『デジタル・デビル物語 女神転生』(デジタル・デビル・ストーリー めがみてんせい)は、1987年9月11日にナムコから発売されたファミリーコンピュータ用ロールプレイングゲーム[2]。「ナムコット ファミリーコンピュータゲームシリーズ」第29弾。
ファミリーコンピュータ版はゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」にて、シルバー殿堂入りを獲得している(#評価を参照)。
西谷史の伝奇SF小説シリーズ『デジタル・デビル・ストーリー』(1986年 - 1993年)の初作である『女神転生』を原作としたOVAと連動したメディアミックスゲーム作品として作られた(OVAの詳細は別項を参照)。登場人物と一部設定を借りている点以外は、ほぼゲーム独自の内容となっている(原作小説やOVAの続編という形をとっている。#原作小説との違いも参照)。
本作は設立から幾ばくも経っていない時期の アトラスが開発を担当した(リリース当時、開発社名は公表されていなかった[注釈 1]が、後にアトラス社による制作だと明かされている[注釈 2])。音楽は増子司、美術(パッケージイラストなど)は原典小説の挿絵およびOVAのスタッフでもあったアニメーター・北爪宏幸が担当している。説明書のイラストは江崎稔が担当。
ゲーム内容要約
ジャンル的には主観視点の3DダンジョンRPG。プレイヤーは主人公の中島とパートナーの白鷺を通して(操作し)、6つのエリアで構成された「飛鳥の大魔宮」(ダンジョン)を探索しながら各エリアを支配する「魔王」を倒していく。最終目的は女神「イザナミ」を囚え人の世を支配しようとする闇の大魔王「ルシファー」を倒すことである(#ストーリーも参照)。
迷宮内部においてプレイヤーは自分自身でも戦うが、クリアのためには中島朱実が作ったコンピュータソフト「悪魔召喚プログラム」を使い、「悪魔」を呼び出して徒党(パーティー)を組み共に戦うことが必須となる。悪魔は最初は迷宮の中で敵として襲ってくるが、プレイヤーは悪魔に対して様々な手法を使い(#システム参照)、仲間ならぬ「仲魔」に引き込むことで初めて操作することが可能となる。仲魔は一定数内でなら複数保有出来、さらに仲魔同士は「合体」が可能である。一定の法則に従って合体すると、より強い仲魔を生み出すことができ、パーティー強化に役立つ(「仲魔システム」・「悪魔合体」も参照)。
当時のRPGは、『ウィザードリィ』(1981年)や『ドラゴンクエスト』(1986年)など中世ファンタジーものが多かった中、(当時の)現代を舞台としている点や、「学生(高校生)の男女が迷宮に挑む」というシチュエーション、そして先述の「仲魔システム」・「悪魔合体システム」などが敵と戦うだけでは無い多様性と奥深さを与え、斬新という評を得た[3]。また、当時のファミコンRPGには珍しく、悪魔のグラフィックの一部がアニメーションで描かれている。さらに広大な3Dマップで形成された魔宮には様々な強敵・謎・トラップが用意されており、ファミコン用ゲームとしては屈指の高難易度としても知られるようになった[2]。
本作の約3年後(1990年)、同じくファミリーコンピュータ用ソフトとしてシステムを継承・改良した続編的作品『デジタル・デビル物語 女神転生II』が発売され、こちらも人気作となったが、ナムコにおける作品展開は、ここで一区切りとなる。
『真・女神転生』シリーズとの関係性
任天堂の据え置きゲーム機が次世代であるスーパーファミコンに移った1992年、本作と『II』を開発したアトラスが『真・女神転生』とタイトルを改め、システム面の幾つかの要素を引き継いだ新作ゲームを自社販売した。以降、アトラスはタイトルやゲームジャンルが異なるものも含めた様々な作品を現在に至るまでリリースし続けており、それらは「(真・)女神転生シリーズ」または「(真)メガテンシリーズ」と総称されているが、本作は当該シリーズの原点として公式サイトにて紹介されている[4]。
