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顎口類に属する脊椎動物の一群 ウィキペディアから
硬骨魚類(こうこつぎょるい、Osteichthyes)は、顎口類に属する脊椎動物の一群である。名前の由来は全身骨格が硬骨でできているため。
現在大きく2種類の定義で用いられる。
こうした定義上の混乱は、生物学における分類体系が常に更新されたり、用途や思想・学説によって最適な体系が異なるために頻繁に生じるものである。
特に近年は分子系統学や分岐分類の躍進が著しく、形態のみに基づいた伝統的な分類体系が、DNA解析などにより次々と更新されているが、一般には広まりにくく、また伝統的な分類の方が直感的で理解しやすいため、便宜上どちらの分類体系も用いられている。
サメやエイ(板鰓亜綱)、ギンザメ(全頭亜綱)など、骨格がすべて軟骨でできている軟骨魚類に対して、硬骨魚類の多くは、骨格の大部分が、硬骨と呼ばれる硬い骨からなる(ただし、チョウザメ類のように、軟骨の割合が大きいものもいる)。硬骨には、軟骨の骨化した軟骨性硬骨、結合組織や外皮に由来する膜骨などがある。
骨格のほかにも、硬骨魚類は、楯鱗をもたない、肺やそこから派生した浮き袋をもつといった特徴によっても、軟骨魚類から区別される。肺を獲得した初期の硬骨魚類の祖先は淡水棲であったとみられ、海棲の硬骨魚類はここから二次的に海洋に進出したものである。そのため硬骨魚類の体液の塩分濃度は約0.9%であり、現在の海水の塩分濃度(3.5%程度)よりかなり低い。ちなみに淡水での進化を経験していない軟骨魚類・海棲の無脊椎動物の体液の塩分濃度は、現在の海水の塩分濃度に近い。
従来の定説では、初期の魚類は軟骨であり、それが硬骨に進化していったとされ、軟骨魚に分類されるサメやエイなどは古代の姿を今に残す生きた化石とされる。しかし、顎を持つ生き物全ての祖先に当たる生き物は、硬骨に近い骨を持っており、サメやエイは深海での捕食に特化するために、定説とは逆に硬骨から軟骨に進化したとする学説もある。その説を補強する化石なども発見されている[1][2]。
軟骨魚類・硬骨魚類は、古くは魚綱の下位の軟骨魚亜綱・硬骨魚亜綱としたが、今では魚類を魚上綱として、軟骨魚綱と硬骨魚綱の2綱に分けることが多い。なお魚類に無顎類(ヤツメウナギやヌタウナギ等)を含めるかどうかは、研究者によって意見が分かれる。
生物の進化上は、硬骨魚類は軟骨魚類から、軟骨魚類は無顎類から分岐した。また、両生綱、爬虫綱、鳥綱、哺乳綱は、硬骨魚類から分岐した。下図参照。
脊椎動物 |
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すなわち、硬骨魚類は (C) + (D) のグループであり側系統群(単系統群から一部の群を除いたグループ)のため、この場合、分岐分類学の立場では(無脊椎動物や爬虫類などと同様)生物分類の単位とはされないはずである(後述)。ただし、実用性の観点から、硬骨魚類の分類名は現在も広く使用されている。しかし、分岐分類においても「硬骨魚類 (Osteichthyes)」の名称は定義を変えて使用されており、伝統的な分類体系と混同され混乱を招くことも多い。
硬骨魚類は、肺魚亜綱、総鰭亜綱、腕鰭亜綱、条鰭亜綱の4亜綱に分類される。このうち現生目は、肺魚亜綱にはケラトドゥス目とレピドシレン目、総鰭亜綱にはシーラカンス目、腕鰭亜綱にはポリプテルス目だけしかない。
条鰭亜綱は、軟質下綱と新鰭下綱の2下綱に分けられるが、軟質下綱は軟骨上綱チョウザメ目のみが現生である。現在最も繁栄している魚類のグループは、条鰭亜綱の新鰭下綱であり、通常私たちの目にふれる“魚”は、ほとんどがこのグループであると言ってよい。
新鰭下綱は、さらに全骨類と真骨類とに分かれるが、現生する全骨類の魚類はガー目(レピソステウス目)とアミア目のみであり、それ以外のすべての新鰭下綱の魚類は、真骨類に属する。
分岐学は、全ての形質を極力同様に重みづけした上で分岐図を作成し、その各分岐点を分類群として定義する手法である。このため、硬骨魚類の系統が分岐して以降、その子孫は全て硬骨魚類であって、例えば哺乳類が恣意的に硬骨魚から外されることはない。
脊索動物の系統の概略を以下に示す[3]。太字部は全て硬骨魚類ということになる。
脊索動物 |
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