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物語を示す展開図的役割を果たす文章 ウィキペディアから
脚本(きゃくほん、英: screenplayあるいはscript)とは、演劇・映画・テレビ放送・ラジオ放送などの台本[1]。「いつ・どこで・誰が」(時・場所・人)を示す柱書きおよび台詞、ト書きだけで構成された設計図的役割を担うテキスト。映画のものは特にシナリオ (scenario) と呼ばれる。
小説とは形式が異なる。
脚本では文学的表現や美文は要求されず、小説などでは活用される主観描写(登場人物の心情など)は極力排除される。ラジオやテレビ、映画などのメディアによって、そのメディアの特質や慣習に従った一定のフォーマットが推奨、または必須とされる場合がある。
書き方は、よく絵画や彫刻を作る方法に例えられる。絵画では画用紙やキャンバスに絵具を付けた筆で、いきなり人物の顔を描く人はいない。また彫刻でも丸太に彫刻刀を突き立て、眼から丁寧に彫る人もいない。絵画ではまず全体を荒く素描(デッサン)し、次に完成を予測しながら下書きをし、その次にバランスを見ながら細部を徐々に仕上げていく。脚本も同様に、どこからストーリーを始めてどこに向かって進んでいくのか。そして広がったストーリーの最後はどう収束するのか。それらのバランスに配慮しつつ、まず(絵画のデッサンに相当する)プロットを書き、それから書いてゆく。
脚本は、監督・プロデューサーなどと打ち合わせをしつつ作り上げていくことが多い。(特に映画では)スポンサーとの打ち合わせが行われることもある。また出演俳優が大物俳優だったりすると、俳優からの細部の修正の要望が入ってしまう事態になることもある。
映画の場合では、打ち合わせと執筆は平行して行われることが多く、このたびに印刷・製本されることが多い。このため、準備稿、改定稿、決定稿と版を重ねることになる。改定はほぼ全て取り替える場合から些細な部分を修正するに留める場合もあり、準備稿と決定稿、さらに作られた映画とはストーリーが大幅に異なっていることもある。さらに日程・予算の都合で、実際の撮影に入っても改定が行われる場合があり、脚本家あるいは監督が現場で執筆する場合もある。これは「号外」とも呼ばれる。
執筆に関わる脚本家の数、および脚本家とともに監督が脚本に関わる場合は、作品的な価値だけではなく印税、二次使用料、著作権などの配分に影響することが多く、昨今は監督が脚本を執筆することも多い。戯曲は単独で執筆することが多い。
脚本は、小説とは異なり、複数の人によって書かれることがそれなりにある。テレビドラマシリーズでは、執筆作業の負荷の大きさや放送スケジュールを考慮して、数名交代で担当することもある。テレビドラマシリーズで視聴率が低迷すれば、途中で脚本家が交代することもある。また一話の中でも複数名が関与する場合もある。
基本的に、戯曲を除いて脚本は単独で発表されない。原作品を映像化や漫画化することで一つの作品とみなされる。そのために脚本の存在感が弱くなり、監督やプロデューサーらが無断で改変して争う事例も散見される。戯曲の場合は脚本のみで発表されることも多い。
従来、日本で脚本に用いられた原稿用紙は基本的に200字詰め(20字×10行)で、この原稿用紙状態の脚本は「ペラ」とも呼ばれる。近年はテキストエディタを用いることが多い。役者に渡す前に印刷・製本するので、製本した状態にすると「台本」(ほん)と呼ぶ。
物語を簡単に紹介したもの。四百字から八百字程度にまとめ、エンディングまで書く。最初に必要なもの。スポンサーやプロデューサーによっては、あらすじがないと脚本を読まないことが多い。一般的にストーリーやプロットと呼ばれることがあるが、これらは別なものになる。企画書とは異なる。
※「柱」「柱書」などとも呼ぶ。
脚本における
脚本における「台詞」は発声される言葉(= 台詞 + ナレーション)をその話者や特性などの注釈と共に一定の書式で記したものである[5]。台詞を見ることで演者は発すべき言葉を理解する。
台詞は一定の書式に従って記述される。
登場人物がしゃべる言葉を「」で括って記述する。「の前に役者の役名を記述する[5]。性別が分かりやすいように男性は名字、女性は名前で書くのが一般的である[要出典]。ナレーションの場合はNと書く。その場にいない(映像では画面に映っていない)人物の台詞は、冒頭に(OFF)《読み:オフ・ボーカル》[要出典]と書くことで指定する。内心の台詞は(M)《読み:モノローグ》と表記する。《例:両津(OFF)「そんなことが……」》または《例:山田の声「そんなことが……」》など。
「ト書き」の言葉の由来は歌舞伎の台本の「…と立ち上がりながら」などの「と」から来ている。文体は「…であった」などの過去形ではなく「…である」などの現在進行形で書くのが一般的である。
以下は、時間経過を表すための撮影技術。
多くの国の著作権法では翻案権や同一性保持権が保護されるため、脚色ものの原作など、著作権が保護された作品は原著作者の意向がなければ脚色できない。こうした場合には翻案の許諾契約や、改変の同意、同一性保持権の不行使特約が結ばれる[6][7][8]。ただし同一性保持権は人格権の一部とも、放棄できないともされるため、不行使特約の法的な有効性には諸説ある[9]。改変の同意も具体的な内容を伴わない場合は、必ずしも有効とはされていない[8]。
脚本そのものにも著作権が生じる。映画を例とするならば、その脚本との関係は、脚本が原著作物、映画が二次的著作物の関係になる[7]。この関係においても、演出・製作面でのクリエイティブコントロールの下で内容が改変されることがあり、上述と同様の権利問題をはらむ。
国語の教材として、教科書に脚本が載ることも少なくない。狂言『附子』の現代語訳や木下順二の『夕鶴』・ シェイクスピアの『リア王(の抜粋)』などがそうだが、これらは舞台脚本としてあつかわれるよりも、戯曲として文学扱いされているともいえる。
映像劇のシナリオが国語教科書に採用されるのは、倉本聡の『北の国から』が光村図書の中学教科書に載った1990年代を待たなければならない。上記の専門用語があり、戯曲のように単独発表されるケースもほとんど無いため、戯曲ほどに普及はしていない。
小学校の学習発表会などで演劇を発表する際にも脚本が使用される。
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