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ネイサン・チェン

アメリカのフィギュアスケーター ウィキペディアから

ネイサン・チェン
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ネイサン・ウェイ・チェン英語: Nathan Wei Chen中国語: 陳巍1999年5月5日 - )は、アメリカ合衆国フィギュアスケート選手(男子シングル)。ネーサン・チェンと表記されることもある[3][4]。2010年代から2020年代にかけて活躍し、2022年北京オリンピック金メダル、世界選手権3連覇、グランプリファイナル3連覇、全米選手権6連覇などの成績を収めた。

概要 ネイサン・チェン Nathan CHEN, 生誕 ...
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国際スケート連盟公認大会及びオリンピックのフリースケーティングで、史上初となる5本の4回転ジャンプに成功した。また、4回転フリップ-3回転トウループの連続ジャンプを史上初めて成功させた。

米タイム誌による2022年の「世界で最も影響力のある100人」に選出された[5]

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経歴

要約
視点

幼少期

3歳でスケートを始め[6]バレエ体操、ピアノといった習い事も行っていた。

2010年と2011年には全米選手権ノービスクラスで連覇。

2011年12月にはラファエル・アルトゥニアンをメインコーチに変更[7]。2012年の全米選手権はジュニアクラスで優勝。当時の年齢が12歳でISUの大会には出場できないため、世界ジュニア選手権の代表には選ばれなかったが、ガルデナスプリング杯のノービスクラスで国際大会デビューし優勝を果たした。

ジュニア時代

2012–2013シーズン、ジュニアグランプリシリーズに参戦。オーストリア大会ではショートプログラム・フリースケーティングともに1位で、2位に30点以上の差をつけ優勝。クロアチア杯ではショートプログラムの後に脚の怪我のために棄権した。

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2014年全米選手権ジュニアクラス優勝

2013–2014シーズン、ジュニアグランプリシリーズでは2大会ともに優勝し、ジュニアグランプリファイナルに進出。ファイナルでは3位となる。全米選手権のジュニアクラスでは2年ぶりに優勝。世界ジュニア選手権では銅メダルを獲得した。

2014–2015シーズン、ジュニアグランプリシリーズは最終戦のクロアチア杯で2位。全米選手権の予選で初めて4回転ジャンプに成功した。全米選手権はシニアクラスに初出場し8位だった。骨端軟骨に問題(いわゆる成長痛)を抱えた試合であり、予定していたジャンプを跳ぶことはできなかった[8]

2015–2016シーズン、ジュニアグランプリシリーズのコロラドスプリングス大会で、国際大会では初めて4回転ジャンプに成功し、2位以下に30点近くの大差をつけ優勝。続くログローニョ大会でも優勝。ジュニアグランプリファイナルは2年ぶり2度目の出場で金メダルを獲得した。全米選手権ではフリーで4本の4回転ジャンプに成功し銅メダルを獲得した。ところが、フリー直後のエキシビションで3回転トウループを着氷した際に左股関節を痛め、演技を取りやめた。1月27日に手術を行った。8週間から10週間の間は氷上に戻るまでに制限がかかるため、シーズン残り予定していた世界ジュニア選手権世界選手権は欠場となった[9]

シニア時代

2016–2017シーズン:グランプリファイナル銀メダル、四大陸選手権優勝

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2016年グランプリファイナルで銀メダル獲得

振付師のマリナ・ズエワをコーチに迎えた。

シニアデビュー戦のフィンランディア杯では、パトリック・チャンを抑え優勝を飾った[10]。10月からはグランプリシリーズに参戦し、フランス杯で4位入賞[11]。次戦のNHK杯では銀メダルを獲得し、シニア1年目でグランプリファイナルの出場が決定[12]。グランプリファイナルでは、ショートプログラムで5位と出遅れたが、フリーで4本入れた3種類の4回転ジャンプを含むすべてのジャンプを成功させ1位となり、総合2位で銀メダルを獲得した[13]

全米選手権では史上初となる5本の4回転ジャンプを成功させ、参考記録ながら318.47点という高得点で初優勝[14]四大陸選手権では、ショートプログラムでISU公式大会史上3人目となる100点超えを果たし、フリーでは5本の4回転ジャンプ全てを成功させて史上4人目となる200点超えを果たし優勝[15]。17歳9か月での制覇は当時の史上最年少記録となった[注 1]世界選手権ではフリーで4回転ジャンプ6本という構成に挑むも、転倒などのミスにより6位となり、表彰台を逃した[17]。4月には国別対抗戦にアメリカ代表として出場し、ショートプログラムで2位、フリーで4位となり[18][19]、チームアメリカは総合3位となった[20]

