から聞いた金田一は、古館が会場の様子を見に行っている間に逃げ出し、田園風景の中を徒歩で去っていく場面で終わる。
旧作が原作から変更したのを原作通りに戻した部分もある。
金田一により一同の前で真犯人が明らかにされた後、真犯人の取る行動は旧作と同様であるが、それに対する金田一の対応は大幅に異なっている。一見すると金田一の行動に違いは見受けられないが、金田一の視線の演技が異なるため、意味が全く異なる[4]。
過去の経緯に関する金田一の推理展開が旧作より進んでいる傾向があり、例えば犬神製薬が麻薬で成長したという負の側面は「犬神佐兵衛伝」の記述の行間から具体的に読み取ったうえで古館弁護士に確認している。大山神官に佐兵衛の過去を聞き出しに行ったときには男色関係に関する予備知識は無く、諸状況から佐兵衛の過去が重要と一般論的に判断してのことであった。
旧作では青沼菊乃の消息が古館弁護士の調査結果と静馬の科白とで矛盾していたが、調査結果の方が「空襲で死亡」から「病死」に変更されたため矛盾は解消している。
旧作では右側の顎下まで焼け爛れた傷がある静馬の素顔は原作寄りだが、鼻は損壊していない。
旧作にあった若き佐兵衛と交わる晴世、それを見つめる大弐、東京の仮面師に佐清のゴムマスクを作らせるなどの回想シーンが描かれていない。
旧作では松子と佐清以外には始終無口であった静馬は、今作で珠世に依頼された壊れた時計の修理(実際は付着した指紋を佐清の指紋と鑑定するための口実)を断る際に「今は気が向かないからその内に」と返事している。
前作では、53歳の三國連太郎(娘を演じる高峰三枝子より5歳若い)が老けメイクで佐兵衛に扮し、臨終場面や遺影以外にも壮年期の活躍を回想するモノクロスチルが何枚か挿入されたが、今回佐兵衛に扮するのは比較的設定に近い年齢の(73歳)仲代達矢であり、回想場面は「犬神佐兵衛伝」の口絵として挿入された写真1葉が一瞬映る程度しかない。また、少女時代の松子がフランシュバックする映像も割愛された。
本作の音楽は、『映画女優』や『つる -鶴-』などで80年代から市川崑とコンビを組み、市川の横溝ミステリー作品『八つ墓村』(東宝映画版)も手がけていたピアニストの谷川賢作が担当した。
メインテーマには、76年版で鮮烈な印象を残して以降、金田一が登場する野村證券や全日空のパロディCMのBGMに使われるほど、横溝作品のイメージに強く紐づいている大野雄二作曲の『愛のバラード』を、原曲のまま使用している。
本編中の劇伴の大半は谷川の新曲としながらも、金田一が那須に現われる場面を始め、随所に76年版の大野のスコアを谷川が新録音した楽曲と『愛のバラード』のアレンジ曲(これも谷川による再演奏)が使われた。本作のサウンドトラック盤はエピックレコードジャパンから2006年12月に発売され、DISC1は谷川の作・編曲による06年版、DISC2は大野の76年版音楽を収めた2枚組アルバムとなっている。この商品化にあたり、DISC2は新たに8曲のボーナス・トラックが追加されているため、既発売の76年版アルバムと全く同一の収録内容ではない。
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