「涙そうそう」(なだそうそう)は、森山良子作詞、BEGIN作曲による楽曲。「涙そうそう」の意味は、涙がポロポロこぼれる様子であり、森山が早世した兄への思いを歌詞に込めたもの。
1998年の森山によるバージョンや2000年のBEGINによるバージョンのほか、2001年の夏川りみによるバージョンがヒットするなど、多くのアーティストにカバーされている。別れの歌・卒業ソングとしても親しまれ、日本の歌百選にも選ばれている。調はヘ長調[1](BEGINバージョンはイ長調)。
森山良子がライブで共演したBEGINと意気投合して、沖縄の曲を依頼した。BEGINから送られたデモテープのタイトルに書いてあった「涙そうそう」が沖縄の言葉で「涙がぽろぽろこぼれ落ちる」を意味すると聞いた森山は、若くしてこの世を去った兄を想う歌詞をつけた。
森山と兄は2人だけの年子の兄妹であり、幼少期には取っ組み合いのけんかをし、同じ高校で同じバスケットボール部に所属していた。死の直後は誰を見ても兄に見え、思い出すのも辛く、家族も誰も兄の話題を口にしなかった。森山は居間の棚から赤い革表紙のアルバムを取り出しては、兄の影を追ってひとり泣いた。そんなある日、一番星を見上げると星が瞬いたとき、「メソメソすんなよ。助けてあげられなくて悪いけど、お前もがんばれよ」と兄が語りかけてきたかのように森山には思えた。以上のような思いを歌詞にしたもので、2007年現在でも森山は、一日の出来事や思いを、一番星に向かってそっと打ち明けているという[2]。
森山によるバージョンは、1998年発売の森山のアルバム『TIME IS LONELY』に収録。その後、2001年12月5日発売シングル「さとうきび畑」のカップリング(2曲目)にも収録。
概要 「涙そうそう」, BEGIN の シングル ...
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2000年3月23日にBEGIN18枚目のシングルとして発売。2002年6月26日に、「島人ぬ宝」とのカップリングでカセット・テープで発売。
2000年7月21日発売の島唄アルバム『ビギンの島唄 〜オモトタケオ〜』には、三線バージョン・三線ウチナーグチバージョン(訳詞:新城俊昭)が収録。
収録曲
2000年盤
- 涙そうそう
- かりゆしの夜
- 花(LiveVersion)
- 涙そうそう(オリジナル・カラオケ)
2002年盤
- A面
- 涙そうそう
- 涙そうそう(オリジナル・カラオケ)
- 涙そうそう(三線バージョン)
- 涙そうそう(三線ウチナーグチバージョン)
- B面
- 島人ぬ宝
- 島人ぬ宝(オリジナル・カラオケ)
概要 「涙そうそう」, 夏川りみ の シングル ...
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夏川りみの現在の名義における3枚目のシングルとして2001年3月23日に発売。夏川は、沖縄サミットのテレビ中継でBEGINがこの曲を演奏しているのを見て、カバーしたいと思うようになった[3]。BEGINは夏川の依頼に応えて「あなたの風」を提供するが、夏川はなおも「涙そうそう」にこだわり、最終的にカバーが実現した[3]。
沖縄県の大手CDショップ「照屋楽器店」の売上ランキングでは発売1週目にしてB'zの「ultra soul」に次ぐ2位を記録[4]。2001年、沖縄のラジオ3局(エフエム沖縄、琉球放送、ラジオ沖縄)で年間チャート1位となる[5]。全国に知られるようになるまでには時間がかかったものの、2002年から3年あまりに渡ってヒットし続けた。累計売上は120万枚突破[6]。
2019年9月23日付までのオリコン週間シングルランキングでのトップ100ランクイン週数は通算157週であり、SMAPの「世界に一つだけの花」、中島みゆきの「地上の星/ヘッドライト・テールライト」に続いて歴代3位である[7]。
2006年にはANAの沖縄線キャンペーン「マッタリーナ→ ホッコリーナ→ 沖縄」のテレビCMでキャンペーンソングとして使用され、2007年には日本郵政グループ(日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険など)のCMで使用された。
収録曲
- 涙そうそう
- あなたの風
- 花になる(アコースティック・ヴァージョン)
- 涙そうそう(インストゥルメンタル・ヴァージョン)
- あなたの風(インストゥルメンタル・ヴァージョン)
2001年の夏川りみによるカバーがヒットして以降、国内外の多くのアーティストにカバーされる。
- 2002年に台湾の黄品源がアルバム『簡單情歌』に台湾語カバー「白鷺鷥」を収録。
- 2006年12月8日に黄品源は「白鷺鷥」に続き、ベストアルバム『淚光閃閃, 源來有你』の中に新曲として今度は北京語で2度目のカバー「淚光閃閃」を収録。
- 2003年3月12日に「森山良子 with BEGIN・夏川りみ」名義でTBSラジオ「森山良子ハートオブポップス」公開録音(2002年12月5日)バージョンがシングル発売され、ヒットした。
