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架空の兵器 ウィキペディアから
東宝特撮映画作品に登場する怪獣対策組織[注釈 1]が使用する、対怪獣用兵器で指向性エネルギー兵器として描写される。初登場作品の『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』以降、ゴジラシリーズを中心にたびたび登場して怪獣映画ファンに人気を博している[1][注釈 2]、架空の兵器シリーズである。東宝特撮を代表するメカである[2]。
作品ごとに多少設定などは異なるものの、パラボラアンテナ型の発光する照射部から青白く輝きつつ稲妻状に蛇行するメーサー光線を照射し、怪獣の細胞を焼き払う威力を持つとして設定・演出されている。また、1機しか存在しないスーパーXなどのワンオフ兵器ではなく、ある程度の数が量産されている制式兵器として集団(部隊)で運用される。主に車両なので、一般的に「メーサー車」と呼ばれることもある[3][4]。
実在の科学技術であるメーザー[5]の初登場当時の呼称「メーサー」が用いられており、東宝特撮映画では初登場から現在まで「メーサー」と表記され続けている[注釈 3]。その演出は現実のメーザーとは異なる。
以下では、表題は映画公開当初の正式名称で記載している。
『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』で初登場[19][20]。メーサー兵器がシリーズ化したため、後に66式メーサー殺獣光線車[出典 11]と呼ばれるようになった。所属は陸上自衛隊(『サンダ対ガイラ』)、防衛隊(『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』『ゴジラ対メガロ』)[22]、特生自衛隊(『ゴジラ×メカゴジラ』)[8]。
パラボラ型の照射装置を搭載する装輪式のメーサー装置車と装軌式の牽引車で構成され[出典 12]、内蔵する小型原子炉により、10万ボルトの熱量で炭酸ガスと窒素が変換されたメーサー光線(誘導放出された10万ボルトのマイクロ波)を照射する[出典 13]。パラボラ型照射器は、砲身部が可動して鎌首をもたげるような動きをして発射態勢となる。射撃レーダーも備えており、本来はミサイル迎撃システムとして開発していたとも言われている[10][15]。
『ゴジラ×メカゴジラ』では、『モスラ』当時にロリシカ陸軍から日本政府が借り受けた原子熱線砲を研究し、熱エネルギーの集中照射型発射機としてメーサー砲を開発したと設定されている[27][28]。同作品中では1966年に陸上自衛隊への配備が開始され、ガイラ戦において実戦投入されてその威力を遺憾なく発揮したが、性能が専守防衛の範囲を超えているという懸念が広まったことから、メーサー殺獣光線車の運用を担う専門部隊として特生自衛隊が設立されることとなった[27]。
『ゴジラ対ガイガン』に登場するメーサー殺獣光線車は、牽引車や砲塔側面の一部パーツが無く[29]、軽量化およびシステムの簡略化がされたことから[22]、改造メーサー車[30](70式メーサー殺獣光線車[31][22]、メーサー殺獣光線車改[32]、72式メーサー殺獣光線車[9])とも呼ばれる。資料によっては、強化改良型と推測している[33]。
『サンダ対ガイラ』の初期脚本では登場しておらず[40][41][注釈 8]、監督の本多猪四郎が特撮の見せ場を作るために加筆して登場させた[41][11]。書籍『ゴジラ画報』では、イギリスの特撮テレビ番組『サンダーバード』に登場する特殊車両の影響を受けていると記述している[7]。
井上泰幸の原案を豊島睦がデザインに起こした[出典 16][注釈 9]。可動する砲塔は、撮影用カメラのクレーンがヒントになっている[44]。
ミニチュアは、『怪獣大戦争』に登場したAサイクル光線車をベースとして[出典 17][注釈 10]、15分の1(約2メートル)と30分の1(約1メートル)の大小ミニチュアが2台ずつ作られた[出典 18][注釈 11]。材質に用いられているのは、木材、FRP、鉄板など[3]。牽引車は、大サイズがM24戦車[46][5]、小サイズが61式戦車の足回りをそれぞれ使用している[30][5]。装置車・牽引車とも自走はできないので、走行・パラボラアームの上下動ともどもピアノ線で引っ張りながら行っている[43]。発光部分にはヨウ素ランプを用いている[出典 19]。電源は内蔵しておらず、操演用のピアノ線から送電している[43][3]。
