学校法人アテネ・フランセ
東京都にある学校法人 ウィキペディアから
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学校法人アテネ・フランセ (仏: Athénée Français)は、東京都千代田区神田駿河台に本部をおく準学校法人である。2013年9月以前の運営形態は財団法人アテネ・フランセ。専門学校アテネ・フランセ等を運営する。
アテネ・フランセは、1913年(大正2年)創立の言語の「専修学校」で、現用言語 (langue vivante) を直接教授法で教授する著名な多言語の学校であり、多現用言語と古典語の言語学校である[注釈 1]。
アテネ・フランセを創設したジョゼフ・コット (1875年 - 1949年、仏: Joseph Cotte) は、かつて東京帝国大学講師で古典ギリシア語・ギリシア文学を教授していたフランス人で、病気で東京大学を退官した後、神田錦町の東京外国語学校予科に「私立高等仏語部」という私立の教室を設立し、1913年1月から教授を開始。1914年(大正3年)、同校の私設の教授施設に「アテネ・フランセ」と命名。約3年のあいだ教室の移動を繰り返した後、1916年(大正5年)、神田神保町の中華料理店3階に開校。1922年(大正11年)、神田三崎町に新綜合校舎を建設した。当初よりフランス語・古典ギリシャ語・ラテン語の授業を続け、1944年(昭和19年)から11か月間戦時閉校期間があったものの、戦時下でも自由教育を貫き、一時、文化学院内で授業を行った。1962年(昭和37年)に現在の駿河台の新校舎を建設、文化学院内の仮設校舎から移動した。
新校舎は元在校生の建築家吉阪隆正の設計によるもので、第14回日本建築学会賞を受賞した。
現在は、フランス語、古典ギリシア語、ラテン語の基幹言語のほか、英語(アメリカ英語が主体)が開講され、附属のアテネフランセ文化センターで「映画美学校」というフィルム映像の撮影技法と銀塩フィルムによる映像メディアの芸術学講座も開講されている。また、年表にあるように、2015年度からは専修学校としての運営もなされるようになった。
出典[1]
専修学校専門課程(いわゆる専門学校)としてのアテネ・フランセ(「専門学校アテネ・フランセ」)には、以下の課程・学科がある。
いずれの学科も、卒業時に専門士資格が付与される。
なお、英語学科であっても、フランス語を第2言語(第2外国語)として「修業」するカリキュラムとなっている。
アテネ・フランセの特色は、文化学院に類似した自由教育と、大学アグレジェ(教授資格者)および国家博士(ドクトラ・デタ)のフランス人等の卓越した大学院並みの教授陣にある。また、元在校生には、文化人、作家、芸術家等々がいる。「卒業」さらに「ブルヴェ(教員免状、仏: Brevet)」という最終段階まで在籍せずとも、フランス語のエキスパート(通詞/通訳・フランス文学者・学者)となったり、英語の翻訳家になったり、また関口存男等の日本の第一級の言語学者を多数輩出している。
フランス語を主とするも、ギリシア語、ラテン語、英語等々の言語の専門家も含め、多数の言語に業績を残す多数の著名人・文化人・学者・作家がその門をくぐっている。『フランス語を習得するにはアテネ・フランセ若しくは東京日仏学院に通わなければならない』という不文律もフランス語界ではかつてできていた(例えば東京大学教養学部のフランス語の第1回目の講義でもかつてはこのように宣言されていたものである)。しかしながら、時代とともに、アテネ・フランセは独自性を失う。1960年代頃までは、フランスで発刊されたギリシア語の文法書から写した古典ギリシア語の文法書をも含めて、フランス語やラテン語や古典ギリシア語の教科書や教材のテキストは、「アテネ・フランセ」の版権で、出版社兼販売者のアテネ・フランセ内の出版社や「欧明社」等を通じて、アテネ・フランセで独自に編纂し、活字印刷や孔版印刷で印刷製版して使用し、これらのユニークな「高等科テキスト」「アテネ・フランセの入門書」、ジョゼフ・コット校長編纂の教材、高等科の「フランス語原典選集」、「ラテン語原典選集」、「古典ギリシア語原典選集」等の独自編纂されたテキストを用いて講義し、極めてユニークな「アテネ・フランセ独自の原典選集」を主教材として使用していた。しかし、1960年~1970年代頃から、外部(アリアンスフランセーズ等で採用されたモージェ(仏: Mauger Bleu)のテキスト等)で編纂されたテキストをそのまま採用し、フランスから直輸入したテキスト教材をフォトコピーの教材でまかなうようになり、アテネ・フランセの独自の「教材」の水準と品質とは、だんだん低下していった(特に、原典校訂注解の皆無な古典ラテン語テキストや古典ギリシア語テキストと高等フランス語のテキスト)。但し、大村雄治の「実習ラテン語」、松本悦治校長編集の「ラテン語テキスト」などの教授自身の著作は例外であったが、高等仏語のアテネ・フランセ独自の「原典教材」の出版物は、教科の「テキスト」としては使用されなくなり、そのテキストの質が低下している。
また、1990年代までは、ギリシア語とラテン語の高等科の履修者については、奨学金制度もあったため、著名なギリシア語・ラテン語学者をも、アテネ・フランセから数多く輩出させた実績も特筆に値する(奨学金は現在では廃止されている)。また、週3時間あった西洋古典語初級・中級・高等科クラスも、現在は隔週1時間や、週1時間ないし2時間1コマの連続授業に減縮されている。
教授法は、フランス人がフランスの教材でフランス語を教える直接教授法である。徹底したスパルタ式の教授法で、発音、暗誦、活用など文法の暗記を重視、学期毎の試験は出席日数も必須条件である。合格者が次の段階に進める。
視聴覚教育法には、仏式のCREDIFメソッドとアテネ・フランセ独自のサンテティック(仏: Synthétique)がある。
在日フランス大使館文化部も、アグレジェ資格取得者の教授陣の派遣など、後援を行ってきた。 卒業式、免状授与式では賞品として本を贈られた。また、1990年代までは、ブルヴテ(免状保持者)は取得後、講義を無料で聴講でき、そのため、後輩にはとても刺戟となる良い制度があったが、経営の合理化のため廃止された。
なお、1980年代初頭から、英語についてはアメリカの大学の協力を得てTEFL (Teaching English as a Foreign Language) 教授法を導入し、多数のTEFL教授を招聘している。また、英語は、RSA(Royal Society of Arts)の資格[注釈 2](tesolやtesl,teflとして一定期間以上英語を教えた経験のある人しかとれない)を有する多数の教授陣を擁する。但し、フランス文学の教授陣と異なり「英文学」「アメリカ文学」専攻の「学者」は揃っていない。
また、附属のアテネ・フランセ文化センターは、銀塩フィルム映像作品の名作及びビデオ作品やDVDメディア作品の映像を、独自の発明(特許公開平9-304836)の「字幕同時映像投影法」で作成された独自の字幕付き映像で上映し、シネマテークとして日本の映像文化に多大の貢献をしている。
また、「図書館」を併設し、単なる「語学学校」ではなく、「フランス文化」を教授・研究に足る「大学仏文学系の教養課程」の基礎となる諸設備(視聴覚設備・諸教育設備)を拡充させている。
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