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日本のライトノベル作品、テレビアニメ番組 ウィキペディアから
星界シリーズ(せいかいシリーズ)は、森岡浩之による日本のライトノベルシリーズ。イラストは赤井孝美が担当している。単行本は早川書房のハヤカワ文庫JAより刊行されている。『星界の紋章』は1996年4月から同年6月まで刊行された。続編『星界の戦旗』は同年12月から、短編集『星界の断章』は2005年7月から刊行され未完。第28回星雲賞日本長編部門受賞作で、関連書籍の累計発行部数は200万部を超えている[2][3][4]。メディアミックスとしてテレビアニメ化、コミカライズ、ゲーム化などが行われている。
星界シリーズ | |
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ジャンル | 冒険[1]、SF[1] |
小説:星界の紋章 | |
著者 | 森岡浩之 |
イラスト | 赤井孝美 |
出版社 | 早川書房 |
レーベル | ハヤカワ文庫 |
刊行期間 | 1996年4月11日 - 6月11日 |
巻数 | 全3巻 |
小説:星界の戦旗 | |
著者 | 森岡浩之 |
イラスト | 赤井孝美 |
出版社 | 早川書房 |
レーベル | ハヤカワ文庫 |
刊行期間 | 1996年12月11日 - |
巻数 | 既刊6巻(2018年9月現在) |
小説:星界の断章 | |
著者 | 森岡浩之 |
イラスト | 赤井孝美 |
出版社 | 早川書房 |
レーベル | ハヤカワ文庫JA |
刊行期間 | 2005年7月8日 - |
巻数 | 既刊3巻(2014年3月現在) |
漫画:星界の紋章 | |
原作・原案など | 森岡浩之 |
作画 | 小野敏洋 |
出版社 | メディアワークス |
掲載誌 | 月刊コミック電撃大王 |
レーベル | 電撃コミックス |
巻数 | 全1巻 |
漫画:星界の紋章 | |
原作・原案など | 森岡浩之 |
作画 | 米村孝一郎 |
出版社 | フレックスコミックス |
掲載誌 | FlexComixネクスト →COMIC メテオ |
レーベル | メテオCOMICS |
発表期間 | 2012年5月 - 2021年4月 |
巻数 | 全8巻 |
漫画:星界の戦旗 | |
原作・原案など | 森岡浩之 |
作画 | 小野敏洋(第1巻) 宮越和草(第2巻) |
出版社 | メディアワークス |
レーベル | 電撃コミックス |
巻数 | 全2巻 |
テンプレート - ノート | |
プロジェクト | ライトノベル・漫画 |
ポータル | 文学・漫画 |
アーヴ率いる人類帝国の侵略により、実父である元首ロック・リンの降伏・叙爵にともない、主人公の少年ジントはロックの秘書にして育ての親であったティル・コリントと離れ離れになり、ヴォーラーシュ伯国デルクトゥーに送られた。7年後、アーヴ言語文化学院を卒業したジントは、帝都ラクファカールにある星界軍の主計修技館(ケンルー・サゾイル)に入学するため、巡察艦ゴースロスに乗り込む。彼を迎えに来た翔士修技生ラフィールは、皇帝の孫娘であった。いろいろあった末に友情を結んだ2人は、突如4ヵ国連合の一つである人類統合体の艦隊の攻撃を受けて脱出、その後ゴースロスは撃沈される。2人を乗せた連絡艇は、燃料補給のためフェブダーシュ男爵領へ到着するが、男爵により2人は引き離されジントは監禁されてしまう。
ジントが監禁されていることを知ったラフィールは男爵の家臣セールナイらと、ジントは共に監禁されていた前男爵スルーフと協力して脱出して合流する。追撃してきた男爵を倒した2人は、目的地のスファグノーフ侯国へ向かうが、惑星クラスビュールに不時着した時には、星系は人類統合体の占領下にあった。地上人に変装した2人を待ち受けていたのは、マルカ率いる帝国からの独立を夢見る「反帝国クラスビュール戦線」の面々であった。一方、4ヵ国連合の大使から抗議された皇帝ラマージュは、連合に対して宣戦布告した。
