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宿泊料を受けて人を宿泊させるための宿泊施設 ウィキペディアから
旅館(りょかん)とは、宿泊料を受けて人を宿泊させるための宿泊施設で、通常は和風様式の構造及び設備を主とする宿泊施設のことを指す。日本旅館ともいう。
旅館の種類には、観光利用や行楽利用主体の温泉旅館や観光旅館、割烹旅館(料理旅館、日本型のオーベルジュ)などのほか、都市部にあるビジネスや修学旅行、大学受験利用主体の商人宿(駅前旅館など)がある。一般には中〜大規模の施設から個人・家族的な小規模で行われているものまである。
このうち、個人の住宅と同じような構造のものや、宿主が他の産業を主体とした兼業の場合は、民宿と名乗ることがある。
旅館の歴史をたどると、現代の日本の文化芸術的な熟成期である江戸時代は、江戸幕府と京都の朝廷を繋ぐ東海道(東海道五十三次)、中山道(中山道六十九次)などの、五街道を中心とした旅籠と、温泉地・湯治場の温泉宿とがあった。
日本の旅館業法(昭和23年7月12日法律第138号)では「旅館業」と「旅館営業」とでは概念が異なる。
旅館業法にいう「旅館業」とは「ホテル営業」、「旅館営業」、「簡易宿所営業」、「下宿営業」の4種の営業の総称をいう(旅館業法2条1項)。そして、通常、単に「旅館」と言う場合には、このうちの「旅館営業」すなわち「和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、簡易宿所営業及び下宿営業以外のもの」を行う施設のことを指す(旅館業法2条3項)。
旅館営業の施設の構造設備の基準については、旅館業法施行令で次のように定められている(旅館業法施行令1条2項)。
旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区では市長又は区長)の許可を受けなければならない(旅館業法3条1項)。この際には申請書に営業の種別(旅館業法上のホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業の種別)を記載しなければならないが、これとは別に営業施設の名称も記載することとなっている(旅館業法施行規則1条)。したがって、営業の種別については旅館営業として申請している場合であっても、営業施設の名称については「旅館」、「民宿」、「ホテル」、「ペンション」など経営者の設定に委ねられている為、実際には各個のイメージ戦略などから規模の大小、経営形態に関わらず自由に名乗っているのが実情でもある。そのため、「旅館」、「民宿」、「ホテル」、「ペンション」などの線引きは曖昧である。なお、許可の際の構造設備の基準など法令の適用については、営業施設の名称ではなく経営者の申請した営業の種別にしたがってなされることになる。
要件ではなく、例外もある。 現代の日本社会において和の風雅を感じさせてくれる場所として貴重な存在といえる。
宴会ブームの崩壊で、都心に近い観光地の高級旅館、ホテルは経営に苦戦して、ブームの最中に建設された施設の中には倒産や閉店に追い込まれた施設も出ている。都市部の旅館も、ビジネス客のビジネスホテルへのシフトや、少子化による修学旅行や大学受験の減少やホテルへのシフトによって経営の苦しい施設が多く、ビジネスホテルに転じた施設が多い。
反面、宴会を主としない固定客を持つ者も多く、これらの多くはバブル期以前に建設された物が殆どである。安定した顧客があるため経営状態も安定している。固定客が多い為、大々的な広告を出さずとも経営の成り立っている旅館も多々ある。
古くからの旅館によっては経営者の高齢化が進み、少子化の影響で後継者ができず、次世代の代替わりが行えない業者も出ている。収支面では経営が成り立っていても、後継者問題で閉店になるケースも見受けられる。
特殊なケースでは、和室の低価格宿泊施設(いわばB&B)を売りに外国人や学生合宿を主なターゲットに切り替え、成功を収めたところもある。
温泉街には通常の旅館の他に、自炊旅館が存在する。これは、宿泊場所を提供するだけでその他のサービスを省くことにより、湯治のために長期滞在できる旅館のことである。「湯治」目的を除けば、外国でのコンドミニアム、あるいは日本の短期賃貸マンションに似ている。温泉街には歓楽的なものと古くからの湯治場と二つの場所があり、湯治場には温泉病院や自炊旅館がある。自炊専用旅館でなくても、普通の旅館に「自炊部」を設けている旅館もある。
自炊旅館は旅館部屋を賃貸アパートのように貸し出すが、1泊単位で宿泊料金が決まっている。宿泊期間は個人差があるが、大抵1週間以上から長くて2ヶ月程度である。入浴料と電気代は宿泊料金に含まれているが、それ以外の布団貸し出し料(布団持込の場合は不要)、冬季ならコタツ、ストーブなどの暖房器具貸し出し料、炊事用にコンロ利用のためのガス代を徴収される。滞在中の部屋の掃除は行われないので、宿泊者自身で行う。洗濯は館内にあるコイン式洗濯機を利用する。
旅館には館内に売店があり、調味料や缶詰などの食料類や石鹸や洗濯洗剤がおいてある。肉・魚・豆腐などの生鮮食料品は外部の業者が移動販売に来るのを利用する。
大分県別府市の「鉄輪(かんなわ)温泉」では「貸間旅館」と称し、一般の旅館に近い部屋やサービスがある例があり、また低価格の公衆浴場を利用することや、「地獄蒸し」という温泉の蒸気で食物を蒸す名物料理が楽しまれている。老若男女に親しまれているシステムである。
温泉旅館は季節変動もあり、もともと高収益な事業構造ではないが、施設・設備の更新競争・大型化のため、借入を重ねてきた。エージェントもそれを推奨してきた。また、金融機関も地域の有力な地場産業として貸し込んできた。このため、一般に借入過剰となっている。
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