小型のミニチュア2台は『ゴジラ対ガイガン』に牽引車なしで登場し、点火して燃やされた[48]。助監督の井上英之は、ミニチュアを燃やしたのは東宝映像社長の田中友幸の指示であったと証言している[48]。同作品では大サイズはパラボラ部の支柱がなく、小サイズはドーム部分が赤い塗装が施されている[49]。
木曽川でのL作戦でメーサー車が水平に樹木を切り倒すシーンは、木に火薬を仕込み、光線が触れるタイミングで着火させている[43][35]。これは本番直前に特撮監督の円谷英二が思いついたものであり[43][47]、本多も喜んだという[43]。美術の井上泰幸は、とても効果的で驚いたが打ち合わせ段階では出ない案だったため、現場は大変であったと述懐している[43][47]。合成を担当した川北紘一も、ランダムな着弾に光線を合わせるのに苦労した旨を語っている[50]。
『サンダ対ガイラ』では合成スタッフを務めていた特撮監督の川北は、後年にビデオ『東宝特撮未使用フィルム大全集』制作の際に『サンダ対ガイラ』でのメーサー殺獣光線車の未使用フィルムを多数発見し、当時の撮影で時間をかけて撮影されていたことを認識したという[51]。
『サンダ対ガイラ』の宣伝資料として、メーサー殺獣光線車各部の詳細な設定が公開されていた[52]。
『ゴジラ対ガイガン』での光線発射シーンは『サンダ対ガイラ』からの流用であるが[14][53]、新撮部分にも同じ光学合成を施して自然につながるよう編集されている[54][36]。流用部分では、ガイガンやメガロが逃げ回るシーンにガイラが映っている。
『サンダ対ガイラ』の映画公開年度(1966年)の末尾2ケタを取って66式メーサー殺獣光線車という名称を商品名とする玩具などが発売されている[注釈 12]。
『ゴジラvsビオランテ』で初登場[73]。形式番号DAG-MBT-MB92[注釈 16]。通称はメーサータンク[出典 26]、メーサー戦車[17]、メーサービーム戦車[出典 27]。92式メーサービーム戦車[出典 28]や92式メーサータンク[81][70]、92年式メーサー戦車[82]と表記する資料もある。所属は陸上自衛隊[出典 29](『ゴジラvsビオランテ』から『ゴジラvsモスラ』、『ゴジラvsデストロイア』)、国連Gフォース[17][69](『ゴジラvsメカゴジラ』)。『ゴジラvsキングギドラ』以降は92式メーサー戦車(改)[60][71]と呼ばれる。
車体に8輪駆動8輪操舵のタイヤを装備した完全自走式の装輪戦車[出典 30][注釈 17]。大きな砲塔上部にメーサー光線を照射するパラボラ型砲身を搭載している[63]。パラボラ中央部からは主体となるビームが、パラボラの周辺部からは補助ビームが照射される[注釈 18]。光線発生システムは、プラズマを発生・加熱して中間子(ニュートリノ)を生成し、収束照射する「プラズマ加熱ミラータイプ改」。このため、砲塔後部には高出力の超伝導発電システムとヘリウムガス冷却システムが搭載されている。
元々は大陸間弾道ミサイルの迎撃システムとして開発されていた[出典 31][注釈 19]。
『ゴジラvsメカゴジラ』に登場するGフォース所属機は、車体に「G-FORCE」の文字が入れられており[84]、エンブレムなどは、Gフォース仕様となる[72]。改良が常に重ねられているため、[改]を付ける場合がある[72]。
『ゴジラvsデストロイア』では、超低温レーザー砲をセットした冷凍仕様が投入された[65]。脚本(決定稿)では「自衛隊開発の超低温レーザー(SX IIIに使っている)仕様に変えられたメーサータンク」と書かれている[85]が、原理などは不明。そのほか、運転席上部には怪獣出現時の緊急走行を考慮してパトライトを装備しているが、これはハイパワーレーザービーム車から受け継がれたものである。また、前照灯とは別に、砲身基部に大型のサーチライト2基が設置されている。