なお、アトラスは1995年にスーパーファミコン用ソフトとして『旧約・女神転生』と題し、本作と『II』をそれぞれリメイクしカップリングした作品をリリースしている。『旧約』は後にWii版(バーチャルコンソール用ソフト)としてもリリースされた(Wii版は2019年で配信・販売終了)。
システム
- ステータス
- ゲームスタート直後、オール5ポイントの基本パラメータを持った主人公二人に、ステータスポイントが15ずつ与えられ、それぞれを自由に割り振ることができる(カッコ内は携帯電話版での表記)。
- つよさ(体) - 耐久力に影響
- ちりょく(知) - 魔法関連、敵を仲魔にする会話の成功率に影響
- こうげき(強) - 攻撃力に影響
- きびんさ(速) - 戦闘時の攻撃順、物理防御力に影響
- うん(運) - 先制攻撃の確率、逃走の成功率などの運に関わる
- その後は、戦闘に何度か勝利し経験値を一定値貯めることでレベルアップし、その度に1ポイントずつ割り振ることができる。プレイヤーの方針によって「攻撃力の高い肉弾攻撃タイプ」、「体力が高いタフなタイプ」、「平均的なバランスタイプ」など自由に育成できる。能力値の最大は各20で、全ての能力値が最大になるレベル61が最高レベル。なお、経験ポイントは中島と弓子で共有しており、どちらか一方がDEADになっていたとしても、双方が同時にレベルアップする(SFC版では個別管理)。
- 仲魔
- 敵の悪魔が1体だけの時は中島のCOMP(コンピュータ)で話すことで勧誘することができる。悪魔はアイテムやマグネタイト、マッカを要求し、これに応じれば仲魔(仲間の悪魔)になってくれることがある。ただし、敵の種族によっては絶対に仲魔にならないものもいる。1種類につき1体までしか仲魔にできず、既にストックにいる悪魔に話しかけても挨拶をして去っていくだけである。
- 仲魔は7体までストックすることができ、同時に3体まで召喚してパーティーに入れることができる。ただし仲魔を召喚するにはマッカ(魔界で流通している貨幣)が必要で、仲魔を召喚している間は歩くごとに抗体ポイント(こうたいポイント、CP)に応じたマグネタイト(悪魔が肉体を維持するのに必要な物質)を消費する。召喚に必要なマッカ、抗体ポイントは共にレベルの高い悪魔ほど高くなるため、これらのコストの管理も重要。
- 悪魔合体
- 仲魔は経験値でのレベルアップはしないが、街にある邪教の館で2体の悪魔を合体させることで別の悪魔を生み出すことができる。ただし、主人公のレベルが目的とする悪魔より低いと扱えず、合体させることはできない。中には合体でしか仲魔にならない強力な悪魔もいる。また、合体後「ドリアード」という悪魔になる組み合わせには、組み合わせ表に記号が1つ割り当てられている。邪教の館に入っても、ステータス異常のある仲魔がいると合体はできず、そちらの治療が優先される。
- エンカウント
- ダンジョン内を歩いていると敵と遭遇することがある(ランダムエンカウント型)。先制攻撃を受けることもあるが、先ずは「たたかう」「にげる」のコマンド選択が現れ、「たたかう」を選ぶと戦闘に移る。「にげる」に成功すると戦闘を回避して1ブロック後退する(FC版は後退しない)が、失敗すると攻撃を受けてから再び「たたかう」「にげる」のコマンド選択に戻る。また、背後が壁だったり相手がボスだったりすると「にげる」は確実に失敗する。
- 戦闘
- 「こうげき(ATTACK)」、「まほう(MAGIC)」、「まもる(DEFEND)」といったコマンドを選択する非リアルタイム型。このとき「AUTO」コマンドを入力すると、敵か味方かのどちらかが全滅するまで「こうげき」を繰り返す高速戦闘になる(Bボタンでキャンセルできる。また、敵方のみ魔法や特殊攻撃も使ってくる)。また、中島がCOMPで「はなす(TALK)」ことで、前述の悪魔との交渉に入ることもできる。交渉に失敗して攻撃を受けると強制的に戦闘に突入する。コマンド入力の後、一通り行動が終わると1ターン終了し、双方が残っていれば再び「たたかう」「にげる」のコマンド選択に戻る。
