フューチュリティステークス(Futurity Stakes)とは競馬の競走である。2歳馬限定の競走として様々な地域に同名・類似名の競走が存在する。
英単語の「futurity」は「未来」「将来」を意味する「future」の派生形であり、特に「future」と区別した意味としては「未来の世代(future generation)」などの意味となる[1]。競馬の世界では、「juvenile」とならんで若馬を指す用語として使われるが、一般に競走馬が競走に出走するのは2歳になってからなので、一般に2歳馬限定の競走名に「futurity」が使用されている。
1880年にアメリカ・ニューヨークのブルックリンにシープスヘッドベイ競走場(en:Sheepshead Bay Race Track)が新設された。ここで行われた最初の大競走がサバーバンハンデ(1884-)で、その4年後の1888年にフューチュリティステークス(Futurity Stakes)が創設[2]された。このフューチュリティステークスは2歳牡馬限定の競走で、当時アメリカで最も賞金の多い競走だった。この競走に出走するためには、その馬が生まれる前の時点から登録料を払うことが条件で、それによって高額の賞金の原資としていた。この競走は、幾度かの移転を経て、2013年時点ではベルモントパーク競馬場で行われている。
現在では各地で2歳馬限定戦として「フューチュリティ」を称する競走が行われており、必ずしも牡馬限定でもなければ、出生前からの登録を要件とするものばかりではない。
2歳戦・G1競走
- フューチュリティトロフィー - 旧名フューチュリティステークス(1976-1988)→レーシングポストトロフィー(1989-2017)。イギリス・ドンカスター競馬場で行われる2歳牡馬・牝馬限定のG1競走で、1976年から1988年の間、「フューチュリティステークス」の名称で行われていた。この競走はしばしばスポンサーの交代があり、タイムフォーム誌がスポンサーの「タイムフォームゴールドカップ」、ジ・オブザーヴァー紙がスポンサーの「オブザーヴァーゴールドカップ」、ブックメーカーのウィリアムヒルがスポンサーの「フューチュリティステークス」(しばしば「ウィリアムヒル・フューチュリティステークス」(William Hill Futurity Stakes))、レーシングポスト誌がスポンサーの「レーシングポストトロフィー」と競走名が変遷している。「フューチュリティステークス」時代の勝馬からはリファレンスポイントが翌年のダービーステークスを制している[3]。
その他の格付け済競走
- フューチュリティステークス - アメリカ・ベルモントパーク競馬場 - 上述の競走。1888年創設。正式名称はフューチュリティステークス(Futurity Stakes)だが[5]、後にアメリカ各地でフューチュリティ競走が作られると、それらと区別するため、特にベルモントフューチュリティステークス(en:Belmont Futurity Stakes)とも通称される。長い間、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルにつながる、アメリカの2歳牡馬の競走としては最も重要な競走の一つとしてG1に格付けされてきたが、2004年からG2、2016年からG3[6]、2018年はリステッドレースに降格したが、2019年からG3に昇格する。
- フューチュリティステークス(en:Futurity Stakes (Ireland)) - アイルランドの2歳馬によるG2競走[7]。1950年に「アシュフォードキャッスルステイヤーズ(Ashford Castle Stayers)」の名称で始まり、何度も名称が変わっている。1980年代には名称が「フューチュリティステークス」に落ち着くが、スポンサーの交代によって数年おきに冠称が変わっている。1988年は“パナソニックスマーフィットフューチュリティ”、1989年から3年間は“パナソニックスマーフィットEBFフューチュリティステークス”、1999年から2年間が“キングオブキングスEBFフューチュリティステークス”、2001年は“キングオブキングスヨーロピアンブリーダーズファンドフューチュリティステークス”、2002年と2003年は“ガリレオEBFフューチュリティステークス”…といった具合である。近年の勝馬の中には、ウッドマン、セントジョヴァイト、ジャイアンツコーズウェイ、ニューアプローチなどがいる[8]。
2歳戦の重賞
- アーリントンワシントンフューチュリティ(Arlington-Washington Futurity) - アメリカ・アーリントンパーク競馬場の2歳戦(AW8ハロン)。2012年時点での格付けはG3[5]。2017年よりリステッドレースに降格される[11]。2022年からは格付け外の競走となった[12]。
- チャーリーパーマーフューチュリティ(Charlie Palmer Futurity)- アメリカ・フレスノ競馬場の2歳戦(ダート8ハロン)。2012年の格付けはL(リステッドレース)[5]。
- ゴールドラッシュフューチュリティ(Gold Rush Futurity) - アメリカ・アラパホ(Arapahoe)競馬場で行われている。2013年現在は格付け外。1981年から1984年はG3に格付けされていた[13]。