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レクサスのセダン型乗用車 ウィキペディアから
IS F(アイエス・エフ、Lexus IS F)は、トヨタ自動車が展開する高級車ブランド「レクサス」から販売されていたスポーツセダンである。
レクサス・IS F USE20型 | |
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概要 | |
販売期間 |
2007年12月25日 - 2014年5月 (発表:2007年10月4日) |
ボディ | |
乗車定員 | 4名 |
ボディタイプ | 4ドアセダン |
駆動方式 | 後輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
2UR-GSE型: 4,968 cc V型8気筒 直噴DOHC |
最高出力 | 311 kW (423 PS) / 6,600 rpm |
最大トルク |
505 N⋅m (51 kgf⋅m) / 5,200 rpm |
変速機 | 8速AT(8-Speed SPDS) |
サスペンション | |
前 | ダブルウィッシュボーン |
後 | マルチリンク |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,730 mm |
全長 | 4,660 mm |
全幅 | 1,815 mm |
全高 | 1,415 mm |
車両重量 | 1,690 - 1,710 kg |
その他 | |
ブレーキ |
前:ドリルドベンチレーテッドディスク・対向6ポットキャリパー 後:ドリルドベンチレーテッドディスク・対向2ポットキャリパー |
IS-Fは「基本性能を徹底的に鍛え込むとともに、走りの新技術を備えることによりレクサスの新しいパフォーマンスを提案する」[1]というコンセプトのもと、レクサスの中型FRセダン「IS」をベースに開発されたスポーツモデルで、「F」(トヨタF1の本拠地である『富士スピードウェイ』並びに開発拠点である『東富士研究所』に由来)の名を冠する同ブランド初のモデルである。トヨタ自動車全体としても、大排気量の本格派スポーツモデルとしては2002年まで生産されていた「トヨタ・スープラ」以来となり、またハイパフォーマンス・スポーツセダンとしても「トヨタ・アリスト」以来となる。
日本では2007年10月4日に本モデルの発売が正式プレスリリースされ、その発表会は“生まれ故郷”といえる富士スピードウェイで行なわれた。その席上には「IS F」の開発にも関わっていたトヨタ自動車代表取締役副社長の豊田章男(2009年より同社社長)も出席し、自ら運転し「IS F」のパフォーマンスの高さを披露した。
そして同年12月25日に日本国内で、後に北米・ヨーロッパ・オセアニアでも販売が開始された。2011年モデルからは韓国、台湾、中東でも販売された。
ベースとなったのは「IS」のセダンであるが、300 km/hオーバーでも安定した走りを実現するために改めて空力チューニングが施された。 エクステリアはヘッドライト・前後ドア・トランク・ルーフパネルを除くほぼ全てが作り直され、特にフロント周りは大型のV型8気筒エンジンを搭載するためにオーバーハングが若干伸ばされ、さらにエンジンヘッドとの干渉を防ぐためボンネットが盛り上がっている。またエンジンの冷却性能向上のため、フロントフェンダーパネルにはスリットが設けられている。
そしてより強力なダウンフォースを得るため、IS F専用設計のリアスポイラーやアンダーパネルのほか、レクサスのスーパーカーである「LFA」のエキゾーストをイメージしてデザインされたという特徴的な4本出しのリアディフューザーを装備し、超高速走行時の直進安定性を高め、スポーティーなエクゾーストノートを実現した。
ベースの「IS」から大きく変更になった箇所はないが、10 mmほど座面を下げ、サーキット走行にも耐えうるようにサイドサポートが大きく張り出した「IS F専用スポーツシート」を前後に装備(このため乗車定員は4名となる。後にフロントシートはISの“Version-F”にも同型のものが流用された)。また、専用素材を使ったセンターコンソールパネルや、「F」のエンブレムが入る専用ステアリングホイールにIS F専用の300 km/hのフルスケールメーター[2]を装備し、ベース車である「IS」との差別化を図っている。
同ブランドのフラグシップである「LS600h」に搭載されるV型8気筒・2UR-FSE型エンジンをベースに、トヨタ自動車とヤマハ発動機が共同開発した専用スポーツユニットである「2UR-GSE」型エンジンが搭載されている。エンジン型式名にスポーツ向けの仕様である事をしめす記号「G」を冠するのは、7代目「セリカ」などに搭載された2ZZ-GE型以来であり、V型および8気筒以上の大排気量エンジンとしては初となった。
このエンジンは他のUR型エンジン同様に、筒内直接噴射とポート噴射を組み合わせた「D-4S」が採用されるほか、スポーツ走行に対応するため新たに通常のオイルラインに加えて各バンクのシリンダーヘッド左右両端から強制的にオイルを回収するスカベンジポンプを採用している。これにより高い旋回Gが生じた時のヘッドからのオイル戻りを改善し、ウェットサンプながら安定した油圧を確保している。動弁系では吸気・排気ともにハイリフト化し、吸気バルブにはチタンバルブを採用している。また支持剛性向上のためにカムジャーナルをボアセンターに、ロッカーアームのラッシュアジャスターから固定ピボットとするなど、高回転域を多用するスポーツ走行を重視した変更が行われた。そのほか吸気系統も専用設計されており、2UR-FSEに比べサージタンクを小型軽量化、吸気ポートを高流量仕様にするなど、レスポンスと高回転時の吸気効率を向上させ、スポーツユニットに相応しい鋭い吹け上がりやエンジンサウンドを奏でることに成功するなど、極限まで性能を追い求めたレーシングエンジンに近い新世代のトヨタ「G」系スポーツユニットである。