2人の着陸跡を発見した人類統合体軍は、2人と「戦線」との関連を突き止め、追跡を開始する。ルーヌ・ビーガ市警察のエントリュア警部は、統合体のカイト憲兵大尉とともに2人を追う。一方、スファグノーフ奪還のために帝国は大艦隊を派遣する。スファグノーフ門沖会戦が始まった。あちこちで追跡劇を繰り広げた2人を脱出させるために、「戦線」のメンバーは奇想天外な脱出法を提案する。2人は無事に救出され、帝都ラクファカールに到着する。そして3年後、主計修技館を卒業したジントはラフィールと再会する。ジントの故郷ハイド伯国は人類統合体に占領され、父ロックは処刑されてティルが星系首相になっていた。爵位を継いで晴れて翔士となったジントは、ラフィールと共に新しい突撃艦「バースロイル」に、艦長と部下として乗り組むのだった。
戦役の発端となった人類統合体の先制攻撃は、双方に甚大な損害を出し、艦隊の再建に3年を必要とした。再編成を終えた星界軍は、人類統合体領打通作戦「幻炎」を発動した。新米艦長として新設の突撃艦「バースロイル」に乗り込んだラフィールは、同じく書記として乗り込んだジント(父の死により爵位を継いだ)と共に、戦いに身を投じて行く。2人の直属の上司アトスリュア百翔長は、3年前にラフィールが殺したフェブダーシュ男爵の妹であった。担当領域のアプティック門は前線を遠く離れ、予備艦隊が駐留していた。
「幻炎」作戦は成功に終わり、引き続き殲滅戦「狩人」作戦が実行された。ただ、制圧星系が多すぎて、領主が足りなくなってしまった。そのため戦いの一方、狩人艦隊司令長官ビボース提督の気まぐれで、征服した惑星ロブナスIIの領主代行および領主副代行として赴いたラフィールとジントの2人であったが、そこは統合体の犯罪者強制収容所であった。ジントたちは、慣れないながら元人類統合体の刑務官たちと交渉するが、彼らの希望は他星系への移住だった。元々囚人たちの動向は不穏だったが、刑務官と女性囚の移送が最終段階に来た矢先、ついに刑務官たちが恐れていた反乱が起こり、ジントは囚われの身となってしまう。
「狩人」作戦終了で戦況は一時膠着し、2人はジントの故郷にして3ヵ国連合から帝国が奪還したハイド伯国(旧:ハイド星系)へと向かうが、待っていたのはとても好意的とは言えぬ歓迎であった。一方、星界軍はいまだ帝国に帰順しないハイド星系における戦略級演習を企画する。そしてついに、ジントは育ての親にして現・ハイド星系首相ティル・コリントと再会する。
戦争は7年目に突入した。平面宇宙における人類統合体領を孤立させるべく、二方面から打通する「双棘」作戦が発動された。ラフィールたちは襲撃艦「フリーコヴ」に乗り込み、バルケー王国から天川門群中心円まで打通する作戦部隊に所属し、ラフィールの弟ドゥヒールはもう一方の、狩人作戦によって獲得した新領土から天川門群中心円まで打通する作戦部隊に所属して、戦列艦「カイソーフ」に乗り込み快進撃を続けた。一方、アーヴ帝国の皇帝ラマージュは、中立を宣言していたハニア連邦大使ティン・クイハンから密約の話を持ちかけられるが、これは帝国の命運を決しかねない重大なものであった。そして、星界軍が人類統合体のマイラル星系を制圧後、新作戦「雪晶」へ移行して、新領土方面艦隊が再編された。一方、ジントは第一蹂躙戦隊ごと帝都ラクファカールへ呼び戻され、一人帝宮へ召還された。
4カ国連合軍の侵攻に対して帝都ラクファカール防衛が不可能と判断した皇帝ラマージュは、緊急遷都作戦「不死鳥」作戦を発動する。皇太子ドゥサーニュは不死鳥艦隊を率いて一路、臨時帝都となるバルケー王国のソトリュール鎮守府に向かう。帝都では避難の時間を稼ぐための帝都防衛団が召集され、上皇たちがその指揮官となっていた。ラマージュはラフィールに、帝国宝物・英雄芳名碑を臨時帝都に輸送せよと勅命を与えた後に、敵の侵攻をわずかでも遅らせるため近衛艦隊を率いて死地に赴く。一方、自部隊の孤立を確認したドゥヒールは、コトポニーからの命令書を携え雪晶第5艦隊司令部に出頭するのだった。