2017–2018シーズン:平昌オリンピック5位入賞、世界選手権初優勝

初戦のUSインターナショナルクラシックでショートプログラム、フリーともに1位で優勝。フリーでは自身初となる4回転ループを成功させ、史上初となる5種類の4回転ジャンパーとなった[21]。グランプリシリーズロステレコム杯ではショートプログラムで1位発進、フリーでは羽生結弦に次ぐ2位になるが、ショートプログラムの点差で逃げ切り優勝[22]。続くスケートアメリカでも優勝し、グランプリファイナル進出を決めた。グランプリファイナルではショートプログラムで100点超えの首位発進[23]。フリーでは宇野昌磨に次ぐ2位となるも、総合では初優勝を果たした[24]。全米選手権では2位に40点以上の大差を付けて連覇を果たし、平昌オリンピックのアメリカ代表に選ばれた[25][26]

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2018年世界選手権で金メダル

平昌オリンピックでは団体戦ショートプログラムに出場。全てのジャンプでミスが出てしまい10人中4位となるも、アメリカチームとして団体戦で銅メダルを獲得する[27][28]。続く個人戦でもショートプログラムで全てのジャンプを失敗し、17位発進とメダルは絶望的となった[29]。しかし、フリーでは計6本の4回転ジャンプに挑戦し、そのうち5本を成功させ、当時歴代3位となる215.08点を叩き出して1位、総合5位入賞となった[30]。なお、このフリーで叩き出した技術点127.64点は、技術点としては歴代1位である。さらにこのフリーにおいて、ジャンプのエレメンツスコア8個が全て10点を超えた史上初の選手となった。世界選手権ではショートプログラムで首位発進。ショートプログラムが終わった時点のインタビューでは、「リスクがあるのでフリーでは4回転は5本の構成にする」と語っていたが、フリー本番では6本に挑戦し、サルコウ以外の5本は全て成功。2位以下に47点以上の差をつけての優勝を果たした[31]

2018–2019シーズン:世界選手権2連覇

アメリカの名門イェール大学に進学、統計学と医学を学びながらスケートと両立させる決意をした。これまで練習してきたカリフォルニアは西海岸、イェール大学は東海岸に位置するため、チェンは大学と近くのリンクで自主練習を続けながら、大学の授業の合間をぬってラファエル・アルトゥニアンの指導を受けるというかたちになった[32]。10月のジャパンオープンでは転倒が相次ぎ4位となったものの[33]、グランプリシリーズ初戦のスケートアメリカでは、合計280.57点で2位に40点以上の差をつけて圧勝[34]。2戦目のフランス杯ではショートプログラムで3位と出遅れるもフリーで巻き返し逆転優勝を飾った[35][36]。グランプリファイナルではショートプログラム・フリーともに1位で2連覇を果たした[37]

全米選手権では合計342.22点の高得点を叩き出し、3連覇を果たした。さいたま市で行われた世界選手権では、ショートプログラムで107.40点をマークし首位発進。フリーでは4本の4回転ジャンプを成功させ、直前に滑った羽生結弦が記録した世界最高得点をさらに上回る合計323.42点を叩き出し、2連覇を飾った[38]。10代での世界選手権連覇はアレクセイ・ヤグディン以来の快挙となった。国別対抗戦ではショートプログラム・フリーともに1位となり、チームアメリカの優勝に貢献した[39][40][41]

2019–2020シーズン:グランプリファイナル3連覇

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2019年グランプリファイナルの表彰式にて

10月のジャパンオープンでは新フリー『ロケット・マン』を披露。4本の4回転ジャンプを全て成功させ、2位に20点以上の差をつけ1位となる[42]。グランプリシリーズ初戦のスケートアメリカでは2位と40点以上の大差を付け3連覇を果たした[43]。2戦目のフランス杯でも2位と30点以上の差を付けて優勝し、グランプリファイナルへの出場権を獲得した[44]。グランプリファイナルでは、ショートプログラムで2位と12.95点差の首位発進。フリーでは5本の4回転ジャンプを成功させ、2位に43.87点の大差をつけ3連覇を果たした[45]。同大会ではフリー・合計得点ともに2019年世界選手権で自身が記録した世界最高得点を更新した[46]。全米選手権では4連覇を果たした。3月にモントリオールで開催予定だった世界選手権は、新型コロナウイルス流行の影響で中止となった[47]

2020–2021シーズン:世界選手権3連覇

グランプリシリーズが開催されたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、出場を地元選手や開催国に拠点を置く選手のみに制限し、得点は国際スケート連盟非公認のものとして扱われるという変則的な開催となった[48]。チェンは米国拠点の選手のみで開催されたスケートアメリカに出場し、合計299.15点で大会4連覇を飾った[49]

全米選手権では4本の4回転ジャンプを成功させ、5連覇を果たした[50]。ストックホルムで行われた世界選手権では、ショートプログラム冒頭の4回転ルッツで転倒し3位と出遅れる。フリーでは5本の4回転ジャンプを完璧に成功させ、222.03点をマーク。合計320.88点で3連覇を果たした[51][52]。世界選手権3連覇はパトリック・チャン(2011–2013)以来、アメリカ男子フィギュアスケート選手ではスコット・ハミルトン(1982–1984)以来2人目の快挙となった[53]。4月の国別対抗戦ではショートプログラム・フリーともにトップに立ち、チームアメリカの銀メダル獲得に貢献した[54][55]