- ゲームオーバーとコンティニュー
- 中島と弓子の両方がDEADになると仲魔が生き残っていてもGAME OVERになるが、直後にタイトル画面からCONTINUEを選べば経験値、レベルなどはそのままでミコンの街から再開できる(ペナルティとしてマッカは半分、ほう玉はゼロになる)。GAMEOVER時はそのエリアのボスが主人公たちを罵る専用のメッセージが表示される。
- パスワードとセーブ
- FC版は記憶媒体が無かったためセーブをすることができなかった。そのため、街の長老から教えてもらうパスワードをメモし、電源再投入時に同じパスワードを入力することで前のプレイ状態を再現するシステムだった。SFC版「旧約・女神転生」は長老の元でセーブが可能になり、携帯電話版はどこでもセーブが可能になっている。
- マッピング
- 3D迷路は迷いやすいため、FC版の説明書では方眼紙に独力でマッピングすることが推奨されていた。弓子が初期に覚えるマッパーの魔法で周囲縦5*横3ブロックのマップを表示させることができる[3](ただし、部分的にダークゾーンという表示不可能なエリアもある)。この魔法によるマップ表示は向いている方向が上になり、またマップの外壁の先に偽のマップが描画されることもあるため、当時は戸惑う人も多かった。
- 「旧約・女神転生」および携帯電話版は、歩いた場所が自動的にマップに記載されるオートマッピング機能が追加されている。
- 魔法
- パートナーの弓子や悪魔はMPを消費して魔法を使うことができる。本作の魔法は「女神転生II」以降のものと比べると名前が大きく違っているが、魔法体系などは後のシリーズの基盤が見て取れる。
攻撃魔法
- サイ系
- 念動力で敵を攻撃する魔法系統。
- ボット系
- 炎で敵を攻撃する魔法系統。
- ブリズ系
- 冷気で敵を攻撃する魔法系統。敵を「FREEZE」状態にして、身動きを取れなくする効果もある。
- カンデ系
- 電撃で敵を攻撃する魔法系統。敵を「SHOCK」状態にして、身動きを取れなくする効果もある(FC版はSHOCK状態無し)。
- ハマ系
- 聖なる破魔の力で敵を攻撃する魔法系統。魔王に効果的であり、携帯アプリ版では絶大と言うべき威力を発揮する。
補助系魔法
- ドルミン
- 幻影を作り出して敵を「CLOSE」状態にする。
- プリンパ
- 敵を混乱状態「CLOSE」にする。
- ノップ
- 敵を金縛り状態「CLOSE」にする。
- マリンカリン
- 敵を魅了状態「CLOSE」にする。
- グッスリト
- 敵を眠らせ「SLEEP」にする。
- ハイパー
- 仲間の精神力を高めることで、その戦闘中に限り攻撃力を上昇させる。
- テトラジャ
- エナジードレイン(「ニヤリ」と笑ってこちらのレベルを下げる)を防ぐ。
- エトナ
- 相手の魔法を封じ込める。
- キュマ
- 相手からMPを吸収する(敵のみ使用可能)。
治癒魔法
- メディ
- 仲間一人のHPを回復する。
- メディカ
- 仲間全員のHPをある程度回復する。
- メディカル
- HPを最大限回復する。
- パッチ
- 催眠攻撃を受け「CLOSE」「SLEEP」状態になった仲間を目覚めさせる。
- クリンク
- DEAD以外の状態異常を回復させる。
- リカーム
- DEAD状態の仲間をHP1で復活させるが、失敗することもある。
特殊魔法
- サバト
- コンピュータを使わずに仲魔をストックから召喚できる。
- スワードナ
- パスワードを見ることができる(SFC版・携帯電話版では削除)。
- スタルト
- スタート地点のミコンの街に戻る。
- マッパー
- 周辺の地図を見ることができるようになる。とある場所で使うと…。
ストーリー