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ラクファカール陥落から10年。八王国のうち4王国を奪われた帝国は、ついに反撃に乗り出す。ラフィールは、新皇帝ドゥサーニュから霹靂作戦(クファゼート・ロドルショト)の実行を命じられ、人民主権星系連合体撃滅へ向かう。一方、孤立していた「第二方面艦隊」司令長官ドゥビュースのもと、ドゥヒールは艦隊司令長官として重責を担うこととなる。
当初は『星界の紋章』外伝とされていたが、1999年発表の3作目「蒐集」より『星界の断章』と改名された。
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星界シリーズの超光速航法は、通常宇宙空間から「門」を通じて「平面宇宙」という別の宇宙空間を経由して、再び「門」をくぐって通常宇宙空間へと戻るという方式である。
他のスペースオペラと異なる特徴は、別の宇宙空間である「平面宇宙」の設定と描写が詳細であり、「平面宇宙」の通過にもそれなりに時間を要すること、さらにはそこでの宇宙戦闘艦同士の戦闘があり、戦略があることである。恒星間の移動は全て「平面宇宙」を経由することから、宇宙地図・星間国家の勢力図は、平面宇宙上の地図で表される。
また、作者は『星界の戦旗VI』の「あとがき」の中で、「星界の舞台では同時性が崩壊していて」「登場人物の時間にずれが生じることはざらにある」と記載している[17]。
平面宇宙とは「通常宇宙」と異なる物理法則に縛られた「別の宇宙」である。時間と平面空間だけで成り立つ文字道理の「平面な宇宙」。「門」によって通常宇宙と繋がれているが、その世界に立ち入る為には「時空泡」と呼ばれる通常宇宙の法則を堅持した空間で身を守らなければ三次元物質は「時空粒子」となって雲散霧消してしまう為、平面宇宙航法理論に基づく平面宇宙航行技術が必要不可欠とされる。
人類が銀河文明を築き得たのは平面宇宙の発見と、通常宇宙とを繋ぐ「門(ソード)」の利用技術確立によるものである。
通常宇宙と平面宇宙との位置関係は同じではない。平面宇宙は通常宇宙の投影ではなく別個の宇宙であり両空間における位置関係は異なっている。ただし、「第二形態ユアノン」または「開いた門」(単に「門」とも)と呼ばれる特異点においては同じ位置関係を保っている。ある門から平面宇宙に入って別の門から通常宇宙に出ると、光速以上の速さで移動したと同様の結果となる場合があり、このような例を利用した疑似的超光速移動を使う事で人類は通常宇宙の物理法則から解放され、銀河文明を作りえたのである。
その原動たる「ユアノン」とは、陽子の千倍ほどの質量を持ち常に一定のエネルギー(凡そ500MW)を放出し続ける特異な素粒子の事。人類がまだ単一星系にのみに住んでいた頃に発見された。当初、放出源が何なのか原因を突き止める事は出来なかったが活用方法は研究され、やがて同粒子を推力源とする恒星間移民船が造られ人類の本格的宇宙進出の最初の一石となった。居住圏の拡大と共に新たなユアノンも見つかり、多数の移民船が宇宙を駆けた(ジントの故郷も、そうしたユアノン推進宇宙船によって植民された星の一つである)。
このユアノン(後に「第一形態ユアノン」と呼ばれる)は粒子状の特異点であり「閉じた門」であった。特定の方法にて「第二形態ユアノン」又は「開いた門」にする事が可能で、技術的に確立されると平面宇宙と通常宇宙を繋ぐ文字道理の「門」となった。第一形態時に放出されるエネルギーは平面宇宙から流入してくるものであった。
通常宇宙の銀河系で中心部ほど星が濃密であるように、平面宇宙の「天川門群(ソードラシュ・エルークファル)」にも「中心円」と呼ばれる「門」が密集した領域が存在する。この領域は時空粒子流が激しく、アーヴといえども航行できない。また、時空粒子流は中心円から外側へ向かって流れるため、流れに逆らって進む時はその反対方向へ向かうのに比べて遅くなる。
