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大陸より面積が小さく、四方を水域に囲まれた陸地 ウィキペディアから
島(しま)とは、一般的には周囲を海や湖で囲まれた陸地のことをいい、内陸部のものを含む[1]。
地理学上は大陸よりも小さい陸地をいう[2]。具体的には、世界で最も小さい大陸のオーストラリア大陸の面積より小さく、四方を海洋・湖などの水域に囲まれた陸地のことである[3]。海洋法に関する国際連合条約では「自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」と定義されている[1]。
現在、世界最小の大陸はオーストラリア大陸、最大の島はグリーンランドである。右図にこれらの陸塊の比較を示す。グリーンランドに次いで世界で2番目に大きい島はニューギニア島で、以下、3位がボルネオ島、4位がマダガスカル島、5位がバフィン島、6位がスマトラ島、7位が本州、…… と続く(島の一覧 (面積順)を参照)。
居住者のいる島を有人島、いない島を無人島という。世界最大の無人島は、カナダのデヴォン島であり、面積はカナダの島の中で第6位である。世界の島の中でも第27位であり、島としては世界第5位の人口を有する台湾島(面積38位)や、同じく12位の九州本島(面積36位)と、それぞれアジア有数の都市を擁する2島をも上回る。
複数の島がまとまって存在する場合、集団になっているものを諸島、塊状のものを群島、列状のものを列島などと呼ぶ場合もある[6]。日本の国土地理院が1990年に刊行した「新版日本国勢地図」では諸島について「二つ以上の島の集団をいう。そのうち列状をなすものを特に列島という。」と定義している[7]。ただし、諸島と群島に関しては概念としては同じで、明確に区分できるわけではない[6]。
諸島・列島・群島とは逆に、周囲に島がない場所に孤立して存在する島を孤島という。ギネス世界記録に認定されている「世界一孤立した有人島」は南大西洋上のトリスタンダクーニャ島である。
日本の琵琶湖の竹生島、宍道湖の嫁ヶ島など、湖の中にある島もある。また、川の中にある島もあり、中州とも呼ばれる。世界最大の川の中の島は、ブラジルのバナナル島である。面積は、世界の島の中で第49位で、同第50位四国の約1.08倍の面積である。同国中部トカンチンス州のアラグアイア川にある島である。
領土がすべて島から成る国を島国と呼ぶ。非独立国を含める場合、世界最大の島国はデンマーク領で本国からの高度な自治が存在するグリーンランドとなる。独立国のみに限る場合、インドネシアが世界最大の島国であり、マダガスカル、パプアニューギニア、日本、…… と続く。国際連合の加盟国193ヶ国中では島国は47ヶ国である(2011年時点 en:Island_country)。
島の定義に関しては海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)第121条の定義が使われることが多い[2]。
- 自然に形成された陸地であること。
- 水に囲まれていること。
- 満潮時(高潮時)に水没しないこと。
この条件から外れると領海を形成するために有効な領土ではなくなる。日本が沖ノ鳥島に消波ブロックなどを設置し、波浪による侵食によって満潮時に水没しないようにしているのはこのためである。
同条約同条2項では「島の領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用されるこの条約の規定に従って決定される。」とされている。一方3項では「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することのできない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない。」としている。すなわち、広義の「島」であっても狭義の「島」と「岩」に条約上の扱いが分かれるので注意が必要である(この場合の「岩」は領土であり領海は持つ)。
以上の国際条約とは別に各国、各地域、各機関で様々な定義が行われている[2]。スコットランドでは島は「人が住み、最低一頭の羊を養える牧場がある」ものという定義がある[2]。日本の海上保安庁は「満潮時に海岸線の延長距離が100m以上の陸地」を島と定義している一方、国土地理院は「航空写真に写る陸地」を島と定義している。また、国土地理院の定義では島未満の地形として、暗礁や洗岩、干出岩、水上岩からなる岩礁がある。国連訓練調査研究所(UNITAR)は1966年に「島」を「海洋に囲まれた人口100万人以下の小島嶼」と定義し統計を公表している[2]。
