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『誰が勇者を殺したか』(だれがゆうしゃをころしたか)は、駄犬による日本のライトノベル作品。イラストはtoi8が担当している。略称は「だれゆう」[2]。「小説家になろう」にて2023年2月から同年9月まで連載され、書籍版が角川スニーカー文庫(KADOKAWA)より同年9月から刊行されている。
魔王討伐後に、帰還しなかった勇者の死をめぐるファンタジー。内容面では勇者討伐後の世界を舞台とし、勇者を自らの意志でなるものとして描く点に特色がある。新刊ライトノベルの販売数歴代第1位となり、2024年3月時点で単巻10万部を突破している[3]。
メディアミックスとして、石田あきらによるコミカライズが2024年8月1日よりカドコミで連載されている[1][2][4]。
勇者アレス・シュミット、剣聖レオン・ミュラー、聖女マリア・ローレン、賢者ソロン・バークレイの4人は4年前に魔王を討伐し、世界に平安が訪れた。だが王都に戻ったパーティの中にアレスはいなかった。仲間たちは勇者アレスは死んだと報告する[5]。
王国は勇者たちの偉業をまとめる事業を立ち上げる。レオン、マリア、ソロンたちが勇者アレスの学生時代を中心に彼の思い出を語る[6]。仲間たちはかつてアレスを低く評価していたが、彼の努力を見て、アレスを勇者だと認めるようになっていった[6]。だがアレスの死については3人とも言葉を濁す[6]。
アレスのいとこのザックがアレスの死の真相を語る[6]。実はアレスは王都到着前に魔族の襲撃で死去していた[6]。ザックはアレスに成り代わり、魔王討伐後に仲間たちに真相を告げてパーティを去る。仲間たちは口裏を合わせ勇者は死んだと報告していた[6]。
これらの聞き取りを行ったのは王女アレクシアだった。アレクシアは想い人であるアレスの手がかりを求め、アレスを勇者とした預言者に面会する。預言者はアレクシアの母だった[6]。アレクシアの母からさらなる真相が明かされる。全ては娘のアレクシアを救うためであった[6]。
著者の駄犬は書籍編集者などを経験し、40歳を超えた会社員である[7]。子育てや趣味に割く時間が減ったことから小説の執筆を行うようになった[7]。
「小説家になろう」に『モンスターの肉を食っていたら王位に就いた件』を投稿したものの、あまり読まれることなく、その次に投稿したのが、なろうのイメージに合わせたものではなく、「真面目な物語」として書いた『誰が勇者を殺したか』だった[7]。
執筆にあたっては、勇者の仲間に対する3本のインタビュー部分の原稿をまず書き、結末は決めていなかった。投稿当初は反響も乏しかったが、完結後にアクセス数が上がっている[7]。
この作品は注目を集めた結果、複数の出版社から書籍化の打診があったものの、一番早く連絡があった角川スニーカー文庫からの出版を決めている[7]。なお、マイクロマガジン社のGCノベルズ&GCN文庫編集部や主婦と生活社の文芸コミック編集部の編集者も書籍化の検討を行っていた[8]。
担当編集者は『お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について』などラブコメ・ファンタジーを担当している編集者であり、書籍化にあたっては編集者からの指摘はほとんどなく、あまり修正を行わなかった[7]。イラストはtoi8が制作し、カバーの方向性は担当編集者が考えている[7]。toi8が選ばれた理由は、他の作品との異質感を出していくためだったとされる[7]。また、駄犬はtoi8による「(厭な眼で)マリア様がみてる」などのカウントダウンのイラストが印象的だったと述べている[7]。
ミステリではなくファンタジーとして制作されており、「『きっと人は美しいものだ』という想いを詰め込んだ空想のようなもの」と著者は述べている[6]。また、本屋大賞を受賞したい旨を作者は述べていた[9]。後述のとおり売れ行きが非常に良く、続編の制作も発表されている[6]。
商業的には新刊ライトノベルの販売数歴代第1位となり[9]、2024年3月時点で重版8刷・単巻10万部を記録している[3]。また、「次にくるライトノベル大賞2023」では文庫部門第4位となっている[3]。
スニーカー文庫の担当編集者は「今までのファンタジー作品にあまりない切り口、構成、見せ方、まったく新しいジャンルであり、そこが一番の魅力」と評している[8]。また、堀井雄二による推薦コメントも寄せられている[2]。
内容面では『葬送のフリーレン』と同様に、ゲームなどで定番の「勇者」の魔王討伐後を描く点に特徴がある[6][9]。また、ファンタジーに加えて、ミステリ、SF要素がある点も特色である[6]。
評論家のタニグチリウイチは、勇者を最初から特別な存在として描くのではなく、自分の努力と意思でなるものとして描く点に本作の特徴があると述べる[5]。
文学研究者の西貝怜は、努力によって英雄になるという『テイルズオブデスティニー2』、世界改変を拒絶する『ブレイブ・ストーリー』などのストーリー面での前例を指摘しつつも、本作においては一見するとミステリのように思えたシーンが、アレスや仲間たちの魅力を効果的に描き出す機能を持っていると述べている[6]。
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