1980年代後半。天才的なプログラミング技術を持つ高校生・中島朱実は、ひそかに「悪魔召喚プログラム」制作に没頭していた。自らプログラムを組みながらも、悪魔を召喚する目的が見つからない中島は稼動実験を躊躇していたのだが、いわれのない逆恨みで自分に危害を加えた生徒達に復讐するためプログラムを稼動、人間界に悪魔(デジタル・デビル)を召喚してしまう。しかし、それによって実体化した魔王ロキやセトは、中島の命令を無視して周囲の人間達を襲うようになってしまった。召喚者である中島自身にも危機が迫った時、彼を救ったのが転校生の白鷺弓子だった。彼女は日本創造の女神・イザナミ神の転生した姿だった。そして中島はその夫、イザナギ神の転生した姿であるという。前世からの深い因縁と絆によって結ばれていた二人は、熾烈な闘いの末に悪魔たちを撃退した。
一方、ロキやセトが倒されたことにより力の均衡が崩れた魔界では、大魔王ルシファーが人間界征服を目論み、その足掛かりとして飛鳥にあるイザナミ神の墳墓・白鷺塚の真上に大魔宮を建造し始めた。そして、一度は中島たちによって撃退されたロキとセトを復活させた上、イザナミ神をその玄室ごと魔宮に幽閉してしまった。
事態を知った中島と弓子は、囚われてしまったイザナミ神を救うため、そして復活してしまったロキとセト、大魔王ルシファー自身を倒すため、飛鳥の大魔宮に足を踏み入れる。
舞台
- 大魔宮デビルポリス
大魔王ルシファーが飛鳥・白鷺塚の真上に建造した広大な迷宮。大きく6つのエリアに分かれている。
- ダイダロスの塔
- 魔王ミノタウロスが支配している8階建ての塔。最上階にあるミコンの街に大魔宮の入口がある。
- 辺境の店
- 武器、防具が購入できる。
- 回復の泉
- パーティーのHP,MPが回復できる(SFC版では状態異常の治療も可能)。
- 邪教の館
- 悪魔合体、状態異常の治療ができる(SFC版では合体のみ)。死んだ仲魔を蘇生させることもできるが、まれに失敗してロストすることがあり、その際には「○○(仲魔の名前)はきえた」と表示される。
- 街の長老
- パスワードを聞ける(SFC版ではセーブ)。
- 天空の街ビエン
- 魔王メデューサによって、住民を含めた街の全てが石にされてしまった街。
- このエリアを解放することによって、ヴァルハラ・マズルカ・アンフィニの3エリアに直接移動できるようになる[注釈 3]。
- ヴァルハラの回廊
- 魔王ロキが支配しているエリア。ダイダロスの塔とマズルカの回廊を結ぶ2階建ての回廊。
- ラグの店
- マッカには興味のない店主が経営している。アメジストと交換で色々なものを手に入れることができる。ちなみに宝石と交換で色々なアイテムを手に入れられる店は後のシリーズにも様々な形で登場する。
- マズルカの回廊
- 魔王ヘカーテが待ち受けているエリア。西の斜塔と東の回廊に分かれている。
- 炎の腐海(ほのおのふかい)
- エリア全体が地獄の炎で包まれており、歩くだけでダメージを受ける最大の難所。魔王セトが支配している。
- アンフィニ宮殿
- 大魔王ルシファーが待ちうけている広大な宮殿。青の大広間と赤の塔に分かれている。
メインキャラクター
- ナカジマ / 中島 朱実(なかじま あけみ/デフォルト名/変更可)
- 本作の主人公。十聖高校の3年生。プログラマーとしての天賦の才に恵まれた美少年。日本創造神・イザナギ神の転生した姿でもある。
- 私怨と好奇心から、自ら組み上げた「悪魔召喚プログラム」を稼動、人間界に悪魔を召喚してしまった。
- ハンドヘルドコンピュータを介して悪魔を仲間に引き込み、召喚・使役する能力を持っているが、魔法を使う事ができない。
- ユミコ / 白鷺 弓子(しらさぎ ゆみこ/デフォルト名/変更可)
- 札幌から十聖高校に転入してきた少女。イザナギ神の妻・イザナミ神の転生した姿でもある。
- 盾が装備できないなど装備品は中島のものに比べて貧弱だが、さまざまな魔法(回復、補助系魔法が中心)を使用できる。
- イザナミ