2021–2022シーズン:北京オリンピック金メダル

ショートプログラムの曲にベンジャミン・クレメンタインの『エターニティ』、そして平昌オリンピックシーズンに滑った『ネメシス』を選び、フリープログラムにはモーツァルトのメドレーを選んだ[56]。シーズン初戦のスケートアメリカでは、ショートプログラムでミスが相次ぎ4位と出遅れる。フリーでは久しぶりの挑戦となる4回転ループを含む、計6本の4回転ジャンプに挑戦。2本の4回転ジャンプで回転が抜けるミスがあり、フリー2位、総合3位となり、2018年世界選手権以降続いていた国際大会の連勝記録は14回で止まる結果となった[57]。2戦目のスケートカナダでは、ショートプログラムで100点台、フリーで200点台の得点を叩き出し、優勝を飾った[58]。グランプリファイナルの出場が決まっていたが、オミクロン株流行の影響で中止となった[59]。全米選手権を前にショートプログラムを『ラ・ボエーム』、フリーを『ロケット・マン』と2シーズン前のプログラムに戻すことを明言し[60]、同大会では6連覇を達成した[61]

北京オリンピックの団体戦ショートプログラムでは自己ベストの111.71点をマークし、アメリカの銀メダル獲得に貢献した[注 2][62]。個人戦男子ショートプログラムでは、後半の4回転ルッツからの連続ジャンプを含む3本のジャンプを成功させ、世界最高得点となる113.97点をマークし首位発進。フリーでは5本の4回転ジャンプを成功させ218.63点、合計で2位に22.55点差をつける332.60点を記録し、金メダルを獲得した[63][64][65]。3月に出場を予定していた世界選手権は、怪我のため欠場となった[66]

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人物

1988年、父が中国から留学生として渡米して科学の博士号を取得。母は医療系の通訳で中国北京出身[67]。姉と兄が2人ずついる5人兄弟の末っ子である[68]

スケートを始めた当初は、姉のお下がりのスケート靴を使っていた。成長に伴い新しい靴を買おうにも、そのお金がなかったという。その際に父親が、アメリカのマイケル・ワイスが将来有望な若者に奨学金援助をするために設立したマイケル・ワイス財団に援助を求めた。本来であればまだ幼すぎるために年齢制限に引っかかって申請ができなかったが、特別に200ドルの援助を受け新しいスケート靴を購入。その後、目覚ましい進歩により、マイケル・ワイス財団はチェンに10年間で約75,000ドルを援助したという[69]

このことについてチェン本人は2018年全米選手権後のインタビューにおいて「マイケルがスケートを続けるお金を与えてくれた」「彼がいなければ私が今どうなっていたかはわからない」と語った。さらに「いつかはマイケル・ワイスが自身にしてくれたように、自身も若いスケーターを助けたい」と語っている[69]

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スケート技術と特徴

ジャンプ

5種類の4回転ジャンプ(トウループサルコウループフリップルッツ)を跳ぶことができ、その時の体調に合わせて自由に構成を変えることができるのが最大の強みである。一方でアクセルジャンプを苦手としており、大半の男子選手はフリーで3回転アクセルを2本跳ぶ構成にしているが、チェンはそれを1本に減らし、その分4回転ジャンプを増やす構成にすることがある。

2016年フランス杯のショートプログラムでは4回転ルッツ-3回転トウループ、4回転フリップの両方を成功。ISU公認大会のショートプログラムにおいて4回転ルッツ、4回転フリップの2種類の4回転ジャンプを成功させたのは史上初である。

2016年NHK杯のショートプログラムでは史上初となる4回転フリップ-3回転トウループの連続ジャンプを成功させた。

2017年四大陸選手権のフリーでは史上初めて同一プログラム内にて5本の4回転ジャンプを成功させた[15]平昌オリンピック2018年世界選手権においては、フリーで6本の4回転ジャンプに挑戦し、うち5本の4回転ジャンプに成功した[30][31]

2017年USインターナショナルクラシックでは4回転ループを成功させ、これでアクセルを除く5種類の4回転ジャンプ全てを成功させた最初の選手となった[21]

ジャンプ以外

ジュニア時代まではビールマンスピンも使っていたが、シニアデビュー以降は腰の負担を考慮し、封印している。

10代半ばまで続けていた体操の経験から来る空間認識能力、体幹、力の使い方は、軸のぶれない回転を生み出し、ジャンプやスピンに大いに役立っているという[70]

記録

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競技成績

ISUパーソナルベストスコア

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主な戦績

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2018年世界選手権
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2017年四大陸選手権
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2015年ジュニアグランプリファイナル
さらに見る 大会名, 2014–15 ...
さらに見る 大会名, 2009–10 ...

詳細

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プログラム使用曲

  • 背景が青い箇所はオリンピックシーズン
  • オリンピックで披露されたプログラムは太字
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著書

  • 『ネイサン・チェン自伝 ワンジャンプ』KADOKAWA、2023年3月29日。ISBN 9784041134368
  • 『ウェイと金のスケートぐつ』新書館、2023年8月1日。ISBN 9784403311550

脚注

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外部リンク

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