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2009年のアメリカのアニメーション映画 ウィキペディアから
『プリンセスと魔法のキス』(プリンセスとまほうのキス、原題:The Princess and the Frog) は、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが製作した長編アニメーション映画。全米では2009年12月、日本では2010年3月6日に公開された。2023年現在、ディズニーによる最後のセルアニメ制作による映画でもある。
プリンセスと魔法のキス | |
---|---|
The Princess and the Frog | |
監督 |
ジョン・マスカー ロン・クレメンツ |
脚本 |
ジョン・マスカー ロン・クレメンツ ロブ・エドワーズ |
製作 | ピーター・デル・ヴェッチョ |
製作総指揮 |
ジョン・ラセター アギー・コー |
音楽 | ランディ・ニューマン |
編集 | ジェフ・ドラヘイム |
製作会社 | ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ |
配給 | ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ |
公開 |
2009年11月25日(NYC・L.A.限定) 2009年12月11日(全米) 2010年3月6日 |
上映時間 | 97分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $105,000,000[1] |
興行収入 | $266,475,899[1] |
前作 | ボルト |
次作 | 塔の上のラプンツェル |
2002年に発表されたメリーランド州の作家E.D.ベイカーのジュブナイル小説『カエルになったお姫様(The Frog Princess)』を基にしている他、グリム童話『かえるの王さま』を劇中話に引用したりパロディとして使用している。舞台をニューオーリンズのフレンチ・クオーターにしたり、主人公を黒人の少女にするなどの変更が行われた[2]。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ長編作品の第49作にあたり、前作『ボルト』までは3D映画だったが、本作のみ再びの2D作品である。同社の長編アニメーション映画としては、2004年公開の『ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え!』以来の2D作品となる。監督は『リトル・マーメイド』や『アラジン』で知られるジョン・マスカーとロン・クレメンツである。
ヒロインのティアナは、2007年公開『魔法にかけられて』のジゼルを除けば、1998年公開『ムーラン』のファ・ムーラン以来の正式なディズニープリンセスとなる。
後述の理由で本作品をテーマにしたアトラクションがアメリカ国内のディズニーパークにオープンすることが2020年6月にウォルト・ディズニー・カンパニーから発表された[3]ほか、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの長編映画が日本で3月に公開されたのは2004年公開の『ブラザー・ベア』以来6年ぶりとなる。
なお、アメリカのアニメーション作品に見られる仲間内ジョーク「A113」は、本作品にも登場する。
ニューオーリンズのフレンチ・クオーターに住むティアナは、亡き父・ジェームズの夢であった自分のお店のレストランを開くことを実現させる為に、別のレストランでアルバイトをしてお金を貯めて頑張っているひた向きな少女。
ティアナの夢が実現するのが近いとある日、マルドニアの王子であるナヴィーン王子がフレンチ・クオーターに来航し、幼い頃からプリンセスになることを夢見るティアナの幼馴染・シャーロットの父が開催する仮装パーティーに招待されているという。ティアナは調理人として出席したが、ティアナがレストランを開こうとしていた空き家に先客の買い取り手が出てしまう。シャーロットに促され、渋々プリンセスのドレスを着ることになったティアナは、ナーバスになり思いふけっていると、一匹のカエルが人間の言葉を話し、自分に話しかけて来たのだ。当然驚くティアナ。
