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大阪市交通局の通勤電車 ウィキペディアから
大阪市交通局30000系電車(おおさかしこうつうきょく30000けいでんしゃ)は、2009年(平成21年)より大阪市交通局が高速電気軌道(大阪市営地下鉄)向けに導入した通勤形電車である。2018年(平成30年)4月の大阪市交通局民営化にともない、民営化以前に製造された車両はすべて大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)に継承された。
大阪市交通局30000系電車 | |
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御堂筋線用30000系(2011年11月) | |
基本情報 | |
運用者 |
大阪市交通局 → 大阪市高速電気軌道 |
製造所 | 川崎重工業[1]・近畿車輛 |
製造年 | 2009年 - |
運用開始 | 2009年3月18日 |
投入先 | 御堂筋線·谷町線·中央線 |
主要諸元 | |
編成 |
10両編成(御堂筋線、5M5T) 6両編成(谷町線·中央線、3M3T) |
軌間 | 1,435 mm(標準軌) |
電気方式 | 直流750V(第三軌条方式) |
最高運転速度 |
70 km/h(御堂筋線·谷町線) 95 km/h(中央線) |
起動加速度 |
3.0 km/h/s(御堂筋線·中央線) 2.5 km/h/s(谷町線·中央線) |
減速度(常用) | 3.5 km/h/s |
減速度(非常) | 4.0 km/h/s |
車両定員 |
130名(先頭車) 140名(中間車) |
自重 |
25.5t(T'・T) 27.0(Te) 33.0t (Tec1・Tec2) 36.0t(Mb1'・Ma2・Mb2) |
全長 |
18,900 mm(先頭車) 18,700 mm(中間車) |
全幅 |
2,890 mm(先頭車) 2,880 mm(中間車) |
全高 |
3,745 mm(先頭車) 3,735 mm(中間車) |
車体 | ステンレス鋼(川重:efACE) |
台車 |
モノリンク式インダイレクトマウント空気ばね台車 DS-300 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
主電動機出力 | 140 kW / 基 |
駆動方式 | WN駆動方式 |
歯車比 | 99/16(6.19) |
制御方式 |
IGBT素子VVVFインバータ制御 (ベクトル制御) |
制御装置 |
32系:三菱電機製 MAP-144-75V196 31系01F~03F:三菱電機製 MAP-144-75V196A 31系04F以降:日立製作所製 VFI-HR1415F |
制動装置 |
回生ブレーキ併用電気指令式電磁直通ブレーキ OEC-4M |
保安装置 | WS-ATC |
正式な形式名称は30000系であるが、御堂筋線仕様車は31系[2]、谷町線・中央線仕様車は32系とも表記される[3]。
本項では、2022年(令和4年)7月に中央線向けとして運行を開始したOsaka Metro30000A系電車についても記述する。
谷町線の老朽化した30系を置き換えるため、2008年から導入された[4]。開発は大阪オリンピックの誘致計画の頃に持ち上がり、2006年に開発許可が降りた。全般的には新20系をベースに、80系などで採用された最新技術を取り入れ、さらに発展させたものとなっている。
谷町線への新型車両の投入は22系の投入以来19年ぶりで、2013年10月までに13編成の導入が完了し[5]、大阪市営地下鉄の営業車両はすべて電機子チョッパ制御・VVVFインバータ制御・回生ブレーキ装備となり、省エネ車両率100%を達成した。
2011年(平成23年)からは10系置き換えのため御堂筋線に導入された[6]。御堂筋線においての新型車の投入は21系の投入以来20年ぶりとなった[6]。
2022年6月に御堂筋線用の最終編成である31622Fが投入され、御堂筋線用30000系は全22編成の導入が完了した。
大阪市営地下鉄の地下鉄車両としては、大阪市交通局時代に導入した最後の新形式車両となった(大阪市交通局全体としては、ニュートラムの200系が最後の新形式である)。Osaka Metro継承後も増備が続けられている。
価格は6両1編成で約8億9千万円(1両あたり約1億4,830万円)である[7]が、その後は入札のたびに価格が下落している。
本項では共通事項について述べ、谷町線・御堂筋線独自の仕様については異なっているため後述する。
車体は軽量ステンレス構体で、レーザー溶接組み立てのビードレス外板となっている。前頭形状は従来の切り妻形から丸みを帯びた形状に改められており、灯具類は前照灯と尾灯が前面上部の左右両脇に配置され、窓下にはラインカラー帯が配置される。
行先表示器にはLED式を本格採用した。谷町線向け第1編成では前面・側面ともに3色LEDを採用したが、その後に増備された谷町線向け第2編成以降の前面の行先表示器に大阪市営地下鉄初となるフルカラーLEDを採用している[8]。なお、側面の行先表示器は全て3色LEDである。車体にはラインカラー帯のほか、号車番号が大きく表記されている[注 1]。
台車はインダイレクトマウント・モノリンク式台車であり、23系23613Fで試験的に用いられたものをベースとしたDS-300形台車[注 2] が採用されている。
