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アマトリチャーナ(イタリア語: amatriciana)は、イタリア料理に使われるパスタソース、あるいはそれを用いたパスタ料理の一種。グアンチャーレ(豚頬肉の塩漬け)、ペコリーノ・ロマーノ(羊乳のチーズ)、トマトを用いる。ローマ方言ではマトリチャーナ(matriciana)と呼ばれる。
ローマの北東約100 kmに位置する山間の町アマトリーチェ(ラツィオ州リエーティ県)が名前の由来である[1][2]。ローマ料理の代表的なソースであり[2]、イタリアの農業省により、ラツィオ州の伝統食品に認定されている。
アマトリチャーナの原型は、グリーチャ(gricia、あるいは griscia)と呼ばれるパスタ料理である。グリーチャは、一般にトマトを使わないアマトリチャーナと見なされている。ただし、グリーチャとアマトリチャーナとの間には、かつても現在も材料に若干の相違がある[3][4]。
gricia という言葉は、一説に gricio から来ているという[5]。gricioは、19世紀のローマでパンや食料品を売る人々を指して呼んだ言葉[5]で、スイスのグラウビュンデン州(伊: Grigioni)出身者が多かったためにその名があるという[5]。また一説に、アマトリーチェにほど近い Grisciano という集落(アックーモリの分離集落)に由来するともいう[6]。
トマトソースが発明されたのは18世紀後半のことで、パスタにトマトソースが用いられたことを示す最古の文献は、1790年にローマの料理人 Francesco Leonardi によって書かれた料理手引書 L'Apicio Moderno である[7]。したがって、グリーチャにトマトソースが加わった「アマトリチャーナ」が登場するのはそれ以降と言うことになる。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、「アマトリチャーナ」はローマで大人気を博するようになった。ローマとアマトリーチェには数百年に及ぶ密接な交流の歴史がある[8][9]。宿屋や食堂にはアマトリーチェ出身者が多く[6]、Matriciano という言葉が「食事つきの宿屋」を意味するほどであった[10]。「アマトリチャーナ」という料理法がどこで生まれたにせよ、ローマの人々に受容され、まもなく「ローマ料理の定番」とみなされるに至った。ローマ方言では特徴的な語頭音消失のために「マトリチャーナ」(matriciana)と呼ぶ[11]。
「アマトリチャーナ」はアマトリーチェが起源とされるが、ローマやラツィオ州一帯に広がり、それぞれの地域で「伝統料理」として定着した。このため、アマトリチャーナのレシピには多くのバリエーションがある。
基本的にはグアンチャーレが使われるが、パンチェッタが利用されることもある[2]。
トマトは、Gosetti による「アマトリチャーナ」のレシピには使われていない[1]。トマトの入っていないアマトリチャーナは、アマトリチャーナ・ビアンカ(amatriciana bianca)、アマトリチャーナ・イン・ビアンコ(amatriciana in bianco)、あるいはグリーチャ(gricia)と呼ばれる。これに対して、トマトの入っているものをアマトリチャーナ・ロッサ(amatriciana rossa)と呼ぶ。
タマネギは、アマトリーチェにおけるレシピでは使われていないが[12]、ローマ料理のレシピでは使われている[13][14]。古い時代に記されたレシピではサラダ油は加えない(グアンチャーレに含まれる脂を利用する)が[1]、通常はオリーブ・オイルが使われ、ラードが使われることもある[13][12]。
オリーブオイルに揚げたニンニクを含ませることもある。アマトリーチェでのレシピにはペコリーノ・ロマーノ(シビッリーニ山地やモンティ・デッラ・ラガが産地である)が加えられる[13][14]。黒コショウや、ペペロンチーノ(トウガラシ)を加えるレシピもある。
発祥地のアマトリーチェでは、毎年8月の土日に、アマトリチャーナを振る舞うフェスティバルを開催している。アマトリーチェを襲った地震の影響を受けたが、このフェスティバルは2021年現在再開されている。[15]
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