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『幕末青春グラフィティ 坂本竜馬』(ばくまつせいしゅんグラフィティ さかもとりょうま)は、「サントリードラマスペシャル」として1982年11月16日に日本テレビ放送網で放映されたドラマである。
サントリーの一社提供。
武田鉄矢が自ら脚本を書き(片山蒼名義)、主演した作品。従来の時代劇とは趣を異にしており、時代背景や事件経緯を追うことよりも(間崎哲馬や岡田以蔵の死去にまつわる件などがかなり端折られている部分がある)登場人物たちの青春像を描く現代ドラマ風に仕立てられている。また当時あまりテレビに出演しなかったミュージシャン(特に長州勢に集中して起用されている)やお笑いタレントが多数出演したことでも話題を呼んでおり、当時日テレをメインにして活躍していた新人のとんねるずも出演している[1]。
全編にわたってザ・ビートルズの音楽がBGMに使われているのが特徴で、竜馬暗殺シーンではジョン・レノンの『イマジン』が使われている。このためソフト化が困難とされる[2]。
後にテレビドラマ『幕末青春グラフィティ 福沢諭吉』(1985年、TBS)、映画『幕末青春グラフィティ Ronin 坂本竜馬』(1986年、東京放送製作、東宝配給)が製作されているが、いずれも河合義隆が演出、監督で携わっている。製作局は異なるが、『幕末青春グラフィティ 福沢諭吉』はシリーズ続編という体裁になっていて、武田が上記2作品共坂本竜馬を演じている。
なお、『Ronin 坂本竜馬』は本作の続編と言われることがあるが、ドラマとしてのつながりはない(例えば本作品のクライマックスで切腹する武市半平太役の柴俊夫が映画版では亀山社中設立メンバー・池内蔵太として登場する)。だが両作品中に、クライマックスシーンで武田がアメリカ大統領(本作はジョージ・ワシントン、『Ronin 坂本竜馬』はエイブラハム・リンカーン)の名を挙げて演説をする、竜馬が身内の死を手紙で知りそばにいた女性に膝を貸してもらい号泣する(本作では栄の死でおりょうに、『Ronin 坂本竜馬』は武市らの死でうのに)など、同じモチーフを用いたシーンが複数回存在する。『Ronin 坂本竜馬』のドラマとしてのつながりは、1989年に放送された日本テレビ年末時代劇スペシャルシリーズ第5作の『奇兵隊』の方がイメージ的にもリンクしていて、この映画を観たスタッフからのオファーにより武田が4度目の竜馬役で特別出演をした。
武田には「坂本竜馬は生きているときは、あまり大事にされなかった人という思いをずっと持っていて、同時代の人は『ああ、あの便利屋ね』って小馬鹿にしていたけど『いや、違うんだ』とも言い返さなかった男」という捉え方で脚本を書いたという[2]。ミュージシャンがたくさん出るのは、自身の描く坂本竜馬はミュージシャンの匂いがするためだという[2]。
吉田拓郎を始め、小室等、井上陽水のフォーライフ勢が長州藩士を演じているのは、「あいつらモテそうでいいな」というヤッカミから[2]。また暗殺犯を沢田研二が演じているのは、フォークを殺すのはGSだろう」という考えから[2]。出演交渉に行ったら沢田は、あっさり引き受けてくれたという[2]。山内容堂を演じるビートたけしはまだ映像に興味を持つ前で[2]、こちらも出演を快諾した[2]。ただ、監督の河合義隆が完璧主義者で、たけしを相当締め上げていたという[2]。河合の無茶苦茶な演出に出演者はかなり腹を立てていたという[2]。
武田が脚本を書いた後、どう回ったのかは分からないが、夏目雅子が台本を読んでのっているという話が武田に伝わった[3]。夏目とは1983年のNHK大河ドラマ『徳川家康』で一度共演歴があった[3]。まさか夏目がそんなことを言うはずない、と半信半疑だったが、夏目から「どこかで飲みながら話をしたい」と言われた[3]。指定されて店に行ったら、夏目がいて、武田が「のるわけないよな。変な時代劇だもの」と言ったら、夏目から「面白いと思います」と真剣な顔で返された[3]。それでお竜を演じてもらった[2][3]。夏目は伊集院静と付き合い始めた頃で[2]、色っぽく、吉田拓郎も「あれが夏目か?」と感心していたという[2]。
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