『ゴジラvsモスラ』で初登場。形式番号はMBAW-93。通称はツイン・メーサー[120][124]、ツインメーサータンク[119]、自走メーサー砲[17]、ツインメーサー戦車[121][22]。93式ツインメーサー戦車と表記している資料もある[125]。所属は陸上自衛隊[17](『ゴジラvsモスラ』『ゴジラvsデストロイア』)、国連Gフォース[17](『ゴジラvsメカゴジラ』)。1993年に制式化された[17]。
防空任務のために局地戦防空車両として開発された自走砲[出典 50][注釈 28]。93式自走高射メーサー砲1輌に、92式メーサー戦車2輌から3輌が配備されるという部隊編制になっており[出典 51][注釈 29]、メーサー小隊を指揮する役割を持つ[出典 52]。速射性の高い200万ボルト高射メーサー砲2基を持つため、地上部隊の要となっている[72]。仰角は大きいがパラボラ式ではないため、集束力に欠けるのでパワーでは92式に劣る[19][119]。車両の単価が高価であるため、満足な数が揃えられていないとされる。
国連Gフォースに配備された時は、無人化した74式戦車の遠隔操作機能の追加や、砲身に命中率を向上させるためのリフティングポールが追加されるなどの細部に改良が施されたほか[出典 53][注釈 30]、デストロイア戦には92式と同様の冷凍兵器に仕様が変更された。『ゴジラvsメカゴジラ』に登場するGフォース所属機は、車体に「G-FORCE」の文字が入れられており[84]、エンブレムなどは、Gフォース仕様となっている[72]。
特技監督の川北紘一は、音楽担当の伊福部昭に「メーサーマーチ」の新曲を書いてもらいたいと望み、伊福部の創作意欲をかき立てようと、脚本にないメーサータンクの新型を登場させたと述べている[126]。『ゴジラvsモスラ』の丹沢戦では強力な新型として登場し、ゴジラの片目を潰すなどの活躍が予定されていたが、全体のバランスを考慮してやられ役にとどまった[127]。
決定デザインは西川伸司[出典 57]。87式自走高射機関砲(略称は87AW)やゲパルト自走対空砲をイメージしたものとなっている[120][121]。当初は通常の戦車の数倍もの巨大車両という想定で、3連装のメーサー砲が束ねられたスパイラルメーサーとしてデザインされたが、モスラやバトラなどの飛行怪獣が登場するということで、対飛行怪獣を想定して砲塔部を対空戦車に換装したものを基にしたデザインとなった[出典 58]。ただし、『ゴジラvsモスラ』劇中ではモスラ成虫などの、飛翔している怪獣を狙って攻撃するシーンはなく[出典 59]、『ゴジラvsデストロイア』にて、飛行して逃げるデストロイア完全体に対して攻撃を行ったのが初となる。前晴彦や青井邦夫によるデザイン案では、『モスラ』に登場する原子熱線砲を模したものも存在した[133]。西川によれば、『vsモスラ』の前身企画『モスラVSバガン』でデザインしていた原子熱線砲をそのまま登場させる案もあったという[127]。Gフォース仕様のカラーリングも検討されていた[103]。
造型は小川モデリングが担当[81][注釈 31]。モデルは1両しか造られていない[135]。基礎部分は既存のミニチュアを流用している[120]。ミニチュアは自走せず、操演で走行を表現している[120]。デザイン段階では92式よりも大型という想定であったが、ミニチュアは同サイズとなったことから、コックピットのサイズ比が異なっている[131]。
ミニチュアは、細い砲身の先端に金属パーツを付けていたため、走行時に砲身が重みで揺れてしまい、『vsメカゴジラ』以降は支柱が追加された[136]。特技監督の川北は、デザインは惚れ込んだが、もっと見栄えのするボリュームでも良かったかもしれないと述懐している[96]。また、メーサー攻撃機ともども、もっと劇中で活かしたかったとも述べている[129]。
『ゴジラvsスペースゴジラ』の本編には未登場であるが、DVDに収録されているメイキング映像の未使用シーンではGフォース陸戦部隊として登場しており、九州に上陸したゴジラを迎撃している。この時の車両は、砲塔後部のレーダーがパラボラ状に変更されている[107][108]。資料によっては、Gフォース所属機として紹介されている[107][108]。