- 2003年4月7日に五木ひろしがアルバム『五木ひろしカバー&セルフコレクションズ全16曲〜おふくろの子守唄』でカバー。
- 2004年5月25日に因幡晃がコンピレーションカバー・アルバム『Re Cover』でカバー。
- 2004年6月23日に田端義夫がシングル発売(アルバム『島唄2』からのシングルカット)。
- 2004年にケアリイ・レイシェルがハワイアンにアレンジしたカバー曲「Ka Nohona Pili Kai」を発表した。同作を含むアルバム「Ke'alaokamaile」は同年ハワイのグラミー賞と呼ばれるナ・ホク・ハノハノ・アワードで7部門を受賞し、「Ka Nohona Pili Kai」はSong of the Yearに輝くなど大ヒットとなった[8]。
- 2004年9月9日にシンガポールの蔡淳佳(英語名:ジョイ・ツァイ)がアルバム『日出』に北京語カバー「陪我看日出 (私と日の出を見に行こう)」を収録。後に2006年11月10日に台湾でリリースされたベストアルバム『淳佳精選17首』にも収録され中華圏全体でヒットする。中華圏での複数のカバーのうち最も有名なカバーとなった。
- 2005年4月27日にSISTER KAYAがアルバム『たからもの』でカバー。
- 2005年5月18日に加藤登紀子がアルバム『登紀子情歌~LOVE SONGS~』でカバー。
- 2005年9月14日に徳永英明がアルバム『VOCALIST』でカバー。
- 2006年に吹奏楽バージョンとしてニュー・サウンズ・イン・ブラスに登場。演奏は東京佼成ウインドオーケストラ、編曲は山里佐和子。
- 2007年にヘイリー・ウェステンラがアルバム『Treasure 〜私の宝物』の日本盤で英語バージョンをカバー。
- 2008年1月15日に砂川恵理歌がコンピレーションアルバム『琉球ラヴァーズロック』でカバー。
- 2008年2月20日に甲斐よしひろがアルバム『TEN STORIES 2』でカバー。
- 2008年6月25日にタンポポ児童合唱団がオムニバスアルバム『こどもと歌いたい!ファミリーヒットソング〜おしえて・花の子ルンルン・世界中の誰よりきっと〜』でカバー。
- 2008年7月16日に杏里がアルバム『tears of anri 2』でカバー。
- 2008年7月16日に甲斐裕次郎(中村太亮)がTVアニメ「テニスの王子様」のキャラクターとして比嘉中名義のミニアルバム『美ら唄』内でカバー。
- 2008年8月27日に早川えみがアルバム『Feel the Jazz breeze』で、英語詞及びジャズ風にカバー。
- 2008年11月5日に中西保志がアルバム『STANDARDS 3』でカバー。
- 2008年11月7日に韓国のMemory(現メン・ユナ / 메모리)がアルバム『She Dreamed That She Was Flying Like A Bird.』に朝鮮語でカバー「ヌンムリ ナヨ (눈물이 나요)」を収録。
- 2008年に元アリスターのスコット・マーフィーがアルバム『Guilty Pleasures II』でカバー。
- 2008年、昭和八十三年度! ひとり紅白歌合戦カバー(桑田佳祐)
- 2017年10月25日リリース 海上自衛隊東京音楽隊、三宅由佳莉 - アルバム『シング・ジャパン ―心の歌―』でカバー。(編曲:義野裕明)
- 2009年に森進一がアルバム『Love Music』でカバー。
- 2009年11月25日にリリースされたalanのアルバム『my life』(CD+DVD) に、初回盤特典映像としてスタジオライブ映像によるカバーが収録された。
- 2010年に大江裕がアルバム『演歌大将 大江裕~日本列島 歌飛脚I~』でカバー。
- 2010年7月7日にalanが、5種類リリースされたシングル『風に向かう花』の一つでカップリング曲として二胡演奏でカバー。
- 2010年に我那覇響(沼倉愛美)が『THE IDOLM@STER2 MASTER ARTIST2 -FIRST SEASON- 02』でカバー。
- 2011年にMONGOL800がアルバム『etc.works 2』でMAJESTICSとカバー。
- 2013年6月5日にクリス・ハートがアルバム『Heart Song』でカバー。
- 2013年、岩佐美咲(アルバム『リクエスト・カバーズ』にてカバー)
- 2013年10月16日、森恵がアルバム『Grace of the Guitar』にてカバー。
- 2018年4月24日、ソラ(MAMAMOO)が朝鮮語でカバー。タイトルは『눈물이 주룩주룩』。
- 2020年、MAMAMOO(日本1stフルアルバム『4colors』にてカバー)
2006年にはTBSテレビ局の開局50年記念として、この作品をモチーフにした妻夫木聡・長澤まさみ主演の映画が2006年秋に公開された。他、これにリンクして視聴者の手記を基にしたドラマを放映している。これまでに『広島 昭和20年8月6日』(松たか子出演)、『涙そうそう この愛に生きて』(黒木瞳出演)が映像化された。