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奈良県奈良市に所在する、国立文化財機構の一部門 ウィキペディアから
奈良文化財研究所(ならぶんかざいけんきゅうじょ)は、奈良県奈良市二条町2丁目9-1に所在する独立行政法人国立文化財機構の一部門。古都奈良の文化財、埋蔵文化財の研究や平城宮跡、藤原宮跡の発掘調査も手がける。また奈良市や明日香村に資料館などを公開している。略称、奈文研(なぶんけん)。所のシンボルマークは平城宮跡から出土した「隼人の楯」である[1]。
研究部門としての企画調整部(5室)、文化遺産部(4室)、都城発掘調査部(5室)、埋蔵文化財センター(4室)、事務局としての研究支援推進部(3課)、展示施設としての飛鳥資料館を設置している。
独立行政法人国立文化財機構所有の国宝・重要文化財のうち、指定時の官報告示で「奈良文化財研究所保管」とされているものを挙げる。
大韓民国の国立文化財研究所や中華人民共和国の中国社会科学院考古研究所とも共同研究を行い、発展途上国の文化財担当者の研修を行う。今後は東アジア規模での研究テーマを設定する予定である。
2010年(平成22年)7月に、同研究所は、藤原宮跡で天皇の即位儀礼が行われる「大嘗宮」の可能性がある建物跡などが発見されたと発表した。根拠としては、柱穴跡が42本見つかり、これらが建物跡や塀跡、門跡であると確認され、これが「平城宮の大嘗宮跡と類似した構造」であるとされた。その中で藤原宮があった時代の柱穴は1基しかなかったなどの矛盾点も見つかり、同研究所は11月18日に調査結果を撤回する事態になった[12]。
2011年(平成23年)3月の、東日本大震災の津波によって海水や泥で被害を受けた岩手県・宮城県の古文書や史料を真空凍結乾燥機(フリーズドライ)を用いて乾燥させた後、泥や異物を除去する作業をしている[13][14]。
2015年(平成27年)より運営を開始した「全国遺跡報告総覧」は、全国の発掘調査報告書を一般公開し、誰もがPDF形式で閲覧またはダウンロードすることを可能にした機関リポジトリサービスだが、2021年(令和3年)4月26日から、登録された刊行物(発掘調査報告書・博物館展示会図録など)・動画・論文などの各種コンテンツを、ウィキペディアの出典情報として正確に、かつ書式に従い効率よく引用出来るようにするため、引用時にコンテンツ表記を自動表示するアイコンを開設した。これによりウィキペディアの、主に遺跡や考古学に関する事項を編集するユーザーは、執筆においては発掘調査報告書を参照し、出典として引用したい場合には書誌情報を迅速にコピー・アンド・ペースト出来るようになった[15]。
同研究所は、日本最古とされる富本銭が1990年代に出土した飛鳥池遺跡に関して、発掘調査の報告書が16年間に亘り未完成であったにもかかわらず、「完成した」とする虚偽の情報をウェブサイトに記載し続けていたことが、2021年12月24日に報じられた。2003年度に2004年度末の刊行が決まり、印刷業者と制作契約を締結したが、15万点を超える出土遺物の整理や分析に時間がかかり、報告書を作成できなかったと説明している。一方で同研究所は、制作費約910万円を業者に支払う不適切な会計処理を行い、ウェブサイトや発行物には2004年度に刊行済みとしていた(実際の完成は図版編が2008年度、本文編が2021年12月)。同研究所はコンプライアンス違反に当たるとして、本中真所長を厳重注意処分としたほか、発掘調査を担当した松村恵司前所長ら元所長2人も厳重注意相当となった[16]。
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