中心円から離れると、「環(スペーシュ)」という門がある程度密集した同心円状の領域が飛び飛びに存在する。「アーヴによる人類帝国」を構成する八王国のうち7つと4ヵ国連合諸国はおおむね第1環から第7環までの「中央領域(ソール・バンダク)」に存在し、イリーシュ王国のみが第12環にある(第8環から第11環までにも、有人星系に通じる門が少数ながら散在する)。ジントのハイド星系が長らく帝国に発見されなかったのは、ハイド門が第12環の中でもイリーシュ門のほぼ反対側という「辺境」に存在するため、探査自体がほとんど行われなかったことによる。第12環から外側は門がほとんどないが、一部に門密度の高くなっている領域があると観測されていたため、遥か遠くに別の銀河系に由来する門群があると推定されているが、まだそこまで到達したものはいない。
帝都ラクファカールのあるアブリアル伯国には八つの門があるが、それぞれが平面宇宙側では八王国のどれか一つに通じている。このためにいわゆる「内線の利」を発揮することが可能だが、逆に帝都が陥落すれば一気に分断されてしまう。『紋章』では、人類統合体を主力とする連合艦隊が第12環に通じる2つの門からイリーシュ王国に侵攻し、帝都に通じるイリーシュ門へ向けて進撃した。
平面宇宙における勢力境界線は、かつて地球上にあった国境ほど明確なものではないが、便宜的にそれに準じて記した勢力図が『星界の戦旗I』の付録に示されている(第12環以外の「環」は省略)。7つの王国は4ヵ国の支配領域の隙間を埋めるように存在する。中でもラスィース王国とスュルグゼーデ王国は、人類統合体に楔を打ち込んだ状態になっており、『戦旗I』ではこの王国を出撃基地として攻撃を加えている。
図上では、クリューヴ王国だけがハニア連邦内に孤立している。ただ、ハニア連邦は他の三国全てと隣接しているものの、大戦初期に中立を宣言していたため、アーヴ側もクリューヴ王国方面への戦力増強は控えていた。しかし、この領域が実は重大な問題であったことが、『戦旗IV』の最後で語られた。
平面宇宙とは文字通り2次元の宇宙であり、通常宇宙(ダーズ:3次元)上にあるものが平面宇宙に入る際は、通常宇宙を切り取った「時空泡(フラサス)」を時空泡発生装置によって形成して、3次元を維持しなければならない。また、物理法則も通常宇宙とは異なる。時空泡の移動速度は、内部質量と反比例するなどである(このため、複数の艦艇が時空融合した時空泡で防御しつつ、攻撃に際しては「単艦時空泡」に時空分離して急速接近する戦術が用いられる)。電磁投射砲の砲弾も凝集光も時空泡外では存在できないため、平面宇宙戦闘は、敵味方の時空泡が重なった場合に起こる「時空融合(ゴール・プタロス)」によって発生する。そこでは3次元的な戦闘が行われる。ただし、時空泡発生機関を独自に持つ機雷を使用すれば、時空融合していない遠距離の敵艦を破壊することもできる。
艦隊同士の平面宇宙戦闘は通常、多数の機雷を備える戦列艦からの雷撃戦に始まる。しかし費用対効果や運搬コスト等の問題、相手の護衛艦や戦列艦に因る防御機雷戦・対抗雷撃戦もあってそれだけで殲滅する事は難しく、大抵は他艦艇が時空融合からの直接戦闘に至るまでの牽制と漸減に留まる。艦隊の彼我距離が詰まると巡察艦や突撃艦の出番となる。護衛艦等と配置を変ると突撃が始まる。互いに陣形を崩したり守り合い、有利な戦闘状態を作ろうと激しく入り乱れ合う。通常宇宙と異なり情報連結がやり難いのが平面宇宙である為、連係や即応は個々の艦艇や部隊指揮官の判断技量が激しく問われるのが特徴である。また、戦列艦や補給艦といった脆弱な部隊が巡察艦等の強力部隊による突撃を受けると戦闘は一方的な展開となり易く、これらの状況を「蹂躙戦」等と呼ぶ。
