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幹事長(かんじちょう)は、組織の役職名の一つ。組織内に関わる職務を行う役職のうち最高位。政党組織の場合、機能遂行のための執行機関として総裁や委員長などの党首とそれを支える幹事長や書記長、議決機関として総務、常議員、中央委員などの役職が置かれる[1]。
もともと、おおよそ2000年頃までに結党された政党では、政党内に「中央執行委員会」「常任幹事会」のような最高意思決定の常設機関があり、幹事長はその組織の長、あるいは事務長であるという位置づけになっているのが通例であった。古い大政党でそのようになっていないのは、自由民主党幹事長である。自民党幹事長は、特定機関に付属するという位置付けではない。また、小政党では最高意思決定の常設機関自体がそもそも存在しないので、幹事長は独立した党内役職となっている。2000年以降に結成された諸政党も同様である。
幹事長職がナンバー2である場合は、「総裁を補佐し、党務を執行する。」(自由民主党党則8条1項)、「代表を補佐し、党務を統括する。」(公明党規約35条1項)、「代表を補佐して党務執行全般を統括する。」(立憲民主党規約16条2項)と、各党の規則にある通り、党首の職務執行を補佐し、かつ党務を掌握する。党務の中には、党の膨大な資金配分や、選挙の総指揮も含むことが多い。つまり「カネ」と「人事」を握っている。そのため、「副総裁」「副代表」「副委員長」「副党首」など一見ナンバーツーを想起させる役職よりも権限が大きく、真のナンバーツーであるといえる。とりわけ、政府与党で党首が内閣総理大臣に選出されている場合は、多忙な首相兼党首に代わり、党の全権を掌握することとなる。
また、党本部だけではなく地方組織、すなわち党県支部[注釈 1]連合会・地方議会会派等にも「幹事長」の役職が設置されている。自由民主党、立憲民主党、国民民主党など大政党においては、都道府県連の代表には国会議員が就くのに対し、幹事長には地方議員が就任する事が多い。
外国語からの翻訳では、おおむね社会主義政党や革命志向政党については書記長、保守政党については幹事長と訳し分けることが多い。日本では1980年代以前に革新政党や中道政党が、幹事長に相当する役職名として「書記長」(おおむね「中央執行委員会」付き)を置き、対して自民党やその源流あるいは派生の保守政党は幹事長を置いていた。1990年代以降は、かつて書記長を置いていた党の直系の後継政党が書記長の代わりに幹事長を置く例が続いた(社会民主党・公明党など)。現在、政党要件を満たす党では日本共産党が書記局長を置く他は、幹事長または代表幹事を置くか、共同代表制などを取っている。
これまで与党第一党の幹事長は首相と同様全員衆議院議員で占められていた。しかし、2011年9月には民主党の幹事長に参議院議員会長の輿石東が就任(兼任)した。
幹事長の下に副幹事長を置く場合や、幹事長の筆頭補佐職として幹事長代理が置かれることもある。
ナンバーワン | ナンバーツー | 政党・組織名 | 備考 |
---|---|---|---|
総裁 | 幹事長 | 立憲政友会 | |
立憲民政党 | |||
日本自由党 | 吉田茂 | ||
日本進歩党 | |||
民主党 | |||
民主自由党 | |||
自由党 | 吉田自由党 | ||
改進党 | |||
日本自由党 | 鳩山自由党 | ||
日本民主党 | 鳩山一郎 | ||
自由民主党 | |||
党首 | 幹事長 | 新進党 | |
太陽党 | |||
社会民主党 | |||
自由党 | 小沢一郎 | ||
保守党 | 小沢自由党から分派、後の保守新党 | ||
次世代の党 | |||
みんなでつくる党 | |||
代表 | 幹事長 | 新自由クラブ | |
新党さきがけ | 1996年から | ||
民政党 | 羽田孜 | ||
民主党 | 1996-1998 | ||
民主党 | 1998-2016 | ||
民進党 | |||
国民民主党 | 2018-2020 | ||
国民民主党 | 2020- | ||
公明党 | 1998年から | ||
保守新党 | |||
国民新党 | |||
新党日本 | |||
改革クラブ | 後の新党改革 | ||
みんなの党 | |||
たちあがれ日本 | |||
新党改革 | |||
政党そうぞう | |||
女性党 | |||
維新政党・新風 | |||
新党大地・真民主 | |||
日本のこころ | |||
希望の党 | |||
立憲民主党 | 2017-2020 | ||
立憲民主党 | 2020- | ||
日本維新の会 | |||
れいわ新選組 | |||
代表 | 事務局長 | 参政党 |
ドイツにも幹事長を置く政党がある。
英米系諸国の議会にはホイップ(whip。鞭と同義)という役職があり(参照: 内閣 (イギリス)#院内幹事)、日本語では「院内幹事」と訳されている。院内幹事の起源は18世紀にあり、その長である院内幹事長の業務は次第に拡大していった[2]。この職は、自党に属する議員が投票行動において党の決定に反さないように督励や調整を行う仕事である。院内幹事は党内では登院命令書(Whip)を送付して執行部とバックベンチャーとの連絡を行う役割があり、党首とバックベンチャーの意見調整を行う[2]。また、院内幹事長は対外的には自党を代表して、法案の審議時間、委員会のポスト配分など議会での審議について与野党で協議を行う[2]。会派の役職でありながら、かつ議会における公的な地位でもある点が、日本の政党の「党参院議員会長」「党参議院幹事長」などとは異なる。
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