血液型はO型。テレビの演出家、プロデューサーとして、かつて担当していた6番組のうち5番組の視聴率が20%超えて次々と大ヒット番組として話題に[1]。合計100%を越えることから「視聴率100%男」とも呼ばれた。また自身の著書のタイトルにもなっている「視聴率男」「生涯打率No.1」などと取材されるとき見出しで使われることが多い[1]。
五味が生み出したテレビ番組制作の発明は数々あり「『24時間テレビ 「愛は地球を救う」』の24時間マラソン導入、日本武道館のエンディングでZARD「負けないで」の感動ゴール演出」「フライングスタート」「芸人のネタの中に台詞テロップを多用」などあげられる[2]。その手法は講演会、著書、インタビュー内で度々「五味理論」として緻密な演出術を明かしている。ポリシーとして「視聴率は親切率」が信念にある[1]。
長野県諏訪郡富士見町出身。早稲田大学中退後、日本大学藝術学部放送学科卒業。早稲田大学に入学したものの映画界志望だったため、日本大学藝術学部に転学、卒業[2]。
1979年4月:東映入社。CM部に配属[2]。CM映画界で市川準に師事[2]。
1987年4月:日本テレビ放送網(株)に入局。営業局CM制作部に配属[2]。1988年2月:新しいクイズをつくるプロジェクトに加わるため芸能局に異動[2]。1993年:制作局チーフディレクター。1997年:編成局企画担当兼務。2001年:編成局企画部長就任。
2003年:編成局エグゼクティブディレクター就任。『エンタの神様』で現場復帰。
- 五味が大切にする番組作りは?と聞かれて「自分が面白いと思う前に、他のより多くの視聴者を引き付けるものは何かを考えることが大事だ」と答えている[18]。
- 良いクイズの三原則は「考えたくなるような興味をそそる」「誤答のバリエーションが多い」「正解を聞いたあとに、なるほどと納得する」としている[5][19]。
- 『エンタの神様』はネタ番組の中では高視聴率を維持し、一般人を対象としたQレイト(番組質)調査において民放の番組の中でトップクラスにいる。ただしネタの長短が極端に異なる、テロップを表示する、動きの少ない漫才を否定してコントに作り変える、芸人のネタを自ら作るなどの大胆な演出のため一部では否定的な声もある。それでも吉本興業やプロダクション人力舎を初めとするほとんどの芸能事務所が五味の言うことを聞き入れるのは、五味がプロデュースすると営業他の単価が飛躍的にアップするからである[20]。
- 2013年10月8日付の「スポーツ報知」にて、交通事故に遭い他界した桜塚やっくんの名付け親として紹介され、やっくんに対して「ご冥福をお祈りします、だけで締めくくりたくない。もう一度、チャンスをあげたい。『生まれ変わって芸人になったら、天下を取れよ』と言ってあげたい。」とコメントしている。小梅太夫も名づけの親[7]。
- 2014年7月放送の『ウラカタ』に出演。森圭介アナが「五味さんにとって御自分の作られた番組ってどんな感じなんですか?」と聞くと「すべての番組が竜宮城のように楽しいもの」とコメント。森アナが「じゃあ玉手箱がいっぱいありますね?」と返すと「そうか… 開けたら即死だね」と答え、笑いを誘った。[21]
- 2017年9月放送の『AKBINGO』にVTR出演。「なぜウーマンラッシュアワーがエンタに出演できないんですか?」という質問に対し「出演してほしいんだけど、村本くんがあまり言うことを聞かないらしいんで…」と答える。これに対し村本は「そんなことはありません。言うこと聞きます。車も洗いますから。」と出演を熱望した[22]。
- 『全国高等学校クイズ選手権』の総監修を2008年から2012年の5年間担当。初回からの流れを一気に変え、新たに「知の甲子園」をコンセプトに据え、視聴率17.5%を獲得[16][8]。高偏差値に偏りすぎという批判もあったが、2013年に五味が番組から離れ「知の甲子園」のコンセプトがなくなると、徐々に視聴率が下降していくことになる[23]。
評価
- 2013年3月放送のABCテレビ『漫才歴史ミステリー 笑いのジョブズ』でカンニング竹山が「エンタ出演当時は五味さんの言われた通りにやっていた。そうしたら視聴率が上がっていった」と告白し、東野幸治は「賛否両論はあるにせよ、五味さんのテレビにおける功績は偉大だ」と語った。
- 『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト』『24時間テレビ』『高校生クイズ』など、低迷した特番をダイナミックに変える演出は、賛否両論あるものの、いずれも視聴率を倍増する結果になっている。それに対し五味本人は「日経MJ」の取材に対して「視聴率を決めるのは放送局ではなくあくまでも視聴者の皆様。私の支持者はサイレントマジョリティー(一部の極端な意見を言う人ではなく、大多数の一般的な人々)です。」と語っている[23]。2011年に企画総監修し現在も継続している『頭脳王』でも15.8%という視聴率を獲得している[5]。