最高出力は311 kW (423 PS) / 6,600 rpm、最大トルクは505 N·m (51.5 kg·m) / 5,200 rpmを発生し、0 - 100 km/hの加速は5.1秒、最高速度は305 km/h[3](日本国内仕向けは180 km/h、日本国内以外の仕向けは270 km/hでスピードリミッターが作動する)。 トランスミッションには、「LS460」や「GS430」に搭載される8速ATをベースに「IS F」専用のセッティングが施された「8-Speed SPDS (8-Speed Sport Direct Shift)」が採用されている。この「8-Speed SPDS」は、2速から8速までのすべてのギア段でロックアップされ、トルクコンバータのオイルを介さずロックアップクラッチが直結することで、エンジンの回転力をメカニカルに伝達する。また、センターコンソールに設けられたシフトノブかステアリングに装備されたパドルシフトでシフトダウンした際には、瞬時にエンジン回転数を上げてシフトダウン後のエンジン回転数を同期させるブリッピングコントロールが採用されており、シフトチェンジした際のタイムラグは0.1秒とフェラーリ・599GTBフィオラノと同等の数値をマークするなど、世界トップクラスのギア変速スピードを実現している。
トヨタ自動車製の市販乗用車としては初の採用となる、イタリアのブレーキシステムメーカー「ブレンボ(Brembo)」社との共同開発による放熱効果の高いスパイラルフィン式の大径ドリルドローター(前:⌀360、後:⌀345)と、フロントに対向6ポット・リヤに対向2ポットのアルミモノブロックキャリパー、そして高摩擦ブレーキパッド(独・Honeywell Bremsbelag社製のロースチールパッド「Jurid」のIS F専用開発品)を採用。強力なエンジン出力に対応しサーキットで周回を重ねてもフェードしにくいシステムを構築した。
そして、トヨタF1でもパートナーを組むBBSと共同開発した19インチ軽量鍛造アルミホイールを採用。フィンタイプのこのホイールはブレーキの排熱を走行中に効率よく排出できるよう左右で回転方向が指定されており、さらに前後異幅ということもあり4本すべてが専用品(前後左右で装着箇所が決まっている)というのも特徴である。フロントに225/40R19、リヤに255/35R19の専用高性能スポーツタイヤ(ミシュラン・Pirot Sports-PS2、もしくはブリヂストン・POTENZA-RE050A)が装着される。 2009年7月に発表された2010年モデルからは「トルセンLSD」(5ピニオン式のIS F専用開発品)を新採用し、トラクション性能が向上している。
2000年代前半、レクサスはブランドの新たなる方向性を模索するため、コンパクトセダンの「IS」をベースとしたハイパフォーマンスカーを企画した[要出典]。
その概要は、初代モデルの「IS300」(当時の日本ではトヨタブランドの「アルテッツア」として販売されていた)に「GS430」のV型8気筒エンジン(北米市場では340 PSを発生する3UZ-FE)と、「スープラ」(JZA80系)のゲトラグ製6速MTを組み合わせ、「IS」に換装するというものであった[要出典]。
「IS430プロジェクト」と名づけられたコンセプトカーの製作にあたっては、当時トヨタブランド車でモータースポーツに参戦するなどトヨタとの関わりが深いレーシングドライバーのロッド・ミレンが中心となり、外観デザインは北米随一のカスタムカーデザイナーであるチップ・フースが担当、技術面ではこちらも北米随一の技術力を誇る「XSエンジニアリング」が担当した。また、最終的な車両の走行試験とセットアップに関してもロッド・ミレン自らが行っている[要出典]。
こうして車両の完成後、レクサスは「IS430」を当時のニューヨークモーターショーやSEMAショーなど北米の主要な自動車イベントに出品した。また展示だけに留まらず、「IS430」を一部のモータージャーナリストやレーシングドライバーにも試乗の機会を与え、本車両の持つパフォーマンスを体感させている[要出典]。また同時期、ヨーロッパでも「IS430」と同様のコンセプトで製作された試験車両(試作0号車と呼ばれていた)が製作され、ニュルブルクリンク等でテスト走行が行われていた。
その後、初代ISの生産終了まで「IS430」の市販化は実現しなかったものの、後に日本にてこの「IS430」の手法と同じく、初代ISにV型8気筒エンジン(2003年型JGTCスープラに搭載された5.2 Lの3UZ-FE型)を搭載した先行開発車両が製作された。そして本車両が後の「IS F」へと繋がってゆくのだが、元々スポーツセダンとしても開発された初代「アルテッツァ」の程良いパフォーマンスを引き出し、かつ「アルテッツァ」の更なる将来性を提示したコンセプトは前述した「IS F」への布石であったとも捉えられる[要出典]。
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