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日本の廃止された中央省庁 ウィキペディアから
司法省(しほうしょう)は、1871年(明治4年)から1948年(昭和23年)まで設置されていた日本の行政官庁。主に刑務所の管理や司法行政などを行っていた。
大日本帝国憲法においては、建前上は三権分立の原則が謳われていたが、実際には、行政機関である司法省が、裁判所規則の制定権、判事を含めた裁判所職員の人事権を行使するための司法行政、弁護士および弁護士会の監督権などを掌握していた。このため、具体的に司法省の中枢部に所属していた検事たちが日本国内の全ての判事の人事権を掌握する形となり、身分的には検事が判事の下位の位置付けにあっても、実際には行政が司法に対して自由に干渉を行うことが可能となっており、実際にも司法大臣による訓示などの形で判事たちへの干渉が公然と行われるなど、三権分立は有名無実のものであった。
日本国憲法および裁判所法の施行により、司法省が有していた裁判所に対する司法行政権は最高裁判所に移管された。司法省は日本国憲法施行後もしばらく存続していたが、法務庁の設置に伴い1948年2月に廃止された。しかし、最高裁の発足と同時に司法省の官僚たちの多くは最高裁判所事務総局へ移籍し[注 1]、今度は最高裁判所の内部から全ての裁判所と裁判官を支配統制する形になった。そのため、最高裁判所事務総局は「司法省の戦後の再編成版」とも呼ばれ、最高裁判所事務総局による判事たちへの干渉は司法省の時代と何ら変わることなく、現在に至るまで公然と続けられている[2]。
一方、司法省官僚たちの中でも最高裁判所事務総局へ移籍せずに残った組は、司法省の後継組織である法務庁(後に法務府をへて法務省となる)を設立し、こちらは日本国内の全ての検察庁と検察官を統制し続けている。また、最高裁判所事務総局と法務省は司法省の廃止後も判検交流と呼ばれる人事交流を行うなど、現在に至るまで互いに関係を維持し続けている[注 2]。
なお、弁護士や弁護士会の監督権は、日本国憲法施行に伴う弁護士法の全部改正により、そのまま日本弁護士連合会に移管された。
諸外国にも、法務行政を行う行政組織が多数存在する。これの訳語には司法省を充てることが多いが、法務省とする場合もある。日本の司法省および法務省の英名は、両者とも「Ministry of Justice」とされている。
(昭和20年時点)
初代司法卿は江藤新平(1872年就任)。内閣制度の下における初代司法大臣は山田顕義(1885年就任、日本大学及び國學院大学の学祖)。
1893年12月、司法省は判事検事登用試験規則(明治24年5月15日司法省令第16号)第5条第1号に基づき、判事検事登用試験受験資格[注 3]を、関西法律学校(現・関西大学)、日本法律学校(現・日本大学)、東京法学院(現・中央大学)、独逸学協会学校(廃止[注 4])、東京専門学校(現・早稲田大学)、明治法律学校(現・明治大学)、慶應義塾(現・慶應義塾大学)、専修学校(現・専修大学)、和仏法律学校(現・法政大学)の九校の私立法律学校卒業生に与えた[3](帝国大学法科大学卒業生は試験免除で司法官試補に任命された)[4]。この私立法律学校を司法省指定学校と呼ぶ[5]。
1891年(明治24年)に結成された内部の任意団体であった法曹会は、『法曹記事』を発行した。
司法省調査課は1921年(大正10年)から『司法資料』を刊行した。一方、財団法人となった法曹会は1923年(大正12年)4月 には、当時の会長平沼騏一郎のもとで機関誌の名称を『法曹会雑誌』(1巻1号)と改め、法曹会で協議された判決・決定の方針を「法曹会決議」を発表しはじめ、これが大審院判決集にも収録されるようになった。
日本が1933年(昭和8年)3月に国際連盟を脱退したところ、大審院下の帝国弁護士会は1934年7月、ワシントン海軍軍縮条約の廃止通告を求める声明を発表した[6]。政府は同年12月に条約の破棄を通告し[注 5]、1936年(昭和11年)12月に条約が失効して世界は軍拡時代に突入したが(破棄通告後も2年間は有効)、司法省はこれと連動するように、1934年から1936年にかけて、ナチス・ドイツのドイツ法律アカデミーの総裁ハンス・フランクらの以下の刑法論文を翻訳・発行した。
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