- 日本創造の女神。イザナギ神とは兄妹にして夫婦。自身と夫の転生である弓子と中島に助力し、悪魔達と戦うための力を与えた。
- 人間界征服の障害になると踏んだ大魔王ルシファーによって、白鷺塚の玄室ごと大魔宮に幽閉されてしまった。
- ロキ
- 中島朱実によって人間界に召喚された最初のデジタル・デビル。奸智と美貌で知られた北欧神話の神。
- 一度は倒されたが、ルシファーの手により復活。ヴァルハラの回廊を支配している。
- セト
- ロキの次に出現したデジタル・デビル。エジプト神話最強の邪神でアピペなどの眷属を持つ。
- 中島と弓子によって辛くも撃退されたが、ルシファーの力で復活し、炎の腐海を支配している。
- ルシファー
- かつて天界で反乱を起こし、魔界に落とされた堕天使。人間界征服の足がかりとして、飛鳥の地に大魔宮を築きイザナミ神を幽閉した。
サブキャラクター
- ミノタウロス
- ダイダロスの塔を支配する魔王。倒すと重要なアイテム「しず玉」を入手できる。
- メデューサ
- 天空の街ビエンを石に変え支配する魔王。分身である「メデューサの影」を作り出す能力を持つ。
- 自分の支配エリアに「メデューサ・カンパニー」と名付け、FC版では石化攻撃が「コンクリートをまく」となっている。
- ヘカーテ
- マズルカの回廊を支配する魔王。「ラトスの像」がないと姿を現さないので直接攻撃が通じない。
- ガル
- 天空の街ビエンの副門番。失くした自分の盾を持ってくると、こっそりと門を開けてくれる。
- ドル
- 天空の街ビエンの正門番。ガルより気難しくビエンを救わないと相手にしてくれない。
- ビエンの長老
- 天空の街ビエンの長老。魔王メデューサを倒した後に会うと所持金と同額のマッカをくれる。
- リック
- ヴァルハラの回廊の地下牢に閉じ込められている。中島の「強さ」が一定値以上あると助ける事ができ、今仲魔にしている悪魔よりランクの高い仲魔に変身する。彼が持っていた腕輪はある重要なアイテムを取るために必要。
- ガイア
- マズルカの回廊にいる男。銀のレリーフを売りつけてくるが、まず所持金の2/3を対価として提示し、承諾すると所持金全額に釣りあげてくる。
- ルース
- 炎の回廊にいる、小瓶に閉じ込められた悪魔。「怪しい場所」を感知する力がある。
- 携帯電話(フィーチャーフォン)版
『女神転生』はアトラスモバイルコンテンツとして2004年2月26日からNTTの携帯電話用のiアプリとしても配信が開始され、その後、ボーダフォン(現ソフトバンクのS!アプリ)やauのEZアプリ(BREW)にも移植されている。基本的にはファミコン版の要素を生かした「完全移植版」とのことだが、携帯電話版は主に以下の点がファミコン版と異なっている。
- テキストに漢字が加わり、漢字かな混じり文に。
- どこでもセーブ、オートマッピング機能、デビルアナライズ機能などを追加し、インターフェースも改良。
- 色数や音色が増えたことでグラフィック、BGMをFC版をベースにしつつも改良。
- 戦闘中に「GEM」コマンドで宝玉が使用可能に。
- イベント達成後に追加ダンジョン「シュオル聖塔」が出現、原作小説に登場したとある人物が仲魔にできるようになった。
- Nintendo Switch(ナムコットコレクション)版
基本的にオリジナル版そのままだが、『ナムコットコレクション』自体の機能として、ゲーム中いつでも「セーブ」(ステートセーブ)が可能(最大で4ヶ所)。
増子司が作曲・編曲し、Project SATANが演奏した[9] 本作のBGMはロックを基調としている。当時の家庭用ハードで発売のRPGタイトル群ではクラシック調のBGMが最も多く使われていたが、その中で本作は珍しい存在であった[3]。
以下の曲名は本作サウンドトラック(後述)に「召喚盤」(原曲ベースの収録、詳細は後述)の曲名として記載された表記に倣ったもの。
さらに見る 曲名, 使用場面 ...
