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CPシステム(シーピーシステム)またはカプコン・CPシステム(カプコン・シーピーシステム)とは、1988年に『ロストワールド』とともに出荷されたカプコン開発のアーケードゲーム用基板である。対戦型格闘ゲームを代表するタイトルの『ストリートファイターII』の世界的な大ヒットでこの基板が使用されていたことからも広く普及した。後に登場する後継機のCPシステムIIと区別するためCPシステムIあるいはCPS-1と呼称されることがある。CPSとは「カプコンシステム」の略称であり、当時カプコンの代表取締役社長の辻本憲三(現 株式会社カプコン代表取締役会長CEO)の命名によるものである[1]。
このシステムのゲームは、多くの種類の海賊版が作成され、とりわけ『ストリートファイターII'』では多く作成された。この海賊版は日本国内でも少数見られたが、海外では正規版よりも多く設置されている店舗もしばしばみられたようである。この問題はCPシステムIIの登場で解消された。
CPシステムは大きく分けて3種類リリースされた。
CPシステム初期の各タイトルは、同時期のゲームと比較してグラフィックもゲーム内容も高水準であった。この点のみでも評価できるが、ゲーム自体は従来のアーケードゲームの延長上にあったといえる。CPシステムの真の功績は、この基板で『ストリートファイターII』が開発されたという点にあるだろう。この頃のアーケードゲームは(例外は多々あるが)基本的に一人プレーであり、対戦相手をコンピュータとして、面クリアーやハイスコアの獲得を目的としていた。対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターII』の登場により、この構図が人 対 コンピュータから人 対 人(対人戦)へと変化する。
特に注記が無ければ販売・開発共にカプコン。
日本版リリース時期 | タイトル | 備考 | |
---|---|---|---|
日本版 | 海外版 | ||
1988年7月 | ロストワールド | Forgotten Worlds | 国内家庭用移植版は海外版のタイトルを流用 |
1988年12月 | 大魔界村 | Ghouls 'n Ghosts | |
1989年3月 | ストライダー飛竜 | Strider | |
1989年4月 | 天地を喰らう | Dynasty Wars | |
1989年6月 | ウィロー | Willow | |
1989年8月 | エリア88 | U.N. Squadron | |
1989年12月 | ファイナルファイト | Final Fight | |
1990年2月 | 1941 | 1941: Counter Attack | 縦画面 |
1990年4月 | 戦場の狼II | Mercs | |
1990年6月 | チキチキボーイズ | Mega Twins | |
1990年7月 | マジックソード | Magic Sword: Heroic Fantasy | |
1990年10月 | U.S.NAVY | Carrier Air Wing | |
1990年12月 | ニモ | Nemo | |
1991年3月 | ストリートファイターII | Street Fighter II: The World Warrior | |
1991年7月 | ワンダー3 | Three Wonders | |
1991年9月 | ザ・キングオブドラゴンズ | The King of Dragons | |
1991年11月 | キャプテンコマンドー | Captain Commando | |
1992年1月 | ナイツ オブ ザ ラウンド | Knights of the Round | |
1992年4月 | ストリートファイターIIダッシュ | Street Fighter II': Champion Edition | |
1992年7月 | バース -オペレーションサンダーストーム- | Varth: Operation Thunderstorm | 縦画面 |
1992年9月 | アドベンチャークイズカプコンワールド2 | Capcom World 2: Adventure Quiz | |
1992年11月 | 天地を喰らうII 赤壁の戦い | Warriors of Fate(米国版など) 三國誌II(アジア版) | Qサウンド版 |
1992年12月 | ストリートファイターIIダッシュターボ | Street Fighter II' Turbo: Hyper Fighting | |
1993年4月 | キャディラックス 恐竜新世紀 | Cadillacs and Dinosaurs | Qサウンド版 |
1993年5月 | パニッシャー | The Punisher | |
1993年7月 | マッスルボマー | Saturday Night Slam Masters | |
1993年12月 | マッスルボマーDUO | Muscle Bomber Duo: Ultimate Team Battle | |
1994年6月 | ぷにっきぃず | Pnickies | コンパイルのライセンス表示あり |
1994年9月 | クイズ&ドラゴンズ | Quiz & Dragons: Capcom Quiz Game | 米国版は1992年リリース |
1995年1月 | クイズ 殿様の野望2 全国版 | Quiz Tonosama no Yabō 2: Zenkoku-ban | |
1995年6月 | PANG!3 怪盗たちの華麗な午後 | Pang 3 | 販売・開発:ミッチェル |
1995年10月 | ロックマン・ザ・パワーバトル | Mega Man: The Power Battle |
その他、カプコンが自社でリリースしたキッズ系メダルゲーム『がんばれ!マリン君』や乗り物筐体『ポコニャン!バルーン』にもCPシステムが使用されている。また1994年に当社とトーゴ、シグマのトリプルネームで発売されたモグラ叩きゲーム『拳聖土竜』(けんせいもぐら)のビデオ部分にCPシステムが用いられている。
CPシステム第1弾として登場した『ロストワールド』は、独特でインパクトのあるローリングスイッチを備えていたが、このローリングスイッチをCPシステムと呼ぶと誤って解釈した人がいたらしい。
当時カプコンで開発の中心にいた岡本吉起(現 株式会社オカキチ代表取締役社長)と西谷亮(現 株式会社アリカ代表取締役社長)の対談によると、CPシステムは世間的にはたくさん売れていたことから凄いハードだと思われていたかもしれないが、作っている自分たちからすれば、当時の他社のハードと比較して「ぶっちゃけ当時で最低ライン」「下の中くらい…かな?」「回転も縮小も無い何年も型落ちしたハード」だったと振り返っている[4][5]。
このような環境下であったものの、開発側はだからこそ工夫してなんとかしてやろう、どう見せたら他の会社に追いつくか?を指標に試行錯誤し、西谷は「無い物をいかに見栄えを良くするかというのがもの凄い勉強になった」とコメントし、岡本も当時現場では「竹槍でB-29を落とす」と比喩していたが、後にヒット作品を多く輩出したことから「バンバン落ちてたよな?」「努力でB-29に届くぞ」と当時を振り返っている[4][6]。
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