『ゴジラvsデストロイア』での仕様は、既存のミニチュアを改造している[104]。同作品では、93式の車体に新たにスパイラルメーサー砲を搭載したデザイン画も存在していたが[注釈 32]、採用には至らなかった[137]。
その後、ミニチュアは『超星神グランセイザー』で超古代文明の兵器に改造された[109]。また、2009年時点で『グランセイザー』登場時の状態で東宝の倉庫に保管されていることが確認されている[111]。2017年の時点では、一部欠損した状態で『vsデストロイア』当時に近い状態へ戻されて保管されていることが確認されている[101]。
2019年に円谷英二ミュージアムで限定公開される特別映像『夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る』でも、レストアされたミニチュアが使用された[86]。ゴジラ関連作品への登場は『vsデストロイア』以来となった[86]。
『ゴジラvsモスラ』に登場。形式番号はASTOL-MB93(略番号はMBF)。メーサーヘリ[出典 72]やメーサー攻撃機[出典 73]、AG-AHなどの別称がある[143]。所属は陸上自衛隊。1993年に制式化された。
空陸両面からのゴジラ集中攻撃を想定して製造された初めてのメーサー兵器搭載の航空機。2次元ノズル・ターボジェットによって短距離離着陸が可能なジェット攻撃機である[60][64][注釈 37]が、制式名称や機体マーキングでも明確に分かるとおり、航空自衛隊ではなく陸上自衛隊機である。
AH-1S コブラを機体開発の母体としており[出典 74]、タンデム式コクピットや着陸用スキッドを有したままジェット機化したような形状をしている。固定翼機の速度や航続距離と、ヘリコプターの運動性能を兼ね備えている[81]。富士山重工[68](または富士山製作所[143])と米Bill社により、日米共同で開発されている[68]。
京浜地域へ侵攻するゴジラに対し、2機が出動[19][124]。丹沢山中で陸上部隊と連携して迎撃し[出典 75]、メーサーを顔面に命中させるなどして手こずらせたが、放射熱線によって1機が撃墜され、残る1機は撤収した[22][124]。
決定デザインは青井邦夫[出典 76]。企画段階では完全な攻撃ヘリコプター型やティルトローター型のデザイン案が候補に挙がっており[出典 77]、スーパーXIIIとして登場させる案も存在した[129][133]。脚本では攻撃用ヘリコプターにメーサー兵器を搭載した機体と書かれていた[出典 78]。川北紘一は、ヘリコプターの操演が大変なため、ローターのないジェット機型に変更してもらったと述べている[129]。青井は、機首を実在の自衛隊ヘリコプターと同型にすることで、パイロットの描写も撮影できるよう想定していたが、実現には至らなかった[127]。これらの経緯から、スタッフ間では「メーサーヘリ」の呼称が用いられていた[127][140]。
ミニチュアは、オガワモデリングが製作を担当[127][140]。撮影用モデルは、44センチメートル(1/50サイズ)のものが2機制作された[81][141][注釈 38]。操演はピアノ線によって行われるが、回転シーンは尾翼に支柱を固定して撮影している[140]。川北が最も気に入っていると言及している兵器である[140]。
川北は、モスラとバトラの関係を主軸とするため、空中攻撃機を登場させつつメカの描写は抑えめにしたと述べている[96]。また、メーサー攻撃機については、デザインは惚れ込んだが映像では線が細く、A-10攻撃機やV-107 バートルのようなボリュームがあってもよかったと述懐している[96]。
『ゴジラvsスペースゴジラ』では劇中未登場であるが、国連Gフォースにも参加してゴジラを攻撃する予定だった[138]。資料によっては、Gフォース所属機として紹介されている[107][108]。カラーリングはGフォース仕様に変更されている[108][117]。
『vsモスラ』のテレビ放送では、登場シーンがカットされている[145]。
『ゴジラvsデストロイア』に登場。形式番号はCLT-95[出典 87][注釈 39]。所属は陸上自衛隊。通称冷凍メーサー車[出典 88]、冷凍レーザータンク[17][152]、95式冷凍メーサー車[154]。1995年に制式化された。
