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災害派遣医療チーム(さいがいはけんいりょうチーム)とは、医師、看護師、医師・看護師以外の医療職及び事務職員で構成され、大規模災害や多数の傷病者が発生した事故などの現場で、おおむね48時間以内に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームである[1]。Disaster Medical Assistance Team の頭文字から「DMAT」(ディーマット)と呼ばれる[2]。
日本DMATは2005年(平成17年)4月に、厚生労働省によって発足した[注釈 1]。主に大規模災害時に全国から派遣され、広域医療搬送・SCU(臨時医療拠点、Staging Care Unit)・病院支援・域内搬送・現場活動などを行う。
消防と連携して活動する。被災地県の要請に基づき各都道府県よりDMAT指定医療機関へDMAT出動要請が出され、要請を受けた指定医療機関ではDMATを編成待機させる。消防にDMAT連携隊が組織されている地域で、連携隊を利用して出動する場合、消防は医療機関へ連携隊を派遣し、DMAT隊員は連携隊の専用車両で発災現場か負傷者受け入れの病院に出動する(最近は病院所有の救急車やドクターカー、ドクターヘリで出動する場合もある)。東京DMATの場合は東京消防庁のDMAT連携隊の車両で出動する事を基本として、場合によっては東京都の配備したDMATカー等で出動している。
一方、DMAT連携隊が組織されていない地域、もしくは連携隊を利用しない場合は各病院が保有する救急車や患者搬送車、公用車などで被災地へ出動し、災害医療を行う。参集場所は、被災都道府県の基幹災害拠点病院である。なお、DMATは大規模災害時の対応を目的創設されたものであり、東京DMATやドクターカーのように一般の災害にも日常的に出動している地域は少ない。東京都でもドクターカー運用を行っている医療機関では一般の救急事案はドクターカー、大規模災害時は東京DMATとして活動しているケースもある。
被災地の都道府県から他の都道府県、厚生労働省、文部科学省、国立病院機構などに出動を要請する。東京DMATの場合は緊急消防援助隊東京都隊が災害現場において人命救助に有効であるとし東京消防庁が必要と判断した場合に、東京都福祉保健局が東京DMATを要請する。活動にあたっては国立病院機構災害医療センター内に置かれる日本DMAT事務局の指導の下、都道府県災害対策本部に置かれる都道府県DMAT調整本部の調整・指示を受け、各派遣先ではDMAT活動拠点本部(被災地の災害拠点病院に設置される)の指示を受ける[7]。
東南海・南海地震に際し、平成19年3月に中央防災会議では、「東南海・南海地震応急対策活動要領」に基づき被災各県の広域搬送拠点を定めている[8]。また平成27年3月には、「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」に基づき、南海トラフ巨大地震に対する拠点も定められた[9]。
特記がないものは南海トラフ巨大地震に対する拠点。
など
東日本大震災では、花巻空港に「SCU(臨時医療拠点、Staging Care Unit)」を置き、4日間で136人を受け入れ、16人を広域搬送し、120人が地域医療機関に運ばれた。発足当初はトリアージによって選択された重症者だけを受け入れる予定であったが、広く受け入れることで、被災地の医療機関の負担を軽減できたという[19]。DMATは被災地での治療・被災地外への搬送に対応し、その後の避難所の支援のために日本医師会災害医療チーム (JMAT) が創設された。東日本大震災では感染症対策、食習慣指導、在宅患者などに対応し、4ヶ月で6000人が被災地に入った[19]。
東日本大震災では津波、原発事故、慢性疾患への対応が必要とされるなど想定外の事態もみられており、DMATがさらに幅広い活動ができるよう、国は見直しを始めている[20]。
また、DMAT隊員は倒壊する恐れがある建物等の危険な場所での救命活動を行っている。一例として、福知山線脱線事故や東日本大震災に伴う町田市のスロープ崩落事故では脱線衝突した車内や倒壊したスロープ内に進入して負傷者に接触し輸液や輸血などの処置を行っており、今後はDMAT隊員の安全確保や消防等の救助組織との円滑な連携が課題となっている。
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