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テントウムシ(天道虫・紅娘・瓢虫)は、コウチュウ目テントウムシ科(テントウムシか、学名: Coccinellidae)に分類される昆虫の総称。鮮やかな体色の小型の甲虫である。
テントウムシ科 | ||||||||||||||||||||||||
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Coccinella septempunctata | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Coccinellidae Latreille, 1807[1] | ||||||||||||||||||||||||
タイプ属 | ||||||||||||||||||||||||
Coccinella Linnaeus, 1758[2] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
テントウムシ科[3] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Ladybird, ladybug, lady beetle | ||||||||||||||||||||||||
亜科 | ||||||||||||||||||||||||
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和名の由来は枝などの先端に立って行き場がなくなると上に飛び立つ習性なため、それを「お天道様に飛んで行った」と解釈し、太陽神の天道からとられ天道虫と呼ばれるようになったとされる[4][5][6]。和名ではナミテントウ一種を指して単にテントウムシと呼ぶ場合もある。
成虫の体長は数mm - 1cm程度の小型の昆虫である。成虫は半球形の体型で、脚や触角は短い。体は黒・赤・橙・黄・褐色など鮮やかな色で彩られ、体の模様も種類間で変異に富んでいる。日本では赤や黄の地色に黒い水玉模様、あるいは黄に白の水玉模様のものが多く、その多くはそれらの斑点の数で命名されている。
幼虫・成虫とも強い物理刺激を受けると偽死(死んだふり)をし、さらに関節部から体液(黄色の液体)を分泌する。この液体には強い異臭と苦味があり、外敵を撃退する。体色の鮮やかさは異臭とまずさを警告する警戒色といえる。このため鳥などはテントウムシをあまり捕食しないが、それでもクモやカマキリ、菌類などの天敵が存在する。
食性は種類によって大きく異なり、アブラムシやカイガラムシなどを食べる肉食性の種類、うどんこ病菌などを食べる菌食性の種類、ナス科植物などを食べる草食性の種類の3つに分けることができる。このため農作物にとっては益虫と害虫に大きく分かれることとなる。肉食性の種は近年では農作物の無農薬化を行う際、農薬代わりに使用される生物農薬の一つとして活用されている。
俗信においては、しばしば幸福や恋愛に関連した縁起の良い虫であるとされる。
甲虫の仲間なので、卵 - 幼虫 - 蛹 - 成虫という完全変態をおこなう。
成虫は交尾のあとに、食物の近くに数十個ほど固めて産卵を行う。孵化した幼虫は翅がなく、腹部が後方へ伸びる。さらに体には突起やとげをもち、成虫とは似つかない体型をしている。
甲虫類の中には幼虫と成虫で食性がちがうものもいるが、テントウムシ類は幼虫も成虫も同じ食物をとることが多い。また卵や幼虫を対象とした共食いをし、草食種もこの性質を残す。
充分に成長した終齢幼虫は植物の葉の裏などで蛹になる。蛹は楕円形で、翅こそ短いものの成虫の形に近い。腹部の先で壁面にくっつき、落下しないようになっている。蛹から羽化したばかりの成虫の翅は黄色だが、翅が固まるにつれ、特徴的な模様が現れる。
成虫は春から秋までよく見られる。トホシテントウなどは幼虫で越冬するが、多くのテントウムシは成虫で越冬する。越冬の際は石や倒木などの物かげで、数匹 - 数十匹の集団を作る。
柑橘類の害虫イセリアカイガラムシ(Icerya purchasi)を捕食するベダリアテントウは、生物農薬、益虫としてテントウムシが利用される場合の代表例として、図鑑等でも紹介される。
ベダリアテントウによる防除が成功して以降、他のテントウムシも生物農薬として利用する試みが行われるようになったが、成虫はすぐに飛翔して分散してしまうため、防除効果が得られるのは幼虫の期間に限定されていた。そこで物理的・遺伝的それぞれの方法で飛ばなくしたテントウムシの研究が行われており、日本でも農研機構で、野生由来の飛翔能力の低い系統を何世代もかけて選抜する品種改良でこれを開発した(選抜を停止すると数世代後には飛翔能力を取り戻す)。これは2014年に商品化している。もともと野生個体の遺伝子だけであること、飛翔能力の低さによる繁殖力・生存力の低さから、(ナミテントウが元から分布する地域であるという前提なら)生態系に及ぼす影響も少ないと考えられる[7]。
名古屋大学でも飛ばないテントウムシの開発例があり、幼虫時点でRNA干渉という手法を用いることで成虫の翅が小さくなる。この場合は遺伝子は操作されていないため次の世代には影響を及ぼさない[8][9][10]。
成田市の千葉県立成田西陵高等学校では、掃除機を使ってテントウムシの動きを止め、接着剤で背中の羽を接着して飛べなくする方法で生物農薬に使う研究がされ、2013年11月の全国農業協同組合中央会主催の「全国高校生みんなDE笑顔プロジェクト」で優勝を成し遂げた。近在に生息するナナホシテントウ・ナミテントウを使うことから生態への影響が少ないという利点がある。タヒチ政府からの引き合いもあったという[11]。これは2017年には特許が取られ、2018年から限定的に販売開始されている[12][13]。
ヨーロッパにおいても飛ばないナミテントウが研究され実用化されたが、ヨーロッパにもともと分布しなかったナミテントウは在来種のテントウムシに影響を及ぼしたことから販売は中止され、のちに在来のフタモンテントウで同様の研究が行われている[14]。天敵として移入されたナミテントウは他種を脅かす存在として世界的に拡大定着している[15]。
テントウムシやその体液が大量付着したブドウで作り出したワインは味が変わるので(「テントウムシ汚染」と呼ばれる)、テントウムシの大発生はワインの商品価値に悪影響を及ぼしている[16][17]。
以前はヒラタムシ上科Cucujoideaに分類されていたが、2015年に発表された分類体系では分子系統解析の結果に基づきヒラタムシ上科が解体され、本科は新たにテントウムシ上科Coccinelloideaに位置付けられている[1][18]。
下位分類として、従来は以下の亜科が認められていた[3][19]。
以上の亜科分類は多系統群とされ、2011年に提唱された分類体系では以下の2亜科に再編された[2][19]。
国内では約180種が知られる。ただし半数以上は5mmに満たない小さい種である[21]。 マダラテントウ亜科だけが草食で、他の5亜科が肉食性だが、テントウムシ亜科のカビクイテントウ族(Halyziini)には菌食性のものがいる[22]。
テントウムシ科のうちマダラテントウ亜科のみが草食である。草食のテントウムシは肉食の種類に比べて鞘翅に毛が多いため、つやがないのが特徴である。
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