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2004年に日本の栃木県小山市で発生した誘拐殺人事件 ウィキペディアから
栃木兄弟誘拐殺人事件(とちぎきょうだいゆうかいじけん)は、2004年(平成16年)9月に栃木県小山市で兄弟が誘拐され、暴行の末に川に落とされて殺害された事件[10]。オレンジリボン運動のきっかけとなった事件である[11]。
栃木兄弟誘拐殺人事件 | |
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場所 | 日本・栃木県小山市粟宮(旧間中橋)[1] |
標的 | 兄弟(当時4歳と3歳)[2] |
日付 |
2004年(平成16年)9月12日 午前1時30分 (UTC+9) |
概要 | 男が同居していた兄弟に暴行した上、川に投げ入れて殺害。また、事件前に同居していた自宅アパートで覚醒剤を使用した。 |
攻撃手段 | 川に投げ入れる |
攻撃側人数 | 1人 |
死亡者 | 2人 |
犯人 | 同居していたアパートの家主の男S(当時39歳)[2] |
容疑 | 殺人・覚醒剤取締法違反(使用) |
動機 | 同居を巡るトラブル[3][4] |
対処 | Sを小山警察署捜査本部が逮捕・宇都宮地方検察庁が起訴[注 1] |
謝罪 | 殺人容疑で再逮捕された時に「兄弟には申し訳ないことをした」と謝罪した[7]。 |
刑事訴訟 | 死刑(控訴中に被告人死亡により公訴棄却[8]) |
影響 | |
管轄 |
2004年12月14日、宇都宮地裁[注 7](飯渕進裁判長)で初公判が開かれ、被告人Sは罪状認否で起訴事実を認めたが、覚醒剤を使用して錯乱状態だったと主張した[26][27]。弁護側も「覚せい剤を乱用し、妄想、興奮状態で殺人に及んだもので、心神耗弱状態だった」と主張し、刑事責任能力について争う姿勢を見せた[27]。
2005年2月1日、兄弟の父親[注 8][28]が証人として出廷し、Sについて「気の小さい、調子の良い人間」と評した[28]。また、兄弟に対しては「本当に申し訳ないことをした。被告人は私を憎んでおり、私の身代わりに殺されたようなものだ」と心境を述べた[28]。一方、事件当時のSについては「(事件の2日前に一緒に使った時は)特段変わった様子はなかった」と証言した[注 9][28]。
2005年4月21日、被告人質問が行われ、兄弟を虐待した理由について「夜中にギャーギャー騒がれた。あまりにも生意気だった」と述べた[29]。また、事件前に兄弟の父親に殴られたことで退去を求めた際、「お前には一生面倒を見てもらう」と言われたことなどに不満を抱いていたと説明した[29]。
2005年7月5日、被害者家族と同居を継続した理由についてSは「デメリットの方が多かったが、メリットもあった」と回答した[30]。また、覚醒剤を父親と一緒に使用するのも理由のうちの1つとも回答した[30]。
2005年8月9日、論告求刑公判が開かれ、検察側は「落ち度もない幼児2人を橋の上から投げ入れて殺害した犯行態様は卑劣」としてSに死刑を求刑した[31]。
2005年9月8日、宇都宮地裁(飯渕進裁判長)で判決公判が開かれ「幼児2人の尊い生命が失われた結果は非常に重大」などとしてSに求刑通り死刑判決を言い渡した[8]。
判決ではSの完全責任能力を認めた上で、兄弟に暴行を加えていたことについて「しつけなどとして到底許容されない」と非難[8]。また、兄弟の遺体が容易に発見されないように流速の早い川を選んだことについても「絶命するまでに受ける苦痛や恐怖も甚だしい。勝手な思い込みながら、かわいそうと思って避けたという絞殺に比べ、悪質性が高いことも明らか」として死刑をもって臨むのはやむを得ないと結論付けた[8]。
一方で、児童相談所が兄弟の虐待を知りながら何ら対策を取らなかったことについても「(児童相談所の)あり方が問われかねない。誠に遺憾な対応と言わざるを得ない」と対応を厳しく批判した[8]。弁護側は判決を不服として控訴した[32]。
2006年6月4日、Sは拘置先の東京拘置所で病死した[32]。41歳没[32]。
Sは2006年4月、宇都宮拘置支所から東京拘置所に移送されたが、直後に風邪を拗らせたことで5月30日の控訴審初公判が延期[注 10][32]。5月下旬に容体が悪化し、6月4日夕方、東京拘置所内の病室で死亡した[32]。
2004年11月22日、宇都宮地裁(飯渕進裁判官)は「覚せい剤に対する姿勢は安易で、常習性もある」として懲役1年6月(求刑:2年6月)の実刑判決を言い渡した[34]。
Sが兄弟に虐待を繰り返しているのを受けて児童相談所が兄弟を一時保護した後、事件発生まで十分な確認や職員の派遣をしなかったことが問題視された[注 11][35]。栃木県は虐待の全容を把握しないまま、2人を父親のもとに帰した点、兄弟が容疑者宅に戻った事実を知りながら、職員を派遣しなかった点が対応として不適切だったと認めた[36][37]。その上で再発防止に向けて組織改革を含めた児童福祉行政の見直しを行うと発表した[36]。
事件後、匿名の人物により「兄弟地蔵」が設置され、近隣住民が清掃などの手入れをしながら兄弟を供養している[注 12][38][39]。
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