自然対数
ネイピア数を底とする対数 / ウィキペディア フリーな encyclopedia
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実解析において実数の自然対数(しぜんたいすう、英: natural logarithm)は、超越数であるネイピア数 e (≈ 2.718281828459) を底とする対数を言う。x の自然対数を ln x や、より一般に loge x あるいは単に(底を省略して)log x などと書く[1]。 通常の函数の記法に則って引数を指示する丸括弧を明示的に付けて、ln(x) や log(x) などのように書いてもよい[注釈 1][2]。
定義により、x の自然対数とは 冪 et が x 自身に一致するような冪指数 t のことに他ならない。例えば、ln(7.5) = 2.0149… となることは、e2.0149… = 7.5 となることを理由とする。特に e の自然対数は ln(e) = 1, (⇔ e1 = e) であり、1 の自然対数は ln(1) = 0 (⇔ e0 = 1) である。[2]
自然対数は、任意の正数 a に対して 逆数函数 y = 1/x の 1 から a までの間のグラフの下にある面積(a < 1 のときは面積にマイナス記号をつけた値)として定義することもできる。この定義の単純さは自然対数を含む多くの公式によく馴染むことから、「自然」の語が冠されているのである。自然対数のこの定義は、負数や任意の非零複素数に対しても拡張することができる(ただし、それは多価函数を導く。複素対数函数の項を参照)。
実変数実数値の函数と見た自然対数函数 log は自然指数函数 exp の逆函数であり、それは二つの恒等式 exp(log(x)) = x (x > 0) と log(exp(x)) = x の成立を意味する。
他の任意の対数がそうであるように、自然対数は
なる意味で乗法を加法へ写す。これにより自然対数函数は正の実数の乗法群 (R+, ×) から実数の加法群 (R, +) への写像 log: R+ → R として 群の準同型になる。
e 以外にも、任意の正数 a ≠ 1 に対して、それを底とする対数を定義することができるが、そのような対数は自然対数の定数倍として得ることができる(例えば二進対数は自然対数の 1/ln 2 倍である)し、通常はそうして自然対数から定義される。対数は未知の量がほかの適当な量の冪と見なされる問題を解く際に有用で、例えば指数函数的減衰問題における減衰定数としての半減期を求めるときなどに利用できる。このように対数は、数学や自然科学の多くの分野において重要であり、また金融経済において複利を含む問題にも利用できる。
リンデマン–ヴァイアシュトラスの定理により、1 でない任意の(正の)代数的数に対してその自然対数は超越数となる。
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