上記の戦闘形式は大艦隊同士の戦闘形態であり、小規模な局地戦ではこの限りではない。例えば大質量の機雷を多数搭載する戦列艦には機動力が低いという弱点があり、強行偵察と奇襲を主な任務とする機動力重視の偵察分艦隊に含むことはできない。偵察分艦隊は戦列艦より機動力の高い巡察艦のみで編成され、敵偵察分艦隊の迎撃には主に突撃艦がその任に当たることとなる。平面宇宙での巡察艦と突撃艦の戦闘は、まず巡察艦が機雷を発射して突撃艦の数を減らし、その上で生き残った突撃艦と巡察艦が時空融合して戦う形となる。突撃艦は火力が弱く機雷攻撃にも弱いため、巡察艦を相手にする場合は数で圧倒しなければ勝利は難しい。もっとも、突撃艦にとっては、敵の巡察艦と時空融合する(いわば懐に飛び込む)までは難しいものの、いったん時空融合して時空泡内部での戦闘に持ち込むことができれば、機動力で巡察艦を翻弄しつつダメージを与えることが可能となるため、十分に勝機がある。作中で、人類統合体の駆逐宇宙艦(アーヴ帝国の突撃艦にあたる艦種)10隻がアーヴの巡察艦1隻(艦名「ゴースロス」)に辛勝した戦いを例に挙げると、時空泡内部での戦闘に持ち込むまでに6隻が失われたが、生き残った4隻が巡察艦を撃沈した(時空泡内部での戦闘で、さらに3隻が失われた)。
平面宇宙戦闘で一番問題となるのは、時空泡の中身は質量でしか判断できないことである。泡間通信ができない場合、時空泡の質量や配置から経験と勘と運に頼って、敵か味方か、また艦種は何かを判断するしかない。何が出てくるかは実際に時空融合してみないと分からないこと、そして時空泡内の質量にも限界があることで、少なくとも襲撃艦6隻程度の質量が限界のようである(厳密にどの程度かは不明)。もっとも、限界質量に関しては『戦旗III』にて明らかにされたため、それ以前の映像作品(特に『戦旗I』)との間に矛盾が発生している。なお、限界質量を超えると時空泡は分裂してしまうが、無規則に分裂するため、どのような時空泡ができるか予測できず危険である。
戦闘においても、当然「門」は重要な拠点であり、制圧対象である。例えば、機雷を大量に「門」に放てば、防御機雷戦ができない艦隊はなすすべがない。これは、通常宇宙から平面宇宙に機雷を撃つ場合(時空融合)も、その逆の場合(時空分離)も、真である。
星界シリーズにおける機雷は、我々の世界で海中に敷設する実在の兵器のようなものではなく、時空泡発生装置を持ち、敵艦隊に向けて高速で投射・誘導される、いわば「平面宇宙用ミサイル」とでもいうべき架空の兵器である。
通常のSF艦艇の主力兵器である、レールガン・荷電粒子砲といった兵器(無論、星界シリーズの艦艇でも装備しているが)は、平面宇宙では、時空融合しない限り意味を成さない。 敵の機雷攻撃に、味方の機雷をぶつけることで防御する防御機雷戦が必要なのは、そのためである。大量の敵機雷に時空融合されてから打ち落とすのでは、全てを打ち落とすことは不可能で、また打ち落とせたとしても時空泡内の質量が増して機動力が削がれ、艦隊運動に支障をきたし壊滅的被害を受ける。時として、数としては圧倒的に優勢な帝国星界軍艦隊が危機に陥るのは、補給不足や機動力重視の艦種構成ゆえの機雷の不足によるところが大きい。
この世界には、かつては恒星系ごとに独立した数百を越える国家が存在したようであるが、長年の間に侵略と併合が進み、現在は「アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ)」、通称「帝国(フリューバル)」と4ヵ国連合を含めて5か国しか存在しない。
帝国は人類宇宙の約半分を支配し、その交易により莫大な富を得、超大規模の星界軍(ラブール)を維持している。というよりも、星界軍が帝国の政治、行政の多くを動かしており、事実上帝国の基盤となっている。
形式上は皇帝(スピュネージュ)が帝国全体を統治しているが、その支配は緩やかなものであり、地上世界(ナヘーヌ:有人惑星)では現地人からなる領民政府(セメイ・ソス)が各惑星の統治を行い、帝国に対しては領民政府の代表である領民代表(セーフ・ソス)が、帝国貴族である領主(ファピュート)と各種の交渉を行う(領民政府の統治権は大気圏外には及ばない。したがって、複数の有人惑星を持つ星系には同数の領民政府がある)。
