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植物 ウィキペディアから
雑草(ざっそう)の定義は主に社会学的なものと生物学的なものに分けられる。
社会学的な考えでは、農耕地などで作物以外の、人の意図にかかわらず自然に繁殖する植物[1]、景観を損ねる所に生える人に望まれない植物など、間接的、直接的に損害を与える所に生える植物のことを指す場合が多い。社会学的な雑草の定義は個々の人間の主観、価値観により変わり、どの種が雑草であるかの定義も人それぞれである。
生物学的定義では雑草とは「土壌攪乱に対応した植物を指す」とされ、種子が不良な温度変化、湿度変化に耐え、休眠状態で死滅せずに土壌中に深くに保存され、その後に耕しなどの人為要因や、降雨降雪などの自然要因により土壌が攪乱され、種子が土壌表層に持ち上げられ自然に発芽し育った、その場に生える植物のことを指す。 生物学において人里や河川敷に自然に生える植物は雑草と定義される[2][3][4](その他、狭義の定義については雑草#定義を参照)。通常、草(草本)についていう[注釈 1]。雑草を単に草という場合もある(除草、草刈りなど)。
特定の分類群を示すものではないが、人の活動、操作によって強く攪乱を受けた空間を生息場所とする点で、共通の生態学的特性を共有することが多い。転じて、重視されないがたくましい存在、悪く言えばしぶとい存在として、比喩に用いられる[5]。
これらは、分類上は多種多様な植物からなる群であるが、シダ植物で雑草と見なされるものはきわめて少ない。裸子植物は皆無である。被子植物でも、イネ科・キク科のものがかなりの部分を占める。これらは、被子植物の中でも進化の進んだグループと見られている。また、帰化植物も多い[6]。これは、人の生活範囲に密着している植物であるがゆえ、ある意味で当然であると言える。また特定の栽培植物には、それに対応する雑草が存在する場合がある。
繁茂状況によって、これらに付随して生息する動物群も存在し、カやハエやその他の昆虫、それらを餌にするクモなどの節足動物・ネズミ等の小型哺乳類・小型の鳥といった小動物が生活する格好の場所を提供する。しかし雑草によって、人間の活動にとって害虫が発生する元にもなる。
日本語では種の名称に、ある種の蔑みを含んだものが用いられることもある。例えば、動物の名前を冠すもの(カラスウリ、カラスノエンドウ、ヘビイチゴ、イヌガラシ、スズメノテッポウ)や、迷惑感を示すもの(ワルナスビ。ただし、これは有毒である)などがある。そのほかハキダメギク(掃溜菊)やヘクソカズラ(屁糞蔓)といった有難からぬ名前を付けられた種もある。これは、人々にとって有用でない、あるいは一般には取るに足らない存在と捉えられていることから名付けられた。
雑草の研究は、雑草の駆除や管理を対象に進められてきた。
雑草の定義として、以下のようなものが挙げられている[7][8]。
このうちの1だけを雑草と見なす考え方もある。
雑草は、自生地によって以下のように分類できる。
水田の場合、イネの成長の間は雑草は駆除の対象となるが、稲刈りから次の春までは、雑草は比較的放置される。ここには水田雑草とよばれる特殊な植物群が存在する。
海藻を食べる文化の少ない欧米では、これらの海藻も海の雑草(Seaweeds)と一括りにして呼び習わしている。日本では、ワカメ・コンブ・モズクなどの海藻については食用とするため雑草と呼ぶことはない。
環境に共通する特徴は、極めて人為的撹乱を激しく受ける場所だということである。運動場や道路脇では、まず、強い日照、水不足、土壌の少なさと乏しい肥料分、埃や煤煙、それに踏みつけがあり、その上に少なくとも数か月ごとに草刈りが行われる。
畑や庭園では、水や土壌などの点では植物の生活に適しているが、土壌は定期的に撹拌され、草刈りの手入れは、もっと頻繁に行われる。したがって、このような環境で生活を営み続けられるのは、その生活に強く適応した植物であり、雑草の多くは、人家周辺でのみ生活しているものである。このような植物は、自然の保存された山野では見られず、例えば人が道を作ると、必ず出現する。
木本では、まずこの生育は維持できない。世代時間が長すぎるため、また、材に資源を投入しても刈り入れによって無駄になるからである。ノイバラなど、それに近い生育を送るものがあるが、それらは地下にかなりの栄養を持ち、刈り取られても、すぐに地上部を再生させる。
人類の住む環境には、たとえば堤防のように、常に人々の手が入るわけではないが、定期的に草刈りがなされたり火入れが行われたりする環境もある。そこに生える植物は、人里植物(広義の雑草)といわれる。全く人手の入らない環境とは異なったものが出現しがちで、それらには雑草と共通する性質が見られる場合もある。里山は、さらに人々の働きかけの少ない環境ながら、やはり人々の影響下にある自然である。
雑草のすむ過酷な生活環境を乗り切るには、特殊な能力が必要である。それぞれの種は、それなりの方法で乗り切る仕組みをもっている。
代表的なのは、次のような能力である。
農作物の耕作を行う際には、雑草が原因で収穫量が減少し、収益が低下してしまうどころか、農業害虫の発生源で、放置すれば壊滅的な被害をもたらすため、雑草の防除を定期的に行う[14]。雑草の防除方法には草刈りの他にも、除草剤を使って効率的に除草したり、防草ブロックや防草シートを用いて、雑草が生える事を抑える方法がある。また焼畑農業や蒸気土壌消毒などの熱処理を行うことで殺菌・除草を行う場合もある[15]。
除草機と呼ばれるものとして、人力中耕除草機、畜力・動力用カルチベータ、除草ハロー、ウィーダ、培土機、間引機などがある[16]。
1950年代以降は除草剤が普及したことにより一般的ではなくなったが、ガチョウが畑の除草を行った[17]。また、ヤギ[18]、豚[19][20]などによる採食・踏み倒しなどによる除草を行う例がある。
また、ヒガンバナなどが持つ他の植物の生長を抑制する化学物質散布能力アレロパシーを利用する場合もある[21]。
作物より先にイネ科雑草を繁茂させてから非選択性の除草剤をまくStale seed bedという手法が、2014年では約80%の経営体で用いられている[22]。
耕地雑草の中には、除草剤などの近代化によって絶滅が危惧される種も存在する[23]。そのため、ドイツなどの一部の国は、耕作地の周りに緑地帯を設け、絶滅危惧種の雑草の保護と多様性の確保のための活動が行われる[24]。
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