冷房装置は20系のもの[注 3]より薄型で冷房能力が強化されたもの[注 4]が1両につき2基搭載され、中央へ少し寄せられている。新20系以前の車両で客室内の天井に生じていた冷房装置下部と非搭載部の段差が解消されるとともに、天井高さが引き上げられてフラットな見付となった。座席下部に取り付けられている暖房装置も80系以前の車両より薄型になり、座席下部機器の移設もあり床面積を拡大している。谷町線向け第1編成では大阪市交通局の車両として初めて台車点検蓋を床材で隠し、フラットな床面にしている。
補助電源装置は第3軌条方式5路線では初めてとなるSIVを搭載している[9]。
車内には大阪市交通局の車両としては初[注 5] の液晶ディスプレイ(LCD)による車内案内表示装置を設置し、次駅案内や4カ国語(日本語・英語・中国語・ハングル)の運行案内などを知らせる。
前面の下部の形状は直線で、内装パネルは白系の柄入りとなっている。カーテンは準備工事のみでカーテンレールのみ設置されている。車内案内表示装置は交通電業社製の4:3の画面幅のもので、他の事業者では見られない独自のデザインになっている。
試作車であった32601Fで得られたデータを反映し、一部仕様を変更した谷町線向けの量産車。2009年度末に32602Fが、2010年度に32603F、32604Fの計6両3編成18両が投入された。
量産車の投入に伴い、試作車であった32601Fについても、量産車と仕様を合わせるための改造が行われた。
32605F - 32607Fの計6両3編成18両が投入された。同時期に投入された御堂筋線向けの編成は谷町線向けの編成と比べて前面デザインや側面のカラーリング、座席配置、内装パネルの柄、扉上部の車内案内表示装置のモニターなどが異なっているが[6]、それらについては谷町線向けの編成については従来の編成と仕様を合わせ、内装、盲動鈴などに改良が施された。
なお、これらの変更点は同時期に御堂筋線向けとして増備された31601Fにも反映されているが、特記を除き2011年度以前に製造された編成には反映されていない。
2012年度に32608F - 32610Fが、2013年度に谷町線向け最終増備車として32611F - 32613Fの計6両6編成36両が投入された。御堂筋線向けの31601Fにおける仕様変更点の一部を反映したうえで、車内の安全設備面の改良が施された。
扉付近の枕木方向へつり革を新設した点については2013年度に御堂筋線に投入された量産車にも反映されたが、2012年度以前に製造された編成には反映されていない。
編成 | 竣工年月 | メーカー | 仕様[要検証] |
---|---|---|---|
第1編成 | 2008年11月15日 | 近畿車輛 | 先行試作車 |
第2編成 | 2010年3月23日 | 2次車 | |
第3編成 | 2010年6月3日 | ||
第4編成 | 2010年7月15日 | ||
第5編成 | 2011年9月22日 | 3次車 | |
第6編成 | 2011年10月31日 | ||
第7編成 | 2011年11月13日 | ||
第8編成 | 2012年10月2日 | 4次車 | |
第9編成 | 2012年12月14日 | ||
第10編成 | 2013年2月12日 | ||
第11編成 | 2013年6月4日 | ||
第12編成 | 2013年8月12日 | ||
第13編成 | 2013年9月17日 |
前面形状は曲線状になっており、赤色のラインが太くなり、上部のラインの下部に新しく白色のラインがデザインされた。近畿車輛と川崎重工業の2社で製造されているが、前者は扉窓ガラスの車外の周囲の段差の部分が無塗装で、後者は黒色に塗装されているという違いがある。
内装パネルは御堂筋をイメージするイチョウと銀杏の柄を内装パネルなどに採用することで、親しみやすい車内空間を演出している[6]。座席の配置を工夫することで、一部の乗降口横のスペースを拡大(1両に4か所)し、大きな荷物を持つ利用客にも利用しやすくしている[6]。座席は形状を工夫し、着席状態から立ち上がりやすくしている[6]。また、座席モケットの色は赤色となり、素材やクッションの量も変更されている(優先座席は他路線と同様に青色)。また、地上区間を長時間走行することから、フリーストップ式カーテンが取り付けられた。荷棚高さを40ミリ下げている。
車内案内表示器は三菱電機製の16:9の画面幅のものとなった。右側のディスプレイの駅名表示は、漢字→ひらがな→ローマ字→漢字…を回転させながらアニメーションのような表示をする。ホーム案内も、進行方向から向かうような感じで表示している。これは、三菱電機が開発したIPコア「セサミクロ」によって実現したものである。
2013年度に31602Fが、2014年度に31603Fが投入された。2012年度・2013年度に谷町線向けに投入された編成で変更された変更点を反映し、さらに改良が施された。
御堂筋線向け第1編成についても、量産車の投入に伴い、車内設備を量産車と合わせるための改良が行われた。
2016年度に31604F、2017年度に31605F - 31609Fが投入された。これまでは、細かい改良にとどまっていたが、今回の投入分より「都会のイメージの中に未来に向けて新たな風を盛り込んだデザイン」に車内を一新しており、既存編成と大幅な変更が見られる[10][11]。2016年10月20日より営業運転を開始した[12]。