カエルは、自分が悪い魔法使いドクター・ファシリエに促されるままに魔法をかけられてしまったナヴィーン王子だと名乗る。ナヴィーン王子の召使いであるローレンスは、彼の姿に成り代わり、シャーロットの父の財産を狙ってシャーロットに求婚する。ナヴィーンは人間に戻るためには「プリンセスとキスをすること」が条件だと言い、ティアナをプリンセスだと思い込み彼女にキスしてくれるようにせがむ。ティアナは躊躇の末キスをすることになったのだが、ナヴィーンの姿は戻らず、逆にティアナの姿がカエルに変わってしまったのだった。
カエルの姿に変わってしまったティアナとナヴィーンは衝突し、反りが合わない。ジャングルに着いた2人は、人間と一緒に演奏することが夢の巨大なワニ・ルイスと出会い、ナヴィーンと意気投合。更に一番星をメスのホタルだと勘違いして恋しているホタル・レイ(レイモンド)とも出会い、かけられた魔法を解くことが出来るという尼僧・ママ・オーディの元を目指し、密猟者に狙われるなどピンチに見舞われるが、胸の内を語り合ったティアナとナヴィーンは料理とダンスをお互い教え合ったりと心惹かれていく。
そしてティアナたちはママ・オーディと出会い、人間に戻して貰うように頼むが、彼女は「望むものではなく、本当に必要なものは何か考えること」をティアナたちに教える。そして夜の12時までにシャーロットにキスして貰うことで人間に戻れるとママ・オーディは言う。ティアナたちはニューオリンズまでの船に乗り、ルイスは仮装と間違われ、人間と一緒にパレードでトランペットの演奏をする夢が実現する。
一方ナヴィーンはティアナを愛していると自覚し、ティアナにプロポーズをしようとするも、夢を語る彼女を前に自分の気持ちを押し込めようとするが、ファシリエの影によって捕らえられてしまう。そのことを知らず、ティアナはレイからナヴィーンが自分にプロポーズするつもりだったことを聞くと喜ぶが、結婚式のパレードの最中ナヴィーンの姿をしたローレンスとシャーロットが寄り添う姿を見てしまう。ショックを受けるティアナは、思わずレイに「エヴァンジェリーンはただの星」と言ってしまうが、レイは信じず、ナヴィーンがファシリエに捕われていることを知ると、呪いの力の源であるタリスマンをファシリエから奪い取り、ティアナに渡すが、ファシリエによって踏みつけられてしまう。
ティアナの元にファシリエが現れ、ティアナは夢のレストランの幻影を見せられ、父親が苦労していたことなどを思いださせ、ファシリエはティアナからタリスマンを取ろうとするが、ティアナは「本当に大切なものは愛だ」ということを自覚し、タリスマンを破壊する。ファシリエは呪いの対価としてブードゥの影の魔物たちに引き込まれ、自分の墓に取り込まれた。
ティアナはパレードに出席しているのがナヴィーンでないことを知り、「貴方と一緒でないと夢は実現しない」と告白し、ナヴィーンと気持ちを確かめ合う。シャーロットはその現場に立ち会い、ナヴィーンとは結婚しないことを決め、2人を祝福する。しかしレイがファシリエによって瀕死の状態であることを知り、レイはティアナとナヴィーンの気持ちが通じ合ったことを知ると息絶える。悲しみに暮れるティアナたちだったが、レイを水葬した後、夜空のエヴァンジェリーンの隣に、一つの星が輝いている所を見て感激する。
ティアナとナヴィーンはカエルの姿のままジャングルの中で結婚式を挙げ、キスをすると元の人間の姿に戻る。ティアナがナヴィーンと結婚したことによって、プリンセスとなったからである。ニューオリンズに戻ると、ティアナとナヴィーンは正式な結婚式を挙げ、2人で協力してレストランを設立し、「ティアナのお城」と名付ける。開いたレストランでは、ルイスは店のミュージシャンとして人間と一緒にトランペットの演奏をし、ティアナとナヴィーンは2つの星が輝く夜空の下で踊り明かすのであった。
役名 | 原語版 | 日本語吹替版 |
---|---|---|
ティアナ | アニカ・ノニ・ローズ | 鈴木ほのか |
ナヴィーン | ブルーノ・カンバス | 丹宗立峰 |
ドクター・ファシリエ | キース・デイヴィッド | 安崎求 |
ママ・オーディ | ジェニファー・ルイス | 荒井洸子 |
ラバフ | ジョン・グッドマン | 玄田哲章 |
シャーロット・ラバフ | ジェニファー・コーディー | 三瓶由布子 |
ローレンス | ピーター・バートレット | 石住昭彦 |
レイモンド | ジム・カミングス | 駒田一 |
ルイス | マイケル・レオン・ウーリー | 小林アトム |
ジェームズ | テレンス・ハワード | 三上市朗 |
ユードラ | オプラ・ウィンフリー | 杉村理加 |
幼少時代のティアナ | エリザベス・ダンペアー | 藤井結夏 |
幼少時代のシャーロット | ブレアナ・ブルックス | 諸星すみれ |
ヘンリー・フェナー | ジェリー・ケルニオン | 後藤敦 |
ハービー・フェナー | コーリー・バートン | 多田野曜平 |