デストロイアのミクロオキシゲンを無効化させるために急遽投入された車両[146][91]。厳密には対ゴジラ用兵器ではないが、メーサー兵器の砲塔などが換装されており[151][60]、これまでの92式メーサー戦車の流れを汲むメーサー兵器とされる。
装置車と装輪式牽引車(特92式改30トン6輪牽引車[出典 89]、ソニックビームシステム車の牽引車と同型)のセットで運用される[65]。当初は装軌式の牽引車が想定されていたが、対デストロイア作戦が都市部で行われることから、装輪式が採用された[146]。車体は汎用トレーラーを改造している[146]。
マイナス183度の超低温レーザー(冷凍レーザー)は、ゴジラ対策が国連G対策センターに移管していた防衛庁(当時)が核災害対策などのために開発していたもので、基本的にはスーパーXIIIに搭載された装備と同様である[出典 90][注釈 40]。ただし、エネルギー変換効率が若干下回るため、最高出力や稼働時間に差が生じている[146]。最大照射時間は11秒、連続発射に要する間隔は4秒[17]。酸素が液化する温度の約マイナス183度以下まで冷却できる。
92式メーサー戦車などとは形状が異なるレーザー発射部のパラボラは、4枚の反射収束版で構成される。非使用時は花の蕾のように閉じている(完全に閉じきるわけではない)が、レーザーの発射態勢に入ると開く。サブウェポンとして、8連装のボックス型ミサイルランチャーを砲塔の両側面に計2基装備。マイナス180度にはおよばないが、冷凍弾を装備している[60]。
火器で攻撃することが危険とされるデストロイアの出現を受け、閣議決定により出動した自衛隊部隊の中核として、東京臨海副都心の作戦域に少なくても8両が布陣し、車内(操縦席)の様子が初めて映像化されている。一時はデストロイア幼体の集団を追い詰めるが、合体・巨大化して集合体となったデストロイアの前に壊滅する。その後、物語終盤でメルトダウン寸前のゴジラと完全体に成長したデストロイアの戦いに、スーパーXIIIと共に介入する。戦線を離脱しようとしたデストロイアにとどめを刺し、メルトダウンを始めたゴジラによる被害を最小限に食い止めるなど、大きな戦果を挙げる。
特技監督の川北は、スーパーXIIIともどもゴジラのメルトダウンを食い止めるための手段として冷凍砲を装備したメカの登場が必然であったと述べている[96]。牽引車と砲車がセパレートした構成は、メーサー殺獣光線車を踏襲している[104]。
デザインは西川伸司が担当[出典 91]。未製作映画『モスラVSバガン』の企画時に描かれた新型原子熱線砲車が元になっている[出典 92]。当初のデザインでは、牽引車の運転席は丸みを帯びたものとなっていたが、川北からの要望により角張った形状に改められた[137]。また、牽引車単独で小型メーサーを搭載したバリエーションも描かれていた[137]。そのほかに、スタジオOXによるデザイン案も存在した[159]。
造型はオガワモデリング製[160][161]。撮影用に作製されたミニチュアモデルは1台だけだが、合成によって多数配備されているように演出されている[152]。メインボディは強度を持たせるため、アルミ板をボルトで組んでいる[160][104]。砲塔部分は、ハロゲンランプの熱で溶けないよう耐熱パネルを用いている[104]。牽引車のタイヤは92式の小型モデル、本体は92式の大型モデルからそれぞれ型取りし、ホイールキャップを変えて異なるデザインとしている[161]。ミサイルポッドは、実際に火薬を用いることから[162]金属製となっており、他のメーサー車両に増設されたものも同様である[161]。
当初は、次世代メーサーシステムと銘打った、近未来的なデザインの新型メーサー兵器とするデザイン案もあった。[要出典]
川北は、本機を気に入ったメカの一つに挙げており、久々に自衛隊メカのディテールを細かく描写できたと述懐している[163]。
その後、ミニチュアは『超星神グランセイザー』で超古代文明の兵器に改造された[109]。また、2017年時点まで東宝の倉庫に保管されていることが確認されている[111][101]。