島は地形によって分類されることもある。国際連合環境計画(UNEP)のダール博士が編集した『島嶼総覧(Island Directory: Basic environmental and geographic information on the significant islands of the world)』は世界環境保全モニタリングセンター(WCMC)からデータを受けた世界の約2.000の海洋有人島のデータを提供しているが、地形の分類例として環礁(Atolls)、低地島(Low islands)、隆起サンゴ礁(Raised coral islands)、火山島(Volcanic islands)などがある[2]。
刺胞動物門花虫綱などの造礁サンゴの骨格が堆積して裾礁(きょしょう)となり、それが隆起して形成された島である[2]。マリアナ諸島や小笠原諸島の島々のように火山島とサンゴ礁が複合した裾礁、メラネシアやポリネシアの島々のような堡礁や環礁など段階によってバリエーションがある[2]。
大陸島(Continental islands)は大陸棚の上にある島であり、海進や沈下などによって大陸と切り離された陸地である[2]。
大陸島は大陸に並んで形成されることが多く、弧状の配置になることも多い[2]。このようなプレート境界(沈み込み帯)に位置する列島を島弧、あるいは弧状列島とも言う。島弧はマントル対流の沈み込みによって地殻が盛り上がって生成する。このような島は弓状に分布することが多く、島弧と呼ぶ。島弧は太平洋プレートの周辺(環太平洋火山帯)に目立つ。以下に北極側から反時計回りに記す。
火山噴火によって形成された島を火山島といい、特に大陸棚ではなく海洋底から直接海面に達している島を洋島という[2]。
海洋に位置する島を成因によって分類すると、大きく3つに分かれる。プレートテクトニクスにより大陸から分離した「小大陸」と見なせる島、陸島、洋島である。
大陸からの分裂で誕生した島の代表例はグリーンランドとマダガスカル島である。
大陸はプリュームによるマントル対流によって、数センチメートル/年程度の速度で移動している。約6億年前の古生代石炭紀に、先行する超大陸が南北に分離した。それぞれ、ゴンドワナ大陸とローラシア大陸と呼ばれる。ゴンドワナ大陸は現在のアフリカ大陸、南アメリカ大陸、インド亜大陸、南極大陸、オーストラリア大陸、アラビア半島、マダガスカル島を含んでいた。1億6000万年前からゴンドワナ大陸自体も数次にわたって分裂を続けた。7000万年 - 9000万年前の中生代白亜紀後期の最後の分裂の際、インド亜大陸と分離したのがマダガスカル島である。そのため動植物の分布がアフリカ大陸とは異なっている。
ローラシア大陸は、現在のユーラシア大陸と北アメリカ大陸、グリーンランドを含んでいた。約5000万年前(新生代第三紀)に、グリーンランドは北アメリカ大陸と分離した。
大陸棚に存在する島を陸島という。海退時や隆起によって大陸と陸続きになりがちで、海進、沈下などの原因により大陸と切り離されることで孤立した陸地である島となる。地質構造や陸上の地形に大陸との類似が見られる。代表例はカリマンタン島、グレートブリテン島、台湾島である。カナダ北部の島々も陸島である。海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる場所では、大陸プレートの周辺部に、海洋プレートの沈み込みによって生じる海溝があり、この海溝に沿うように、大陸側に島が並んで形成される例が多い。その配置が弧状になることが多いため、弧状列島、あるいは島弧と言われる。
陸島のうち大陸や他の大きな島に近いものは砂州によって大陸などと陸続きになることがある。これを陸繋島と呼ぶ。
後述するサンゴ礁のみからなる陸島もある。例えばオーストラリア大陸東岸北部に約2000kmにわたって伸びるグレート・バリア・リーフは大陸棚に位置する700個前後の島で発達した堡礁である。
大陸棚ではなく、海洋底から直接海面に達している島を洋島という。基本的には火山活動によるが、単純な火山性の島と、火山島などの沈下によって形成されたサンゴ礁に分かれる。海洋島ともいう。
洋島のうち、火山島はホットスポット上に多く位置する。ホットスポットとは下部マントル付近から上部マントルに向かって定常的に熱い物質が上昇している場所のことである。例えばハワイ諸島の場合、約7000万年にわたって、同一のホットスポットが多数の島を生成してきた。古い島は侵食を受け、海面下に海山として残っている。アイスランド島もホットスポット上にある。