曲名 | 使用場面 | 備考 |
Step Up | ステータス画面 | |
MICOM | ミコンの街 | サントラ32曲目。3曲目の「MICOM(D.B.)」は『II』でのもの。 |
DAEDALUS | ダイダロスの塔 | サントラ33曲目。5曲目の「DAEDALUS(D.B.)」は『II』でのもの。 |
Battlefield | 通常戦闘 | サントラ34曲目。6曲目の「Battlefield(D.B.)」は『II』でのもの。 |
VIEN | ビエンの街 | |
窓明り | 辺境の店 | サントラ36曲目。4曲目の「窓明り(D.B.)」は『II』でのもの。 |
Spirit Of Fountain | 回復の泉 | |
VALHALLA | ヴァルハラの回廊 | |
Power Attack | 対ボス戦闘 | |
MARSLUKA | マズルカの回廊 | |
祈り | 邪教の館 | |
Hellfire | 炎の腐海 | |
IZANAMI | イザナミの玄室 | |
三つの珠 | イザナミ救出 | |
ANFINI | アンフィニ宮殿 | |
Last Battle | 最終ボス | |
IZANAMI II | エピローグ | |
Recollections | クロージングクレジット | |
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サウンドトラック
1991年12月16日、次作である『デジタル・デビル物語 女神転生II』のBGMとカップリング収録したサウンドトラック『女神転生I・II 召喚盤・合体盤』が、ビクター音楽産業より発売された(品番VICL-40029・30)。
「召喚盤」は前述のとおりゲーム本編で流れた原曲=オリジナルをベースとして収録したもの。8台のファミコン実機を同時接続して一音源ずつレコーディングする手法が採用されており、厳密にはゲーム曲そのものとは異なるが、実機で鳴る曲よりも音色が豪華になっている。「合体盤」は米光亮が編曲を担当したアレンジ曲集[9]で、曲名が「原曲名 〜 新規和名」(例:「MICOM 〜 出発」、「Battlefield 〜 戦場」など)のような文体になっている点で異なる。今日では合体盤の曲名で原曲(召喚盤)を言い表している誤用・混同も見られる。[要出典]
ライナーノーツには、開発者である金子一魔(現・金子一馬)やゲームライター・成沢大輔らの対談やゲーム業界人のメッセージ、『真・女神転生』のコミカライズ版を描いた御祗島千明による漫画なども掲載された。
その他
ゲーム雑誌『Beep』1987年11月号付録のソノシートにて、「Hellfire」「Bloody Sabbath」「Recollection(回想)」3曲のアレンジが収録された。このうち「Hellfire」は、ナムコ提供の深夜ラジオ番組『ラジオはアメリカン』にて、本作CMのBGMにも使われた。
- ゲーム誌『ファミコン通信』の「クロスレビュー」では、8・8・8・7の合計31点(満40点)でシルバー殿堂入りを獲得[13][10]、レビュアーは「悪魔を仲間に引き入れ、さらにはその悪魔同士を合成させてより強い悪魔を仲間にするという発想は、はっきりいって新しい」などと革新性に対して肯定的に評価している[13]。
- ゲーム誌『ファミリーコンピュータMagazine』の読者投票による「ゲーム通信簿」での評価は以下の通りとなっており、24.40点(満30点)となっている[1]。また、同雑誌1991年5月10日号特別付録の「ファミコンロムカセット オールカタログ」では、「悪魔合成が画期的なRPG」と革新性を評価し、「3Dダンジョンというのは迷いやすいものだが、このゲームではマッパーという魔法を使うことによって、ウィンドウに回りの様子が2Dマップで表示されるという便利な機能が付いている」、「登場するモンスターの多様さは他のRPGに類を見ないだろう」とシステム面やキャラクターに関しても肯定的に評価している[1]。
さらに見る 項目, 総合 ...
