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『ある閉ざされた雪の山荘で』(あるとざされたゆきのさんそうで)は、東野圭吾の長編推理小説。
ある閉ざされた雪の山荘で | ||
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著者 | 東野圭吾 | |
発行日 | 1992年3月 | |
発行元 | 講談社ノベルス | |
ジャンル | ミステリ、推理小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
形態 | ノベルズ | |
ページ数 | 221 | |
コード |
ISBN 4-06-181607-1 ISBN 4-06-185909-9(文庫本) | |
ウィキポータル 文学 | ||
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1992年3月5日に講談社ノベルスとして単行本が発行され、1996年1月15日に講談社文庫から文庫本が発行された。
『閉ざされた雪の山荘』というタイトルだが、実際の作中のシチュエーションは雪など降っておらず閉じ込められてもいない。しかし、劇団の舞台練習という形をとることで、仮想の「吹雪の山荘」というクローズドサークルが形成される…という異色の設定が使われたことで話題となった。
主人公を含めた7名の若者たちはオーディションに合格した劇団員であり、演出家の厳命により外部との連絡を行えない状況下で、「吹雪の山荘」にいると想定して演技を続けることを強いられる。劇団員たちは演出家の機嫌を損ねて、抜擢された役を降ろされることを恐れており、外部と連絡を取ったり帰ったりすることができない心理状態に追い込まれる。
そんな中、1人ずつメンバー達が消息不明になっていき、彼らが殺害された状況を説明するメッセージが残される。最初こそ、それが『舞台練習のための追加設定』だと思っていたが、しだいに「本当に殺人事件が起こっているのではないか?」と疑うようになっていく。
ここでは、犯人からの演出設定のメモの内容を、「緑色の文字」で記載する。
俳優を目指している青年・久我和幸は、劇団「水許」で女優をしている元村由梨江に一目惚れしたことから、彼女になんとか近づこうと考えて、実力派の劇団である「水許」の次回作の出演オーディションを受け、300人の応募者の中からただ一人、劇団員以外からの合格を勝ち取る。
オーディションから一ヶ月後、演出家である東郷陣平から手紙が届く。そこには、乗鞍高原のペンションにて出演者の打ち合わせのための合宿があること、さらには「誰かに口外したり欠席をした者は、オーディションの合格を取り消す」と書かれていた。
それから2日後、早春のペンション「四季」に、オーディションに合格した劇団員の男女7人が集められた。しかし、山荘の管理人である小田伸一によると、演出家の東郷が泊まるとは聞いておらず、宿泊するのは団員の7人だけで、管理人も説明を終えたら帰宅するという。
そんな中、東郷からの手紙が速達で届き、「記録的な豪雪に襲われ、電話も通じない孤立した山荘での殺人劇」という設定でシナリオを自由に考えながら舞台稽古を行うよう指示される。さらに手紙の追伸には、電話を使用したり外部の人間と接触を持った場合には、オーディション合格を取り消すという警告がされていた。
7人のメンバー達は不審に思いながらも、与えられた設定で舞台稽古をすることになる。
翌朝になり、深夜に一人で遊戯室のピアノを弾いていた笠原温子が山荘から失踪していることが判明する。遊戯室には演出設定の書かれた紙が置かれており、「笠原温子の死体はピアノの傍にあり、ヘッドホンのコードで首を絞殺された」という説明がされていた。
残された6人は、メンバーの中に筋書きを知っている犯人役がいて、笠原温子に『殺され役』になる事を指示して手紙を置いたのではないかと推理し、犯人探しを始める。だが、「地面は雪に覆われ、足跡はなし」という演出設定が新たに見つかり、施錠なども完璧なため外部犯も否定される。
口の軽い女優の中西貴子に劇団員の内外の事情を聞いていくうちに、先月のオーディションで不合格となり、ショックで帰郷した飛騨高山でスキー事故に遭い半身不随となった麻倉雅美という劇団員がいることを知る。事故ではなく自殺説も囁かれるなか、メンバー達の口は重く、麻倉のことを避けようとする素振りを見せる。
自身のアリバイ確保と「犯人からの襲撃」を防ぐため、久我は本多雄一の部屋で相部屋することになる。だが、零時前にスタンドのライトを点けようとしても点灯せず、しばらくすると点灯するという異常があった。
翌朝、元村由梨江が失踪し、彼女の部屋には「由梨江の死体は、前頭部に鈍器による打撃痕があり、首を絞められた痕が残っている」との説明がされていた。その後、温子と由梨江の荷物に「生理用品」が残されていたことや、山荘の裏手から「血のついた花瓶」が発見されるなど、不審な点が見つかっていく。
さらに、由梨江の部屋から「この紙を鈍器とする」という演出設定の紙が見つかり、井戸の蓋からは温子のセーターのほつれた糸が見つかったことから、メンバー達は「本当にこれは芝居なのか?」と疑惑を抱き始めるようになり、実際に殺人事件が起こっている可能性を考えるようになる。
「犯人は、麻倉雅美の恨みを晴らそうとする人物ではないか?」という推理がなされ、田所義雄は唯一の部外者である久我を疑い、残された5人は言い争いに発展するものの、決定的な結論は出ず膠着状態となる。
翌朝、三度「殺され役」が失踪するかと思われたが、無事に全員が起床する。しかし、朝食後に猛烈な眠気を覚えたメンバー達は、そのまま昏倒してしまう。だが、犯人と思われる者だけが立ち上がり、3人目の「殺され役」の雨宮恭介の首を絞めて殺害し、山荘から死体を運び出す。
メンバー達が目を覚ました時、雨宮の姿はなく、「死体の状況、雨宮京介は首を絞められて殺されている」と書かれた紙だけが残されていた。麻倉雅美の見舞いに行き、彼女の恨みを買っていると思われる三人全員が失踪し、犯人によるすべての犯行が終わったものと思われた。
しかし、久我は犯人に向かって「もうこれで終わりなんですね?」と告げる。この奇妙な舞台練習を終わらせる探偵役を演じるため、久我はすべての真相を語りだすのであった。
本作は、下記に挙げられるような特殊な設定がなされており、それが絶妙に絡み合うことで、ミステリ作品としてもうまく成立している。
2024年1月12日に公開された[3]。監督・脚本は飯塚健、主演は重岡大毅[2]。
2024年1月22日から28日まで大手町三井ホールで公演された[9]。主演は室龍太[9]。脚本は米山和仁[9]。演出は野坂実[9]。
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