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岩塩(がんえん、英: rock salt, halite)またはロックソルトは、鉱物として産する塩化ナトリウム(NaCl)のことである。岩石名でもある。
海底が地殻変動のため隆起するなどして海水が陸上に閉じ込められ、あるいは塩湖が、水分蒸発により塩分が濃縮し、結晶化したものである。
この現象は米国のデスヴァレーやボリビアのウユニ塩湖のように現在でも見られるが、地質時代の厚い岩塩は米国や欧州各国、中東、アフリカで知られる。岩塩は他の岩石より軽いため、地層の圧縮を受け絞り出されるように地層中で岩塩栓あるいは岩塩ダイアピルと呼ばれる盛り上がり構造をつくる。この構造の近くで石油が溜まりやすいため、米国メキシコ湾や西アフリカなどで石油が産出する。
岩塩の多くは無色または白色に近い淡い色をしているが、産地や地層によっては青色、桃白色、鮮紅色、紫色、黄色などの様々な色を有する。こうした岩塩の結晶の色は、ミネラルやイオウ、有機物の混入や、地層中で長期間にわたって放射線を浴びることによって生じた格子欠陥などによる吸収であり、このような欠陥を色中心と呼ぶ。格子欠陥による着色は水に溶かすと消失し無色透明の水溶液となる。
ソルトテクトニクス 地殻変動で岩塩ドームとして表層に出てきた岩塩氷河は、雨などによって溶けて氷河のように移動する場合がある。
以下は主な産地と生産量(2003年度・100万トン超のもののみ記載)
有名な岩塩が取れる場所としては、世界遺産ヴィエリチカ岩塩坑、ハルシュタットのが知られる。
一般人が見ることができる場所としては、廃坑となった後に治療所・観光地となったトゥルダ岩塩坑などがある。
南米コロンビアのシパキラは岩塩の洞窟で有名である。約1億年前に地殻変動で閉じ込められた海水が岩塩化したものである。閉鎖された岩塩抗を利用した「塩の大聖堂」はライトアップされ、多くの観光客が訪れる。
なお、日本においては、岩塩を採取できる場所はない。周囲を海に囲まれた島国であるため、豊富に得られる海水を煮詰め、大規模な製塩が古来より可能であり、岩塩を必要としなかったためでもある。
ただし、製塩には薪や石炭など多量の燃料が必要不可欠であり、また天日で水分を蒸発させ濃い塩水をつくる塩田は緯度の高い関東以北の土地には適さないため、寒冷な土地で大量の燃料が得られにくい北海道のアイヌは必要な食塩の調達を物々交換に頼っていた。そのためアイヌ民族にとって塩は貴重品であり、食品の保存などに塩を多用することはできず、調味料として少量を用いるのみであった。
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