後に2014年度以前に投入されていた31601F〜31603Fにおいても車内案内表示器の大型化と前照灯のLED化が実施された。
大阪市高速電気軌道への民営化後、初の地下鉄車両としての新造車となるグループ[15][16][17]。2018年度に31610Fと31611F、2019年度に31612F[18]〜31614F、2020年度に31615F以降が投入された。2022年6月に導入された31622Fをもって、すべての10系と10A系の置き換え数に達したため、御堂筋線向け車両の製造は終了した。 民営化以前の車両と比較し、以下の変更点が見られる。
編成 | 竣工年月 | メーカー | 仕様[要検証] |
---|---|---|---|
第1編成 | 2011年6月24日 | 近畿車輛 | 先行試作車 |
第2編成 | 2013年12月16日 | 川崎重工 | 2次車 |
第3編成 | 2014年4月9日 | ||
第4編成 | 2016年9月7日 | 近畿車輛 | 3次車 |
第5編成 | 2017年4月14日 | ||
第6編成 | 2017年5月31日 | 川崎重工 | |
第7編成 | 2017年10月6日 | ||
第8編成 | 2017年12月1日 | ||
第9編成 | 2018年2月21日 | ||
第10編成 | 2018年7月27日 | 4次車 | |
第11編成 | 2019年2月15日 | ||
第12編成 | 2019年6月28日 | ||
第13編成 | 2019年11月7日 | ||
第14編成 | 2020年2月7日 | ||
第15編成 | 2020年6月30日 | ||
第16編成 | 2020年8月26日 | ||
第17編成 | 2020年10月24日 | ||
第18編成 | 2021年5月27日 | 5次車 | |
第19編成 | 2021年9月2日 | ||
第20編成 | 2021年12月3日 | ||
第21編成 | 2022年5月13日 | ||
第22編成 | 2022年6月10日 |
2022年(令和4年)7月22日より、中央線・けいはんな線にて、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)が発注した「30000A系」が運行を開始した[19]。この編成は、2025年(令和7年)開催予定の大阪・関西万博の開催期間中における輸送力増強用車両として位置づけられており、万博開催終了後は谷町線へ転用することを前提としている[20]。また、2023年(令和5年)6月より導入の新型車両400系とともに、既存車両の20系・24系を順次置き換える予定である。車両形式は転属を考慮して谷町線30000系に合わせており、車両番号の千の位は2、十の位は重複を防ぐために5から始まっている。
基本構造は御堂筋線30000系に準じているが、これまでの号線帯から改め、路線カラーのスパークルドットを散りばめたデザインを採用している[21]。内装についてもスパークルドットを多用している[21]ほか、床面の主電動機点検蓋(トラップドア)が廃止された[21]。座席は谷町線及び御堂筋線初期仕様となり、新幹線のグリーン車を応用した構造になっていない。
主要機器も御堂筋線30000系に準ずるが、台車がボルスタレス式に変更され、電動台車がSS-190M、付随台車がSS-190T(メトロ形式WS-300)となっている[21]。
編成 | 竣工年月 | メーカー | 仕様 |
---|---|---|---|
第1編成 | 2022年3月19日 | 近畿車輛 | 5次車 |
第2編成 | 2022年7月21日 | ||
第3編成 | 2022年8月12日 | ||
第4編成 | 2022年8月25日 | ||
第5編成 | 2022年9月12日 | ||
第6編成 | 2022年9月30日 | ||
第7編成 | 2022年11月29日 | ||
第8編成 | 2022年12月10日 | ||
第9編成 | 2022年12月22日 | ||
第10編成 | 2023年1月13日 |
監督官庁への届出上の車両形式は、千の位が「0」となっている。
谷町線仕様は2008年10月に導入が発表され、2008年11月からの約5か月間、試運転が行われた。試運転は谷町線のほか、中央線でも行われた[22]。2009年3月15日に開催された試乗会では同線の森ノ宮駅からコスモスクエア駅までを走行し[23]、その後3月18日から谷町線で営業運転を開始した。
御堂筋線仕様は2011年4月25日に導入が発表され、6月からの約半年間に及ぶ御堂筋線・四つ橋線での試運転[24][25]のほか、乗り入れ先の北大阪急行に貸し出されての試運転[26]も行われた。なお、北大阪急行への貸し出しの際、普段は大阪市交車が入線しない桃山台車庫にも入線している[27]。営業運転開始日と初日の運用については12月6日に事前の告知がなされ、12月10日より御堂筋線・北大阪急行線で営業運転を開始した[28]。
中央線仕様として第1編成の32651Fが2022年3月に竣工し、中央線と乗り入れ先の近鉄けいはんな線にて約1ヶ月間の試運転を行なった後、2022年7月22日に営業運転を開始した。その後同車の増備は急速に進んでおり、2023年1月に第10編成の32660Fまで製造され、導入予定の車両[29]がすべて導入された。
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