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松本清張の小説 ウィキペディアから
『犯罪の回送』(はんざいのかいそう)は、松本清張の長編推理小説である。『小説新潮』1962年1月号から1963年1月号まで連載された「対曲線」を、最晩年の著者が全面的に改稿した作品であり、著者没後の1992年9月、角川書店から刊行された。
北海道を代表する港湾都市である北浦市では、春田英雄市長の主導のもと、広大な工場地を造成する港湾拡張計画が推進され、中央官庁からの許認可取得を目指し地元議員有志による請願活動が行われていた。議員連は11月10日朝、寝台特急「北斗星」で東京に到着するが、同日19時頃の平河町の都市会館前での有島秘書による目撃を最後に、春田市長は行方不明となった。
議員連の出頭を14日に受け、調査に乗り出した警視庁の田代警部は、野党の早川議員が、港湾拡張計画をめぐり春田市長と対立する中、市長と同じ10日に上京していたことに着目するが、翌15日、日野市日野の雑木林で春田市長の絞殺死体が発見された。早川議員が10日以降、次々と滞在宿を変更しながら偽名で宿泊していたことが発覚し、田代警部は北浦市に戻った早川議員の尋問のため、部下の刑事を北海道へ派遣しようとするが、その矢先の19日、北浦市の沖合いで早川議員の溺死体が発見された。
翌20日には、日野市内から都心まで10日夜に早川議員を乗せたタクシー運転手の証言が現れ、さらに北浦市の早川議員の自宅からは春田市長の首を絞めたとみられるネクタイが現れた。このため、10日から15日までの早川の空白の5日間の行動は不明のままながら、早川が春田市長を殺害後、北海道に戻り呵責に耐えかね自殺した、とする説が有力となる。早川以外の上京議員のアリバイは全員シロとなり、他方北浦市の地元関係者は全員、10日の夜に北海道から離れていない。
しかし、犯人自滅説に納得がいかない田代警部は、独自の捜査を開始し、真犯人の仕掛けたトリックの解明に挑む。
「松本清張特別企画 犯罪の回送」のタイトルで、2018年7月2日21時 - 23時8分にテレビ東京系にて放送された。事件設定は2018年であり、市長一行の上京は航空機とされ、原作前半が有島秘書の視点で描かれるのに対し、本ドラマでは最初から田代警部の視点で捜査が進行する。秘書の有島は原作では男性であったが、本作では女性となっている。
ドラマ中盤以降、トリック解明までのアプローチはアレンジされている。春田美知子の事件への関与は原作と異なっているほか、早川準二の事件への関与も一部原作とは異なっている。また、春田市長が前妻と離婚するに至った経緯や、前妻が行方不明になるまでの経緯も原作とは違っている。
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