- アンジャッシュはエンタの神様15周年のインタビューにて、「台詞をテロップで入れるのが耐えがたく朝まで喧嘩した」と番組の手法には反感があったことを述べた一方で、「五味さんにはテレビというものを徹底的に叩き込まれた。そのおかげでご飯が食べられるようになった」と感謝の意を述べている[24]。
- 福澤朗は五味から『SHOW by ショーバイ!!』時代に「声を上げないふつうの視聴者、サイレント・マジョリティが一番怖い」「続いては○○のコーナーでーすと(語尾を)伸ばすな、伸ばすとまわりがワアーッ!とやりたくなって時間の無駄」「以上、○○のコーナーでしたの『以上』はNG、ザッピングチャンスになるから」と教わったと述べている[25]。
- サンドウィッチマンは、2018年7月9日放送の『ZIP!』で【自分の人生を変えてくれた人は俺達を発掘してくれた五味さん】と伊達、冨澤ともに答えている。このことは二人の著書『敗者復活』でも言及している[26]。名作コント「ピザの宅配」は五味の指導があって出来たものでネタは大ウケ。「エンタの神様」放送が終わると他番組から出演依頼が相次いだ[27]。
- 『チコちゃんに叱られる!』を手掛けた小松純也は若い頃、どうしても歯が立たないと思っていたのが五味と言及している。「五味さんの手がける番組は、家族のだんらんにつながる仕組みが企画のなかに確立されている。家庭のテレビをゲーム機に変えた。さらに番組の盛り上がりが最高潮になった時にCMをはさむヤマ場CM、テレビで当たり前となっている字幕テロップを多用し始めたのも五味さん。技術的なことも含め、こうした五味の方法論は、テレビ業界だけでなく、ヒット商品を生みたい企業に五味理論として脈々と伝わっている」と評する[28]。
- 東京03は『エンタの神様』において全て五味が提案したオチに文句を言わなかった。自分たちのセンスより五味が見せる数字のロジックをリスペクトしていたという[29]。
- 伊集院光は自信家の五味をひどく嫌っており、自身のラジオ番組で批判した際に「ゴミのような番組を作るワンマンプロデューサー」と言っていた。
TBSテレビ
- 『あなたは見抜けるか? 女神の眼力!』(企画・総合演出)[31]
テレビ
- ※自身の演出、プロデュース番組の出演に伴う、ごく短時間のものを除く
- テレビをよく知るテレビ(日本テレビ) - 「テレビをつくってみよう!~体験学習ドキュメンタリー」
- ウラカタ(日本テレビ)
雑誌
- 日経ビジネス(1996年10月号、日経BP社) - 「緻密なデータで打率10割,「分かりやすく」がカギ」
- 新・調査情報(1997年3月号、TBSメディア総合研究所)
- 広告批評(1997年4月号、マドラ出版) - 「テレビは見世物小屋だ「マジカルTVパワー!?」特集」
- ぎゃらく(1997年6月号、放送批評懇談会) - 「いまの批評じゃズレズレだ!!」
- 月刊民放(1998年9月号、日本民間放送連盟) - 「視聴者の変化をどうとらえるか--メディア・リテラシー考」
- 学校運営研究(1998年10月号) - 「指導力不足教師と学校の対応策)
- 創(2000年7月号) - 「日本テレビ"独走"の検証 ; 日テレ"ヒットメーカー"7人の演出論」
- The21(2005年5月号、PHP研究所) - 「ヒットは「感性」ではなく「理詰め」で生み出す」
- The21(2005年8月~10月号、PHP研究所) - 「これが"確実にヒットを生み出す"極意だ! 「ヒット率9割男」の仕事術!五味式トレーニング」
- 文蔵(2006年11月号、PHP文庫) - 「本屋さんの歩き方」
- 日経エンタテインメント(2006年12月号、日経BP社)- 「エンタの神様の人気芸人のつくり方」[40]
- ぎゃらく(2007年1月号、放送批評懇談会) - 「TVのエンタテインメント力 五味一男×板橋順二 テレビの"笑い"はこう作れ!!」
- 日経エンタテインメント(2007年4月号、日経BP社)- 「時代を動かす100人ヒットメーカー列伝」
- プレジデント(2007年7月号) - 「実践!自利利他の交渉術」
- 調査情報(2008年、TBSメディア総合研究所) - 「"ショーケース化"する「お笑いバラエティー」の新潮流)
- 放送批評の50年(2013年、学文社)
- 週刊文春(2017年8月17日号~9月21日号、文藝春秋) ※連載「最強の五味一男イズム」[41]
『週刊文春』2017年8月17日号~9月21日号、文藝春秋