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口腔に発生する腫瘍 ウィキペディアから
口腔癌(こうくうがん)は、口腔に発生する腫瘍である。口腔に発生する悪性腫瘍は、全悪性腫瘍の中の1~5%程度[注釈 1]と言われている。そのうち、癌腫は90%、肉腫は10%程度である。
解剖学的に口腔とは、口峡の部分から前方、軟口蓋、硬口蓋、頬部(頬粘膜)、口唇、舌、口腔底、歯肉などを指す。 口腔癌は、腫瘍の発生部位に応じて下記如く亜分類される。
病理学的に下記の如く分類される[2]。病理組織像により、放射線感受性、抗がん剤感受性、悪性度などが規定される。
oral intraepithelial neoplasia (OIN)/上皮内癌(CIS) 口腔癌が上皮内にとどまり基底膜を越える浸潤が認められない状態。
世界保健機関のglade分類が最も一般的な組織悪性度の分類として用いられる[3]。
2002年の統計では全世界で口腔癌と診断された患者は40万人を超える[4]。
口腔癌の患者の発生の割合は国によって異なる。最も高いのは男女ともパプアニューギニア(男性40.9人/10万人、女性26.3人/10万人)であり、低いのは男性はエルサルバドル(0.4人/10万人)、女性はエルサルバドルとエジプト(ともに0.2人/10万人)であり、発生率に百倍の差がある[4]。南アジア諸国で発生率が高く、噛みタバコが原因であると考えられている[5]。
日本では、40歳以降に好発である。正確な調査は行われていないが、1975年には2,100人であった罹患患者数は、2005年には6,900人、2015年には7,800人に達すると考えられている[5]。癌全体に占める割合は1%と変動がないが、癌患者全体の増加に比例して増加してきている[1]。歯肉、頬粘膜では60歳代、舌、口腔底、口唇では50歳代である。男女比はおよそ1.8:1で男性が高い[6]。
危険因子として挙げられるものとして、ウイルスとくにヒトパピローマウイルスや、喫煙、飲酒、不適切な補綴物等の機械的刺激などが挙げられている[7]。この中で最大の危険因子は喫煙とされ(エビデンスレベルIV[7])、寄与危険度58.1%とされる[8]。飲酒の寄与危険度は35.5%であるが、喫煙と飲酒の両方の因子を持つもののリスクは相乗的に上昇するとされる[8]。特定の遺伝子の異常が口腔癌の原因であるとの報告はない[9]。
2005年に、スウェーデンのマルメ大学で行われた研究は、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染した人間との、予防手段を用いないオーラルセックスは口腔癌のリスクを高めると示唆した。この研究によると、癌患者の36%がHPVに感染していたのに対し、健康な対照群では1%しか感染していなかった[10]。
組織学的に見ると、口腔の悪性腫瘍の85%が扁平上皮癌である[6]。
口腔癌になりやすい状態として、白板症や紅板症のような前癌病変や扁平苔癬といった前癌状態が存在する。紅板症は癌化率が40~50%と高く[11]、臨床的には癌として取り扱うべきとされる[9]。
舌癌、口腔底癌において転移は多く見られ、その多くがリンパ節転移である。リンパ節転移をきたした症例において、その生存率は半減するとされる[8]。遠隔転移は比較的少ないが、肺転移や骨転移を来たした場合は、生命予後が悪い。治療後は主治医と相談した上で、定期的な局所(口腔)、頸部リンパ節、肺(胸部)の再発・転移チェックのために、通院が必要である。
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