項目 |
キャラクタ | 音楽 | 操作性 | 熱中度 | お買得度 | オリジナリティ |
総合 |
得点 |
4.30 | 4.04 | 3.88 | 4.27 | 4.00 | 3.91 |
24.40 |
閉じる
- ゲーム誌『ユーゲー』においてライターの榎本正幸は、本作の悪魔合体システムに関して「敵として出現した悪魔を『交渉により、味方に引き込むことが可能』というシステムは、『敵=悪=殺す』で成立していた『女神転生』前の勧善懲悪的世界観を完全に破壊した」と、ゲームシステムや世界観設定に関して肯定的に評価している[11]。
- ゲーム誌『CONTINUE』においてライターの天野譲二は、「当時のファミコンRPGの中では、ダークで異色づくしだった」と世界観に関して肯定的に評価、「決められたスパースいっぱいに描かれている悪魔たちは妙にキュートで、続編の悪魔たちよりも印象深い」とキャラクター造形に関しても肯定的に評価している[12]。
他シリーズとの関連性
- GBA版『真・女神転生』にて、主人公が飼っているハスキー犬のパスカルは「ナカジマ」という人物から渡された事がビジョナリーアイテム(ゲーム内のアイテム)で判明する。
- 「女神転生シリーズ」の派生作品『ペルソナ3』における「隠者(の)コミュ」において、主人公(プレイヤー)は「N島」、とある相手は「Y子」というハンドルネームを名乗る[注釈 5]。
クリア後
クリア後、数分待つと、「しかし…」と表示される。この状態で電源ボタンを切らずにリセットボタンを押してゲームを始めると、敵悪魔が強化されたり、店やアイテムの場所が変更されている状態になっている。
テレビCM
『さんまの名探偵』(1987年)から始まった吉本興業の芸人を起用したナムコのシリーズCM6本のうちの1本[14]。ナムコのコールセンター係員である西川のりおが『デジタル・デビル物語 女神転生』の(ゲーム中のヒント等の質問)電話に怯え、同僚の島田紳助がそれをなだめるコント形式の内容。同じくナムコから2ヶ月前に発売されていた『ドラゴンスレイヤーIV』(1987年)のCMが、ゲーム自体の難易度が高いためにヒント等を求め次々にかかってくる質問電話に答え、全員がパニック状態に陥るという内容だったことを受けての続編である。最後は一斉に電話が鳴って、紳助らが逃げ出すというオチになっている。当時の吉本興業の人気芸人数人を起用(明石家さんまは『さんまの名探偵』の開発、発売の経緯から出演を拒否)したため、出演費が高騰し「抱き合わせ」として本作と『ドラゴンスレイヤーIV』等のCMを企画、撮影、放送に至った経緯があった。
注釈
当時のファミコン版パッケージにおける著作権表記は「©1987 西谷 史/(株)徳間書店/ムービック/シップス(ここまでOVAと同一の表記)/NAMCO.LTD.」となっている。ただし実際のゲームタイトル画面では「© 1987 NAMCO LTD. ALL RIGHTS RESERVED」表記となっている。
後述するNintendo Switch版(「ナムコットコレクション」版)の本作サイトにおける紹介ページでは、著作権表記が「©1987 ATLUS/TOKUMA SHOTEN/MOVIC/BNEI」となっている、ただし実際のゲームタイトル画面では原典に倣い「©1987 BNEI」だけの表記。
「旧約」では直接アンフィニに移動し、ルシファーを倒すために使用される重要アイテムの入手を省いたままルシファー戦闘を行ってもゲームクリアが不可能ではない。
「ナムコットコレクション」全体の移植はエムツーとB.B.スタジオが共同で担当しているが、どちらの会社が本作の移植を担当したかは現時点で未発表。
『ペルソナ3』には携帯ゲーム機・PSP版で後年リリースされた+α版『~ポータブル』が存在するが、原典では主人公が男性のみだったのに対し『ポータブル』では女性主人公も選択出来る(スタート時にのみ選択出来、以降は変更不可)。男性主人公でプレイしないと、「Y子」は登場しない。
出典
M.B.MOOK『懐かしファミコンパーフェクトガイド』78ページ
榎本正幸「ユーゲーが贈るファミコン名作ソフト 100選」『ユーゲー 2003 Vol.07』第7巻第10号、キルタイムコミュニケーション、2003年6月1日、29頁、雑誌17630-2。
放送回数が『さんまの名探偵』、『ドラゴンスレイヤーⅣ』、本作より少なく知名度が低いが、『ファミリージョッキー』、『ファミリーボクシング』、『ファミリーマージャン』のCMも制作、放送されている。本作での島田紳助の鼻に絆創膏が貼ってあるのは、CM内容が『ファミリーボクシング』の続編であることからの名残り。
- 『女神転生I・II 召喚盤・合体盤』同梱ライナーノーツ