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物と物をつなぐために使われる物質 ウィキペディアから
接着剤(せっちゃくざい、Adhesive、Glue)は、物と物をつなぐ(接着)ために使われる物質。塗料やラミネート・シーリング材なども、片面を接着するという機能から接着剤の一種に含まれることがある。日本で初めて製造された合成接着剤はセメダインである。
国際標準化機構(ISO)では接着を「接着剤を媒介とし、化学的もしくは物理的な力またはその両者によってふたつの面が結合した状態」と定義する[1]。なお、接着剤と粘着剤は厳密には性質の異なるものである[2](後述)。日本では家庭用品品質表示法の適用対象とされており雑貨工業品品質表示規程に定めがある[3]。
一般に接着剤は樹脂のみによるものと考えられるケースが多い。しかしながら、基材と接着剤の熱膨張率が異なると耐久性が落ちる等の理由によって、高信頼性の接着剤ではシリカ等の固形物を混合する事が工業用では一般的である。他の理由としては、熱伝導率の向上、構造強度の向上、硬化時の発熱の低減、価格メリット等がある。
市販品においてはパテ等の名称で区別する場合がある。
「接着剤」の名称は、大正期にセメダインの社長であった今村善次郎が考案したといわれている。それまで「接合材」や「強力ノリ」などの呼称で呼ばれていたものに対して、今村が当時取引をよく行っていたのが文房具店のほかに薬局であったため、薬局で売りやすいように「材」でなく「剤」の文字を使うようになったとされる。(1920年代ごろの薬局は日用品や調味料などの販売を行い、万屋的側面が強かった。)
異種の物質がくっつく現象である英語のAdhesionは、接着、付着、密度、粘着、凝集などと訳される[2]。ただし、厳密には付着力と凝集力、付着力と粘着力は区別され、接着剤と粘着剤も区別される[2]。接着剤と粘着剤の大きな違いは、第一に粘着剤は接合している間も粘着剤自体は乾燥していないこと[2]。第二に粘着剤による接合は主に凝集力(同種分子の引き合う力)によるものであることである[2]。
付着力の発生の仕組みはよくわかっていないが、吸着説、電気説、拡散説、さらに弱境界層説などが唱えられている[2]。
接着剤の歴史は人間が道具を使い始めた頃に始まった。石器時代には鏃を木の枝や竹に固定するためにアスファルトが使われた[1]。また、漆を使って修理された約6000年前の土器も見つかっている。
石油資源が豊富な中近東ではアスファルトが壁画制作や建築に利用された[1]。古代のバビロニアでは彫像の眼を固定するためにアスファルトが使われた。旧約聖書にはバベルの塔の煉瓦接着や、ノアの方舟の防水処理用にアスファルトが使われたと書かれている。
また、狩猟が盛んなエジプト、中国、ヨーロッパなどでは獣類の皮や骨を煮出したにかわが利用された[1]。古代エジプトではにかわが棺や家具・パピルスなどを接着するために広く使われていた。12世紀頃のモンゴルで作られた高性能の弓は、動物の骨を薄く削った板を複数枚重ねてにかわで接着したものである。
肉食の習慣の少なかった日本などでは、漆(ウルシの樹液)や、米などを原料とするデンプンのりが主に利用された[1]。古代から使われていた漆喰は石垣や煉瓦建築においてよく用いられ、デンプンのりは寝殿造で使われた襖や障子を作る時に利用されてきた。
接着剤の大量生産は、18世紀のオランダに建設されたにかわ製造工場によって始まった。それ以後、天然ゴム・デンプン・カゼインなどの天然系接着剤が各国で製造され始めた。
20世紀に入ると合成系接着剤が続々と登場する。1915年に、初の合成樹脂のひとつフェノール樹脂を積層板製造時に接着剤として使用された事を皮切りに、化学工業の発展に伴って接着剤も開発された。1940年前後にはエポキシ樹脂系接着剤が金属接合に使われ始めた。以後、様々な種類の接着剤がいろいろな用途に使われるようになった。
接合法のひとつにあげられる「接着」は、次のような特徴を持っている。
など。
など。
接着のメカニズムには5つ存在するが、接着剤においてはそのうちの3つが主に関わっている(物理的接着・化学的接着・分散接着)。場合によっては拡散接着も関与する。
接着は、まず接着剤が被着材の表面を充分に濡らし、次いで硬化する事で成り立つ。
接着は一部を除いて、原子または分子が相互に拡散する溶接とは異なり、接合する界面 (bond line) が存在する。そのため、接着力は被着材の表面状態に大きく左右されてしまい、事前に表面処理を施すことが望まれる。具体的には、洗浄や研磨で異物を取り除く、金属では防錆剤や油分・酸化物を除去する、プラスチックやゴムの成形品では残留離型剤を除去するなどがある。また、一部の被着材にあらかじめプライマーを塗布し、接着力の向上を図るケースも表面処理のひとつにあげられる。
被着材を濡らすために、接着剤は初期に液体状またはそれに近い流体状になる必要がある。固体でも熱や圧力など外部作用により流動する状態に変化できていればよい。この流動性を持った接着剤が、基本的には被着材の接合しようとする面全体に塗布されていなければならない。接着剤の塗布には、器具(はけ、ヘラ、ローラー、コーキングガンなど)を利用した手作業による簡易塗布手法と、大量生産に対応するために専用の設備(エア・スプレー、ノズルスプレー、コーター、ビード、ディスペンサー、ポッティングマシンなど)を使用した塗布方法などがある。
次に硬化し、接合に必要な強度を持つことで接着する。その過程は、重合や硬化剤などとの化学反応、溶媒の蒸発、固体ならば外部作用からの解放や反作用にて行われる。この時、被着材の接合しようとする面と接着剤が適切かつ充分に接触していなければならず、オープンタイムを過ぎているなど接触させるタイミングを逸すると本来の接着力は発揮されない。また、ホットメルトや感圧型、Bステージ樹脂などを除き、接着剤が充分に硬化するまで静置し養生させる必要がある。
接着剤は液体状の塗布タイプと固体状の感圧・感熱タイプの接着剤に分けられる[4]。
液体状の接着剤は塗布タイプと呼ばれており、塗布、圧着、硬化の過程を経て接着力を得られるタイプのものである[4]。
固体状の接着剤は感圧・感熱タイプと呼ばれる[4]。