2019年に円谷英二ミュージアムで限定公開される特別映像『夢の挑戦 ゴジラ須賀川に現る』でも、レストアされたミニチュアが使用された[86]。ゴジラ関連作品への登場は『vsデストロイア』以来となった[86]。
『ゴジラ×メカゴジラ』で初登場。特生自衛隊(対特殊生物自衛隊・JXSDF)に所属する主力兵器[出典 98]。1990年に制式化された[28][173]。製造は三友重工[27][169][注釈 43]。
66式メーサー車の後継機[出典 99]で、直系の進化型[出典 100][注釈 44]。
66式と基本構成は変わらないものの、自動化によって乗員は2名となり、メーサー砲の操作を含めてすべてを牽引車から行える[出典 101]。牽引車の運転手がそのまま砲手としてメーサー砲を操作し、助手席が各種補佐を行う[27]。この時、助手席が回転して後ろ向きになるため、砲手は前方・補助要員は後方を向いて互い違いに座ることになる。従来機と異なり、走行しながらの照射も可能であるほか[27]、荒天かつ夜間の戦闘でもゴジラの目を狙い撃てるほどの命中精度で15万ボルトのメーサー光線を照射できる[177][169]。ただし、雨の中ではエネルギーが水蒸気となって減退するため、効力が70パーセント程度まで下がることがある[27]。66式では砲身がむき出しになっていたのでビーム発振部が常に見えていたが、90式では非照射態勢時はカバーの中に収納される[31][169]。また、66式では光線を地面と平行にしか発射できなかったが、身長の高いゴジラなどにも対応しようとパラボラ自体の角度を変えることも可能となった[178]。
特生自衛隊の主力兵器であったが[9][177]、3式機龍の完成後はその支援が主となる[165][172]。
『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では、改良型の90式メーサー殺獣光線車<改>が配備されてメーサー光線の出力が向上し、発生する熱によって光線の色が黄色く見えるようになった[出典 102]。放射レンズの高性能化により[170]、雨中での光線損耗率も改善されている[179][169]。
『幻星神ジャスティライザー』第50話「地球総攻撃開始!」に登場。所属は国防軍。
国防省がダルガ帝国の巨獣に対抗すべく開発した特殊車両。「特殊光線砲車『雷』」という別名があるが、劇中では呼称されない[214]。ゴジラシリーズなどとは世界観が異なるため、他のメーサー兵器との関連性は不明である。大型の装軌式車両で、車体上部にメーサー砲を1基、車体両脇に6連装ミサイルランチャーを備える。「雷」のマーキングが車体側面にある[214]。劇中では2台が登場した。
巨大戦艦ディグロスから発進し、地球に降り立ったデストボーグ・ブルガリオの大群を国防省対異星人特殊作戦課司令官の九条公康の指揮の元、同じく国防軍所属のM1エイブラムスなどと共に迎撃する。少なくとも2機のブルガリオを撃破する戦果を挙げるが、ダルガ帝国軍側の物量には対抗できず、全車が破壊されている。
上記以外にも、ガルーダの武装である高出力メーサービームキャノン、MOGERAの武装であるプラズマメーサーキャノンと省電力メーサーバルカン砲、3式機龍の武装である99式2連装メーサー砲と4式3連装ハイパーメーサー砲、新・轟天号の武装であるドリルスパイラル・メーサー砲・G粒子メーサー砲・小型プラズマメーサービーム砲、M機関の隊員が使用するメーサーライフル、漫画『怪獣王ゴジラ』に登場するメーサーヘリ、ゴジラがゲスト出演している『流星人間ゾーン』のゾーンファミリーが携帯する光線銃・メーサーショットといったメーサー兵器が存在している。これらの詳細は、それぞれの搭載兵器などの個別項目を参照。
なお、アメリカ映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』には、ゴジラを監視する施設「モナーク第54前哨基地」の対ゴジラ兵装の名称としてMASER TURRET(メーサーターレット)が登場するが、砲塔の形状などは前述のメーサー兵器群と大きく異なっている。
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