ビューフォード・デューク | マイケル・コリアー | 飯島肇 |
レジー | リッチー・モントゴメリー | ふくまつ進紗 |
ダーネル | ドン・ホール | 朝倉栄介 |
トゥー・フィンガース | ポール・ブリッグス | 根本泰彦 |
ステラ | ケリー・フーヴァー フランク・ウェルカー(犬の鳴き声) | 原語版流用 |
北米では、映画興行収入ランキングに、初登場1位(2500万ドル)であった。日本公開時の映画興行収入ランキングでは、初登場5位であった。
高い評価を得て世界中でおよそ2億7千万ドルの興行成績を得たが、ディズニー社が予想していたほどの収益は得られなかった。同社は原因が「プリンセス」を強調しすぎていたために男子層からあまり支持を得られなかったことにあると考え、次作『塔の上のラプンツェル』の原題を『ラプンツェル』(Rapunzel)から『タングルド』(Tangled)に変更している。
斜体太字は受賞した部門
「ディズニーが作った黒人アニメ映画」としての本作の内容に関しては、初のアフリカ系アメリカンのディズニープリンセス作品としての賞賛がある一方、「仲間のホタルが歯抜けとして描かれている」「当時あった人種差別などを描いていない」等のアメリカ黒人社会からの批判がある[要出典]。
声優を務めたオプラ・ウィンフリーはディズニーの配慮を賞賛した上で、「残念ですが、不満を持つ人々が映画を見ない限りは、ティアナはおそらくディズニー最後の黒人のプリンセスになるでしょう」とコメントしている[5]。
2020年6月25日、ウォルト・ディズニー・カンパニーはアメリカ・カリフォルニア州のディズニーランド・リゾートとフロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートで人気アトラクションとなっている「スプラッシュ・マウンテン」の設定を変更し、本作品をモチーフにした施設に改装することを発表した[3][6]。本作品でティアナ役を務めたアニカ・ノニ・ローズは「ディズニーランドと(ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾート内の)マジック・キングダムの両方で実現することを知って、本当にワクワクしています。ファンの皆さんはきっと大喜びすると思います」とのコメントを発表した[7]。
2022年7月1日、新アトラクション名が「ティアナのバイユー・アドベンチャー(Tiana's Bayou Adventure)」になったことを発表[8]。それに伴い、ディズニーはアメリカ国内のスプラッシュ・マウンテンを2023年1月と同年5月に順次閉鎖した[9][10]。
2024年5月12日、ウォルト・ディズニー・カンパニーはウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートでの新アトラクション開業日時について、同年6月28日に決定したことを発表した[11]。ディズニーランド・リゾートのアトラクションについても、同年11月15日に開業予定としている[12][13]。
なお、スプラッシュ・マウンテンは日本・千葉県の東京ディズニーランドにも設置されているが、同アトラクションの処遇について、運営会社のオリエンタルランドは日本経済新聞や朝日新聞などの取材に対して、「(題材の変更は)アメリカで決まったことなので、現時点でのリニューアルについてはまだ決まっていないが、ウォルト・ディズニー・カンパニーとの間で検討を始めている」とのコメントを発表しており、日本についても、題材変更の可能性があることを示唆している[6][14][15]。
スプラッシュ・マウンテンを巡っては、2020年5月に発生したミネアポリス反人種差別デモが世界各地に拡大した際に、同アトラクションのテーマとなっているディズニー映画の『南部の唄』が黒人描写の問題で全米黒人地位向上協会からの抗議を受け、1986年から封印作品の扱いとなっており、2020年時点でもウォルト・ディズニー・カンパニーが「時代に適していない」として、その方針を変えていない経緯から、本作品などをテーマにしたアトラクションに変更を求める署名運動が発生していた[6][16][17]。
2020年12月11日、「Disney Investor Day 2020」にてティアナの新しい物語を描く長編アニメシリーズ『Tiana』が発表された[18]。
ショーランナー、脚本共にジョイス・シェリーが務める。ティアナ役の声優を集めたアニカ・ノニ・ローズが再びアフレコを担当する。
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