このように、帝国は地上世界や領民(ソス)に対して直接関与せず、地上世界で起きていることに通常はまったく関心を払わない。領民は、帝国臣民としての自覚や忠誠を期待されてはおらず、帝国の支配に反対することすら禁止されていない。
人類宇宙の残りの半分は、一部は遺伝子操作種族もいるものの、普通の人類からなる「人類統合体」「ハニア連邦」「拡大アルコント共和国」「人民主権星系連合体」が、離合集散しながら統治している。彼らは一般に、アーヴの帝政に嫌悪感を持っており、民主主義国家を標榜し、「4ヵ国連合(ノヴァシチリア条約機構)」という軍事同盟を結んでアーヴによる人類帝国と敵対しているが、各国の帝国に対する態度にはかなり温度差がある。
帝国貴族である諸侯の領地である有人星系、すなわち邦国(アイス)内部の有人惑星を統治する領民政府[注 15]には、いくつかの義務がある。
帝国星界軍(ルエ・ラブール)とは、アーヴによる人類帝国の保有する軍隊の名前である。星界軍(ラブール)とも呼ばれる。以後は星界軍と呼称する。
星界軍は、アーヴ帝国の領域の維持および拡大(悪く言えば侵略)を主任務としている。また、次期皇帝の選出や貴族の爵位継承などに関する社会制度との関わりも極めて深く、星界軍無くしてアーヴ帝国は成り立たないといっても過言ではない。
アニメ版における敬礼は、現代の軍隊においても一般的な挙手の敬礼であるが、手は人差指と中指を揃えて伸ばし、他の指を握って掌を下方に向ける。現実世界でも、ポーランドでは掌を前方に向ける以外はよく似た手の形の敬礼を行う(詳細は二指の敬礼を参照)。
帝国成立期のアーヴは小型の高機動戦闘ユニットを主戦力としており、当時の職名が階級名としてジントたちの時代になっても使われている(ただし、千翔長以上は組織の拡大にともなって創設されたもの)。
原則として従軍したアーヴはすべて翔士となり、従士には国民がなる。翔士に昇進した国民は士族として扱われる。なお、士族の説明にある通り、著しい功績などにより特に高い階級に昇進した場合、国民出身であっても一代限りの貴族爵位や、さらに領地を賜って世襲の貴族(正式の貴族)にまで昇格することもある。
帝国では、平面宇宙航行機能を持つ宇宙船はすべて空識覚に基づく、制御籠手(グーヘーク)を介した操縦を前提としているため、操艦・砲術などを担当する飛翔科翔士(ロダイル・ガレール)になれるのは、生物学的なアーヴだけである。また、戦隊以上の艦隊司令官もすべて飛翔科翔士から選抜される。
かつては地上軍が存在したが、帝国創建から程なく帝国史上最大の内乱「ジムリュアの乱」を起こしたために解体され、空挺科として星界軍に組み込まれた。
その他の兵科には軍監科(作戦参謀)、主計科(補給・医療などの後方参謀)、軍匠科、軍医科、技術科、警衛科、法務科、看護科などがある。
上記の通り奏任翔士の階級は役職と乖離しているため、星界の紋章の時代においては階級とは別に、各艦の艦橋要員について以下の職名が存在する。
イラストは赤井孝美が担当している。
『星界の紋章』はWOWOWにて1999年1月から3月まで放送された[48]。『星界の戦旗』はWOWOWにて第1シリーズが2000年4月から7月まで[49]、第2シリーズ(『星界の戦旗II』)が2001年7月から9月まで放送され[50]、第3シリーズ(『星界の戦旗III』)がOVA[注 19]として2005年8月から9月にかけて発売された[52]。『星界の断章 -誕生-』はWOWOWにて2000年4月に放送された[53]。
株式会社メディアワークスが、小野敏洋の作画で1998年から『星界の紋章』を、2000年から『星界の戦旗I』を、宮越和草の作画で『星界の戦旗II』を『コミック電撃大王』に連載し、2000年から2002年に単行本化した[注 20][55]。また、株式会社ジー・モードが、『星界の紋章』を2012年から米村孝一郎の作画によるウェブコミックとしてCOMICメテオで配信、2013年から2021年にかけて単行本化した[56][57]。
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