この他にカリブ海東端の小アンティル諸島に属する島、例えばマルチニーク島などは、カリブプレートと北アメリカプレートの沈み込み帯上に位置する火山島である。
サンゴ礁は、刺胞動物門花虫綱などに属する造礁サンゴの骨格などが積み上がって形成される地形である。サンゴ礁の主成分は石灰岩(炭酸カルシウム)からできている。石灰岩はサンゴ類の骨格(骨片)のほか、共生藻の分泌物の沈着によって生成する。石サンゴは細胞内に共生する褐虫藻の光合成に依存している。このため、太陽光が十分透過する水深40m - 60mよりも浅い海中でなければサンゴ礁は成長しない。水温も最低でも18度前後でなければならない。
サンゴ礁は島の周辺の海岸を取り囲む裾礁(きょしょう)として発生する。代表例は小笠原諸島、奄美群島、沖縄諸島、先島諸島である。裾礁が形成された後に、中央の島が沈降すると、島の海岸線から数km離れた位置にドーナツ型のサンゴ礁からなる陸地が形成される。これを堡礁(ほしょう、バリアリーフ)と呼ぶ。沈降がさらに進むと中央の島は消え、ラグーンと呼ばれる礁湖を取り囲む幅数100m - 1km程度のドーナツ型の陸地だけが残る。これを環礁(かんしょう、アトール)と呼ぶ。サンゴ礁自体が成長することから、波による侵食に強く、孤島であっても波浪による侵食に耐える。
サンゴ礁に基づく島にはさまざまなバリエーションがある。サイパン島やグアム島を含むマリアナ諸島や小笠原諸島はプレート境界に位置する火山島とサンゴ礁が複合した裾礁の段階にある。南太平洋に位置するメラネシアやポリネシアでは、堡礁や環礁の段階に達している。東部ミクロネシアに位置するマーシャル諸島共和国の国土は30個弱の環礁だけから成る。
宮古島や石垣島などの先島諸島は裾礁形成後に隆起したため、サンゴ礁段丘や隆起サンゴ礁と呼ばれる特異な地形がよく発達している。
サンゴ礁の隆起等を成因とする標高の低い島を低島といい、成因が地質構造と関連し山地を有する島を高島という[8]。
島には、特殊な生物相が見られることがよくある。固有種が多く、また、飛べない鳥の出現なども広く見られることである。島の生物の生態についての研究は、島嶼生物学が扱う。
洋島では、漂着する生物が定着する事によって生物相ができることから、両生類や哺乳類を欠くといったような、大陸に比べて偏った生物相になりやすい。ガラパゴス諸島やハワイ諸島、小笠原諸島などが有名である。
陸島でも、大陸では絶滅した群が生き残っているなど、特殊な生物が見られる例が非常に多い。
しかし逆に何らかの要因で外来種が入ってくると島の固有種に壊滅的なダメージを与えたり、固有種と外来種の雑種が生まれたりするなどの影響が出ることが多い。
小島嶼国の完全独立国には、サモア、トンガ、フィジーなどがある[2]。
パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦については自由連合盟約(Compact of Free Association)をアメリカ合衆国との間で結んでおり、国防と一部外交権を委ねている[2]。
プエルトリコと北マリアナ諸島は、いずれもアメリカ合衆国のコモンウェルスで独自の憲法と内政自治権をもつが、独立国でもアメリカ合衆国の州でもなく、アメリカ合衆国の特別自治領(自治連邦区)となっている[2]。
アメリカ領サモア(米国領サモア、アメリカンサモア)やグアムはアメリカ合衆国の準州で、連邦税の支払義務が免除され、アメリカ合衆国議会に議決権のない代表を送ることができるが、大統領を選ぶ投票権は認められていない[2]。
また、各国の海外領土として、イギリス領ヴァージン諸島(イギリス)、オランダ領アンティル(オランダ)、フランス領ポリネシア(フランス)、マン島(イギリス)、ケイマン諸島(イギリス)、マルチニーク(フランス)などがある[2]。
「島」という漢字は、意符「山」と音符「鳥」からなる形声文字である。異体字として「㠀・嶋・嶌」などがある。和語「しま」は四方を囲われた狭または締の意味。朝鮮語で島を意味する固有語「섬(seom)」の語源である百済語の「斯馬」と同語源だという説もある。
湖沼や河川の中にある陸地は四方を水域に囲まれているため島と呼ばれることがあるが、海洋ではないため地政学における島に当たらない。河川の中にある陸地は中州と呼ばれることもある。
平安時代末期から鎌倉時代初期に記されたと考えられている日本最古の造園書である『作庭紀』(さくていき)は、庭の主たる構成要素として築山、池、島、南庭白砂、鑓水を挙げている。これが転じて、池や築山のある日本庭園のことを島と呼ぶこともある。
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