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化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第二条第二項、第一種特定化学物質
有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律
物質名 | 基準 | 検査方法 |
---|---|---|
ホルムアルデヒド | 幼児用16ppm以下または吸光度差0.05以下,一般用75ppm以下 | アセチルアセトン法 |
ディルドリン | 30ppm以下 | 電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフ |
4,6-ジクロル-7-(2,4,5トリクロルフェノキシ)-2-トリフルオルメチルベンズイミダゾール | 30ppm以下 | 電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフ |
有機水銀化合物 | 検出せず | 原子吸光法 |
トリフェニル錫化合物 | 検出せず | フレームレス原子吸光法及び薄層クロマトグラフ |
トリブチル錫化合物 | 検出せず | フレームレス原子吸光法及び薄層クロマトグラフ |
トリス(1-アジリジニル)ホズフィンオキシド | 検出せず | フレームレス原子吸光法及び薄層クロマトグラフ |
トリス(2,3-ジブロムプロピル)ホスファイト | 検出せず | フレームレス原子吸光法及び薄層クロマトグラフ |
ビス(2,3-ジブロムプロピル)ホスファイト化合物 | 検出せず | 炎光光度型検出器付ガスクロマトグラフ |
塩化ビニル | 検出せず | 赤外吸収スペクトル法 |
メタノール | 5w/w%以下 | 水素炎型検出器付ガスクロマトグラフ |
テトラクロロエチレン | 0.1%以下 | 電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフ |
トリクロロエチレン | 0.1%以下 | 電子捕獲型検出器付ガスクロマトグラフ |
塩化水素 | 酸の量10%以下かつ容器が強度を有する | |
硫酸 | 酸の量10%以下かつ容器が強度を有する | |
水酸化ナトリウム | アルカリの量5%以下かつ容器が強度を有する | |
水酸化カリウム | アルカリの量5%以下かつ容器が強度を有する | |
ジベンゾ-a,h-アントラセン | 防腐剤・防虫剤10ppm以下、防腐または防虫処理木材3ppm以下 | 質量分析型ガスクロマトグラフ |
ベンゾ-a-アントラセン | 防腐剤・防虫剤10ppm以下、防腐または防虫処理木材3ppm以下 | 質量分析型ガスクロマトグラフ |
ベンゾ-a-ピレン | 防腐剤・防虫剤10ppm以下、防腐または防虫処理木材3ppm以下 | 質量分析型ガスクロマトグラフ |
使用制限 | 等級記号 | 等級の名称 | 発散する速度の基準値 |
---|---|---|---|
なし | F☆☆☆☆ | 新上位規格 | - 0.005mg/m2h |
制限あり | F☆☆☆ | 第3種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 0.02mg/m2h - 0.005mg/m2h |
制限あり | F☆☆ | 第2種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 0.12mg/m2h - 0.02mg/m2h |
使用禁止 | F☆ | 第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 | 0.12mg/m2h - |
一般的には接着面は平滑なほうが接着に適している[7]。接着面の油分や水分、塵埃などを除去しておく必要がある[7]。木材やコンクリートは良く乾燥させる[7]。
一般的には被着材の片面にヘラ、コテ、ローラーなどで塗布する[7]。瞬間接着剤の場合は被着材の片面に滴下する[7]。
二液混合型エポキシ系接着剤や第二世代アクリル系接着剤メタルロックなど、2液混合反応硬化の接着剤の場合は、決められた主剤と硬化剤の配合比率で良く撹拌混合する必要がある[7]。
接着面ではない箇所に付いてしまった接着剤を除去するために専用の除去剤(リムーバー)が用いられることもある。ただし、接着面の材質によっては落とせないこともある。 接着面の剥離には、高浸透性の有機溶媒が用いられる。圧力や温度を適切にした環境に長時間放置し、接着剤の樹脂の化学結合を破壊、もしくは物理架橋を解きほぐし、剥離させる。
同じ種類の接着剤でも、その用途に対応した様々な改良が加えられた品番があり、使用法に応じて選定する必要がある。性状評価とは、選定の指標となる物性の評価項目である。
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接着力を評価するには、実際に被着材を接着したものを剥がす破壊検査を行なう。接着剤と被着材それぞれの種類や接着条件によって強度は大きく左右されるため、複数の接着剤を評価するに当っては同一の被着材および条件下で接着した検体を準備しなければならない。
接着時の破壊検査方法はJIS K6848にて規定される。破壊検査は、試験サンプルに加える力の方向により3種類に大別される。
接着剤の破壊箇所は、一般に以下の3箇所が混合する形で起こる。図は被着材が同一の場合を示しており、異なる材質を接着するケースでは破壊は5箇所の混合となる。これら破壊は一様には起こらず、接着剤の厚さ・破壊検査の方法・サンプルの寸法・破壊速度・寿命・温度や湿度などの外的条件により左右されることを念頭に置かなければならない。これら破壊箇所の判定は基本的に観察手法に依存する。
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破壊を伴わない接着剤の検査には打法(タッピング法)もしくは超音波などを使用した透過測定法がある。
一般家庭用を主に製造販売しているメーカー、ブランド
業務用のみ製造販売しているメーカー、ブランド
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